地球上のすべての人類を魅了する、世界最高峰のダンスミュージック・フェスティバル「ULTRA」が、2014年いよいよここ日本で開催される。

1998年にアメリカのマイアミで生まれた「ULTRA MUSIC FESTIVAL」は、奇しくも今年で15周年。そんなアニバーサリー・イヤーも相成り、現地マイアミで開催された今年のフェスティバルは、Swedish House Mafiaの解散ツアー・ファイナルに加え、David Guetta、Tiestoなど錚々たるトップDJ / アーティストが集い、最先端のダンスミュージックを披露。総計33万人ものオーディエンスを興奮のるつぼへと落とし入れた。さらに、「ULTRA MUSIC FESTIVAL」は年々グローバル化の一途を辿っており、これまでイビサ、サンパウロ、ブエノスアイレス、サンティアゴで行われ、2012年はいよいよアジアに進出、韓国でも開催された。そして、来年は日本で「ULTRA JAPAN」が行なわれることとなった。

そんな「ULTRA JAPAN」に先駆け、12月20日に本祭のプレイベント「ROAD TO ULTRA TOKYO」が新木場ageHaで開催された。

イベント当日、会場へ到着するとまず目についたのは会場内へと続くレッドカーペット(その他にも、オープン前から開場を待つお客さんが多数並んでいたのも印象的だった)。今回は一般チケット、VIPチケットの他に、VVIP1、2、3と3種のプレミアム・チケットが発売され(しかも、それぞれ500,000円、400,000円、300,000円という高額ながら即完売!)、その購入者への特典としてオリジナルのゲート、そしてレッドカーペットが設けられていたのだ。この時点ですでに既存のイベントとは異なるスケール、そしてスペシャリティを感じさせる。が、それはVVIPでなくとも、会場内に踏み入れると誰もが感じることとなる。なぜなら、音と映像、光が織りなす圧倒的な世界観は驚異的、世界の「ULTRA MUSIC FESTIVAL」の名に恥じない、日本では普段見ることのできない世界が広がっていた。

「ULTRA MUSIC FESTIVAL」の魅力と言えば、その豪華なDJ、アーティストのラインアップ。「ULTRA」のバックボーンがもともと世界的ダンスミュージック・レーベルだけあって、その音楽的センスは本物だ。近年では、世界的ムーブメント、EDMとダイレクトにリンクし、さらなる飛躍を遂げているが、「ROAD TO ULTRA TOKYO」ではそんな本家の魅力を踏襲&日本ナイズさせパッケージ。今回は、国内外から50組以上が参加と、ワンデイ・イベントにはあるまじき史上空前のボリュームで、なおかつそのクオリティも一線で活躍するもの、そして今後期待のブランニューまで、間違いなく注目のアーティストばかりが並んでいる。

事前のタイムテーブル発表時には、メインとなるアリーナの初陣、来年の「ULTRA JAPAN」への船出はシークレット(ULTRA SPECIAL TIME)となっていたが、つい先日その記念すべきアーティストが明らかになり、なんとTomoyuki Tanaka(FPM)、☆Taku Takahashi、DAISHI DANCE、Mitomi Tokotoという日本を代表する4人のDJ/アーティストによるBACK TO BACKに決まった。

この4人が同じイベントでプレイすることすら希少なのに、まさかBACK TO BACKまで行なうなんて、こんなことは確実に初。それを可能にした「ROAD TO ULTRA TOKYO」のすごさたるやと頭がさがる(このスタートだけでも見る価値ありだ)。そんな4人のBACK TO BACKは、絶えずみんな笑顔で、ブース内では談笑しながら楽しそうにプレイ。注目のサウンドは、まさに「ULTRA」らしく、EDM中心のセットながら、それぞれの個性が光る、興味深いプレイだった。しかも、まだまだイベントも始まったばかりというのに、☆Taku Takahashiが早くもマイクを持ち、オーディエンスに語りかけ盛り上がる。そして、そのまま☆Taku Takahashiがラストにかけたのは、聴いたことのない曲、とはいえフロアも☆Takuの先導で盛り上がっているなかで、☆Taku Takahashiは「これはm-floの新曲です!」といきなりの告白。これには会場が一気に沸き、まだまだ始まったばかりなのに、早くもコール&レスポンスが見られるほどのテンションに到達。



そんなスペシャルなBACK TO BACKの後にアリーナに登場したのは、マレーシアで人気爆発中のフィメールDJ、DJ NIKKI。ディープで空間的、そしてテッキーな立ち上がりから、自分のペースでじわじわと盛り上げていく。短時間のプレイながら、ハウス、テクノ~エレクトロ、EDMまで様々なサウンドを披露してくれた。その後には、今年「burn STUDIOS RESIDENCY 2013」でグランプリに輝き、イビサでもその腕を磨いてきたDJ YAMATOがステージへ。DJ NIKKIが心機一転温めたアリーナを、さらに高めるがごとく、DJ YAMATOはスタートからアクセル全開。テクノ~エレクトロ~EDM、大箱向けのダイナミックなサウンドを縦断する、とにかくアグレッシブなプレイ、しかもそのなかにもわびさび、アップダウンも織り込む見事なセット。パーティ感が絶えない、高テンションを常にキープする、その才能の片鱗をまざまざと見せつけていた。そして、そんなDJ YAMATOに継ぐのは、Red Bull Thre3styleの面々。これは、No.1 Party Rock DJを決めるDJバトル「RED BULL THRE3STYLE」で今年世界一に輝いたDJ SHINTAROとかつての覇者、DJ IKUによる極上のコンビ。まずは、DJ IKUがGuns N' Roses~Martin Solveig & Dragonetteから、洋楽ヒットのマッシュアップにSwedish House MafiaなどのEDM、エレクトロ、アーバン、なんでもありのサウンドに驚愕スクラッチ、ターンテーブリズムの妙を織り交ぜたスキルフルなプレイでオーディエンスを圧倒。続いてDJ SHINTAROは、さらにジャンルを無視した、BPMの違いもおかまいなしの振り幅の広い選曲をテクニカルに紡ぐ。季節柄、Mariah Careyの「恋人たちのクリスマス」や日本のお正月アンセム「春の海」(琴で奏でられるあの名曲)などまでマッシュアップ。そしてラストにはスーパーマリオで締め。このエンタメ感、パフォーマンスの高さにオーディエンスも呼応し大喝采。これら冒頭の3組を味わっただけでも、かなりの価値があった。今回は出演者が多いだけに1組1組の持ち時間は通常のイベントに比べ格段に短い。ただそれだけにその短さを逆手に、だれもが瞬発力のある、短時間で魅せるプレイ、それが見事にハマりスタートダッシュが成功していた。

アリーナだけでなく、この日ももちろんWATER、ISLAND、BOXもオープンし、しかも今回はそれぞれの場所がハウス / エレクトロ、ベース、テクノとカテゴライズされ、それぞれのトップランカーたちが最新のサウンドを届けていた。例えば、テクノのBOXでは、DJ OGAWA~SEKITOBAという年代もフィールドも違う、これまでも、これからも見られない様な並びに驚きつつ、ベースのISLANDの爆発力はアリーナとはまた違う、よりアーバンとリンクしたサウンドから生まれる盛り上がりをシンプルに感じたりと、いたるところで様々な楽しみがあった。

今回の「ROAD TO ULTRA TOKYO」の醍醐味というか、楽しみ方の1つに、今後シーンを揺るがすであろう新鋭をいち早くチェックできるところもある。実際、先般のDJ YAMATO、SEKITOBAもそれに当てはまるが、この日初のアリーナ体験となるbanvoxもその1人。最初はやはり緊張もあったかと思うが、時間とともにほぐれ、自身の楽曲、リミックスなどを中心とした初々しいDJライブを披露。エレクトロ~ドラムンベースまでジャンルレスというか、雑食的なサウンドはまさに2010年代、フレッシュな魅力に溢れていた。そして、もう1人、こちらは新鋭というよりも気鋭DJ / アーティスト、kzがbanvoxの後を継ぎライブセットを。これまた瞬発力に溢れた、矢継ぎ早の展開。しかも、この日のためのオリジナル楽曲、Aviciiなどのマッシュアップなども仕込まれ、トリッッキーなプレイで沸かせていた。既存のDJとはまた違う感覚、もしかしたら「ULTRA」の本流とは違うかもしれないが、それでも最高峰のダンスミュージック・フェスティバルとして、様々なサウンド、しかも確実に踊らせる、オーディエンスをロックするサウンドがラインナップされることは正しいし、新鋭のフックアップを含め英断だったと思う。そして、アリーナでは2人目の海外からのゲスト、韓国のDJ Koo。韓国を踊らせるアップリフティングなサウンド、EDM~エレクトロは日本でも通用することを実証していた。

サウンド面にいたっては、ここまでなんの不満があるわけもなく、すでにアリーナは熱狂状態だったが、そんなサウンドをさらに引き立てていたのが映像&レーザー(光)をはじめとする華美な演出。本家「ULTRA MUSIC FESTIVAL」でも、予想を遥かに上回る演出、花火やアトラクション、セットなど、たった数日限りのフェスティバルにはもったいない仕掛けが毎回多々仕込まれているのだが、この日もたっ1日ながら気合いの入りようが違う。音の部分にしても、世界最高のサウンドをもたらすと評判のサウンドシステム、DOIDのINCUBUSがこの日に限り設置されたり、ハイクオリティの映像、レーザーはそれぞれのアーティスト、サウンドに合わせてリンクすることで、その音楽性をより高め、視覚的、フィジカルな部分でもオーディエンスを盛り上げていた。ステージのセットも豪華で、舞台がしっかりと組まれ、そこには度々ダンサーが登場し会場を盛り上げる。どれも、イベントには欠かせないものでもあるが、そのスケール、規模感が違っていた。まさに世界レベルのスケール感が導入されていたのだ。また、違いという意味では、アリーナの作りもこの日はいつもと違い、アリーナのステージ向かって左側にはVVIPエリアが設置され、そこもアリーナ同様の熱気に包まれていた。そんなVVIPだけでなく、一般のお客さんをみても今回は多種多様、海外の方もいつも以上にみかけたし、地方からの遠征組も多数。そして、洋服、身体にULTRAのあのアイコンをマーキングしている人も本当に多く、なかには髪をアイコン部分だけ染めてきたり、刈りあげてきた強者も。それだけみんなが「ULTRA」を待っていたということだろう。

そしてアリーナには、いよいよ登場☆Taku Takahashi。一気にアリーナのボルテージもヒートアップし、すぐさま隙間もないほどの入り用に。そして、驚くことに本イベントのスタート時のスペシャルBACK TO BACKのラストにもかけたm-floの新曲を早々に再びスピン(新曲ですと再度アナウンスしたときの盛り上がりも一興だった)。世界と戦うかのようなこのアンセム、メロディアスで高揚感に溢れ、アタック感もあり、キャッチーなサビ、瞬くまにオーディエンスにも伝わり、すぐさまコール&レスポンスが巻き起こる。

そして☆Taku Takahashiの独壇場、最新のダンスミュージックで満員のアリーナを絶えずロック。アップリフティングでドラマティックでライブ感もある、盛り上がらないわけがない、スタジアム的な盛り上がりに、早くも「ULTRA JAPAN」の片鱗が見えたのは私1人ではないはずだ。みんなが手を挙げて踊る、そしてときに歌う、あの光景は確実に輝いていた。プレイベントというのがもったいないほどに。☆Taku Takahashiの終盤は、m-flo「ALIVE」、そして三たびかかったm-flo本邦初公開の新曲。ここで1つのハイライトを迎えたといっていいほどの盛り上がりをみせた。そんな光景を前に、☆Taku Takahashiも『日本人に生まれて誇りに思います!』、さらには『ウルトラが始まった』とコメントし、ステージを後にした。

盛り上げに盛り上げた☆Taku Takahashiのプレイの後は、“ULTRA JAPAN SPECIAL ANNOUNCEMENT”。待望の「ULTRA JAPAN」の全貌の発表の時間である。プレイ終了後、音もとまり、アリーナの明かりも落とされる。そんななかステージ上にはダンサーが登場し、映像が映し出される。そこには、宇宙、地球を彷彿させるものから海、そしてダリ的な時計の映像、そして時を刻む音。そして、ULTRAのアイコンが胎動し始め、カウントダウンへ。1分半前、ステージにはULTRA JAPANのアンバサダーを務めるVERBALが登場。「ULTRA JAPAN」発表へのカウントダウンをより盛り上げる。そして、その詳細がいよいよ公表された。注目のヘッドライナーは、HARDWELL。今年のDJ Mag誌DJランキング(もっとも権威のある雑誌の有名なDJランキング)、Top 100 DJsにおいて世界最年少でナンバーワンになったオランダのDJ / アーティスト。そして、日程は9月27、28日。場所はTOKYO ODAIBA ULTRA PARK(お台場特設会場)とのこと。HARDWELLの名があがったときの大歓声、みなそれぞれヘッドライナーを予想していたと思うが、あの歓声の大きさをみると「ULTRA JAPAN」への期待がさらに高まったのではないか、そんな印象だった(この日、会場内では「ULTRA JAPAN」の超先行チケットも発売され、それを早くもゲットしている人も多々見かけた)。

そんな衝撃の発表の後、一瞬の静謐をともない、すぐさま女性ボーカルが鳴り響く。今回のスペシャル・アクト、Above & Beyondの登場である。

かつてトランス・シーンで名を馳せ、いまはEDMでも活躍するトップランナーだが、その流れを体現するかのようなプレイ。とにかくトランシー、シンセティックで高揚感たっぷり、一方でEDMのダイナミズム、アタック感も配合し、さらにDJセットはドラマティックというハイブリッドなプレイでオーディエンスを乱舞させる。そんなAbove & Beyondを前に、オーディエンスの熱気もさらに拍車がかかり、海外のフェスでも多々見られる肩車したオーディエンスも増えだしていく。「Sticky Fingers」をはじめ自身の楽曲も多々織りまぜ、さらに背後の映像にもメッセージを飛ばすなどサービス感もまたアリーナを盛り上げる要因。しかも、途中、彼らもまた新曲を本邦初公開という、うれしいニュースが。その情報がスクリーンを通じてオーディエンスに伝えられると、熱狂覚めやらぬ、うれしさあまりにオーディエンスは狂乱状態。

そして、盛り上げるだけ盛り上げた終盤には気持ちよく、エンディングに向かっていく、そのストーリーテリング、長きキャリア、貫禄が成せる熟練の業、これが世界のパフォーマンスだ。ラストはしっとり、そして“Thank You TOKYO”、“Happy Xmas”のメッセージを残りていった。

イベントも中盤から終盤へ。アリーナだけでなく、各所でトップDJたちがブースにあがる。いつもならアリーナでプレイするようなDJたちも、この日はそれぞれカテゴリごとに分かれてプレイ。本家でもショウケース的に様々なサウンドをプレゼンテーションしたりしているので、その感覚をここ日本でも展開しているかのよう。例えばBOX、OFF THE ROCKER~Q’HEY~KEN ISHIIという極上の流れ。そんなことが各所で行なわれる。これが「ULTRA」、世界を魅了するフェスティバルであり、しかもそれが海外レベルで行なわれるというのだから、本編はどうなるのか、いまから垂涎ものだ。



アリーナでは、Above & Beyondとともに今回の目玉のアクト、SHOWTEKがステージへ。オランダの兄弟デュオ、2013年ブレイクしたアーティストの1組といっても過言ではない彼らだが、ステージに現れると同時に、“元気ですか、東京!”と日本語で挨拶(これで掴んだ部分もあったか!?)。

そして速攻でアッパーに、Above & Beyondの余韻も一瞬で吹き飛ばすかのような盛り上げっぷりで、しかもそれが絶えず続く。終始アッパー、決して攻撃的すぎるわけでなく、気持ちいいぐらいのアゲっぷりというか、常に気持ち良く踊らせる高いテンションをキープさせる、それが世界レベルなんだと感嘆。「Booyah」の爆発力も凄まじいものがあり、思った以上にマイクパフォーマンスも激しく、オーディエンスをぐいぐいと引っ張っていく。

ラストまで高いレベルをキープしていた彼らだが、面白かったのは最後の最後。曲もとまったところで、アリーナ内のオーディエンスを突如座らせ、写真の撮影でもするのかと思いきや、再び曲を流し、みんなで飛び上がり、盛り上がる一連のパフォーマンスを敢行。そして自らアンコールを煽りつつ、EDMアンセムで締める。一体感あり、お決まりなところがありつつもサプライズ的な部分もある、そんなSHOWTEKにオーディエンスもハマったようで、最後まで歓声が途絶えず、彼らも“愛してる”と連呼していた。

今回のラインアップのなかでももっともハードに、それでいてハードコアまでシームレスに繋いでいく、REMO-CONビートを展開。お祭り感は幾分増しで、途中“ライディーン”やm-floの「So Mama I'd Love To Catch Up, OK?」(そのまま踊って帰っちゃう系のあの曲を、今夜もあなたを寝かせない系にマッシュアップ)から「LAST CHRISTMAS」までプレイ!クリスマス直前の会場は最後まで大盛り上がり、メインステージのフィナーレに相応しいプレイで会場を沸かした。

長時間、約半日にわたって繰り広げられた「ROAD TO ULTRA TOKYO」。それでも最後終演を惜しむ声が多数あった。しかし、この続きはすでに決まっている。2014年9月27、28日。あくまでプレの「ROAD TO ULTRA TOKYO」でこのレベル、となると本編は果たしてどうなるのか、その期待がさらに膨らむ、それだけのポテンシャルを十分に感じさせる「ROAD TO ULTRA TOKYO」だった。iFLYERでは「ROAD TO ULTRA TOKYO」のフォトギャラリーも掲載中です。こちらでチェックしておこう。

来年の「ULTRA JAPAN 2014」、日本のダンスミュージック史上に名を残す、そんなフェスティバルになるに違いない。早割第二弾チケットは、2月1日(土)発売開始する。売り切れる前にこちらでゲットしよう!