新型コロナウイルスにより世界中が大きな打撃を受けている中で、日本〜世界各国で活躍するアーティストたちに、彼らの住む国の近況と、仕事、音楽シーン、そして彼ら自身の生活に対する今現在の想いをインタビューしていくシリーズ「【新型コロナ VS. 世界のダンスミュージックシーン】アーティストたちが伝える各国の現状、シーンと彼らのこれから」。



最終回となる今回は、最終回に相応しい「L」が特徴のあの 大御所 DJ が登場!

昨年、東京銀座・Plus Tokyo と京都 WORLD KYOTO にて、Mixmash Label Night を日本初開催して話題となった DJ / Producer、EDM 界のレジェンド Laidback Luke(レイドバック・ルーク)。DJ スキルにおいて右に出る者なしと言われる実力と知名度を誇る Laidback Luke は、YouTuber としても知られており、更にはカンフーマスターの肩書まで持つ、まさにスーパーヒーローである。


Avicii を始めとする多くの才能を発掘してきたことでも知られる Laidback Luke に、彼の音楽スタイルについて、自身のレーベル Mixmash Records からリリースされた最新曲「U Don't」について、Swedish House Mafia について、そして新型コロナウイルス感染拡大を受けての STAY HOME 期間中の過ごし方など、ここでしか聴けない iFLYER エクスクーシブインタビューを敢行!。
 

iFLYER:長年続けている YouTube ブログや、YouTube 内でのチュートリアル "In My Mind" では、視聴者にとても分かりやすく説明されていたりと、トーク力もあるあなたですが、一方ご自身のセット中は、MC をしたり、観客に話しかけたりはしませんよね。なぜでしょうか?

Laidback Luke:それは良いポイントだね!今まで僕は一度も自分が話し上手だと思ったことはない。実は、昔はラジオで話すのがすごく下手だった。様々なスピーキングのコーチを付けたり、指導を受けて、やっと Mixmash Radio できちんと話せるようになったんだ。そこに辿り着くまで、3年掛かった。「MC」は「DJ」とは全く違う芸術だと思う。DJ たちは気が付いていないんだと思う、MC をするにはスキルが絶対に必要だってことにね。僕は MC が本当に下手なんだ。あと、音楽の上に重ねて僕がマイクで大きい声を出して煽ったりすると、とても変な声になる。だから僕は自分が話すより、僕の音楽自体が話してくれたら良いと思っている。


iFLYER:あなたは、自分が運営するインターネットフォーラムで Avicii を発掘したり、2009年に開催された自身のパーティー "Super You & Me" でまだ無名だった Hardwell や Diplo を DJ として招待したりしていますが、他にもまだ世間には知られていない、あなたが発掘されたアーティストはいますか? 個人的には、DJ Snake もそのうちの1人だと思っていますが。

Laidback Luke:え、DJ Snake もだっけ?それは知らなった!でもたくさんいるよ。Steve Angello も僕のネットフォーラムに居た。Nicky Romero もね。それから最近昔貰ったメッセージを読み返していたんだけど、まだ全然無名だったDeniz Koyu からも DM が届いていたね。今すごく有名な DJ / Producers やプロフェッショナルな人たち……本当に多くの人たちが僕のフォーラムにいたよ。

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ちなみにこちらが2014年に Miami で開催された Laidback Luke のパーティー「Super you & Me」。今となっては考えられないような超豪華ラインナップだ。



iFLYER:現在までに数多くのヒット曲をリリースされていますが、もし3曲だけで Laidback Luke を表すとしたら、どの3曲を選びますか?

Laidback Luke:ワオ!面白い質問だね。そうだね、"Leave The World Behind" "Break Down" "Turbulence" かな。
 

iFLYER:Swedish House Mafia(以下 SHM)が SHM を結成する前に、彼らと "Get Dumb" をリリースし、その翌年 SHM と共に “Leave the World Behind” をリリースしました。更に Steve Angello とのコラボ曲 "Show Me Love" も、今でも多くの DJ がプレイする色褪せない名曲です。
ファンはまた SHM x Laidbac Luke のコラボ曲を聴きたいと思いますが、ご自身としてはいかがでしょうか? また、SHM が再結成されてから楽曲はリリースされていませんが、SHM の友人として、そしてプロデューサー仲間として、彼らの再結成についてはどうお考えでしょうか?


Laidback Luke:知らない人も多いけど、その頃の Swedish House Mafia のメンバーには、Eric Prydz も含まれていたんだ! 彼らと音楽を制作するのはとても楽しかった。だけど "Leave The World Behind" の後、色々政治的な事情が絡んで……終わりを迎えた。だから彼らのドキュメンタリーに出てくる僕の顔は、モザイク加工されている。

彼らが再結成してから新しい音楽をリリースしていないことについては、全く分からないね。だって僕はここにいて、常に音楽を制作して、たくさんの楽曲をリリースしてる。SHM の新しい音楽がリリースされるのを待つしかない。


iFLYER:多くの人々は、SNS を見て、DJ やプロデューサーのライフスタイルは豪華でセレブなイメージを持っているものですが、それに反して、あなたはとてもストイックで、アルコールを飲んでいるイメージがあまりありません。Steve Aoki もストイックな姿やアルコールを飲まないようで、あなたと共通する部分がありますが、こういった共通点がコラボに繋がった部分もあるのでしょうか? またご自身が駆け出しの頃は、派手にパーティーをしていたのでしょうか?​

Laidback Luke:僕がストイックに見える理由は、恐らく……僕は若い頃に派手なパーティーをし続けた。そして、これは僕の道じゃないと、非常に厳しい形で学んだ。その頃、僕はパーティーをし過ぎてアルコール依存症になりかけていた。それは僕の家族、そして僕のキャリアにとっても絶対に良くないことだった。この生活を変えなければならないと思った。僕は、100%やるか、やらないかというタイプの人間だからね。それから、アルコール摂取についても変えなければならないと思った。それまでの生活やアルコールを止めたら、音楽に対する集中力もとても変わったし、自分が大好きな音楽制作に取り組める。

Steve の働き方は本当に信じられないよ。僕たちは常に良い関係、良い繋がりを持っている。でも、たまに Steve について心配になるんだ。働きづめで、Steve 自身の人生を楽しんでいないんじゃないかってね。


iFLYER:プロデューサとしても大成功し、DJ もかなりの腕前であるあなたは、DENON CDJ を4台使っており、それは Pioneer CDJ に換算すると8台分に相当しますが、そんなあなたでもミスをしたことや、ミスをしたけど誰も気が付かなかった……というようなこともありましたか? また、今までにステージでプレイしていて面白かったことや変わった経験があれば教えて下さい。

Laidback Luke:そう、その通り! だけどミキサーは4チャンネルしかないけどね。8台の CDJ を活用することはできないかな(笑)。セット中、小さなミスはたくさんしているよ! でも、素早くクリエイティブにミクシングする上で、ある意味それは僕が背負わなければならないリスクだからね。もちろん、非常にクリーンなミックスもできるけど、それは僕にとっても死ぬほどつまらないことなんだ。それらから皆に学んで欲しいことは、リスクを負ってでも、こういったことをして良いんだ、ってことだ。だってそれは、皆に本当にその場でちゃんと DJ をしているのを見せられるってことだからね!  こういったアートを続けていって欲しい。だって、本当に楽しいことだからね!

僕がショーでミックスをしているときには、極度なパワーが必要で、かなりの集中力が必要となる。テクニカルなプレイを心掛けているしね……でもファンたちは、僕がそういった状態でも携帯を掲げてセルフィーを撮影したい、なんて言ってくる……そんな時には、ついつい「僕は今、物凄く集中してここで仕事をしているんだ!」って思っちゃうときもあるよね(笑)。 


iFLYER:Mixmash Records の15周年、おめでとうございます! 15周年を記念して "15 Years Of Mixmash | Remix Album" をリリースされましたね。このアルバムにはどういった感情や想いを込めてリリースしおたのでしょうか?

Laidback Luke:ありがとう! あぁ、もう物凄くたくさんの思い出があるよ! さっき話したように、若い才能あるプロデューサーの曲を僕のレーベルからリリースして、彼らが開花していくのを見るんだ。マイアミで開催された「The Miami Mixmash Takeovers」は、始めた当初から常に素晴らしい。その頃は、Mixmash からリリースしたものは、全て僕がマスタリングしていたよ。


Remix Album は最高だ。素晴らしいプロデューサーにトラックのリミックスを頼んだんだけど、このアルバムの一部になれることに、みんな夢中になってくれた。今は僕たちのチームはとても大きくなって、プロフェッショナルな人ばかりだ。だから僕は彼らを本当に誇りに思うよ! 僕は確信している、今後もずっと Mixmash は続くってね!
 

iFLYER:先日リリースされた最新曲 “U Don’t” ​は、どういったインスピレーションを受けて制作したのですか? 何か制作秘話などがあれば、ぜひ教えて下さい。

Laidback Luke:このトラックは Mixmash のために作った Domastic のデモだったんだ。それで僕はそのデモが好きだったし、曲の感じを理解できた。しかし、このトラックをどこか少し変えなければならないとも感じていた。それで、彼がこのトラックをコラボ曲として一緒に制作できないだろうか、と提案された。
彼はこのトラックに僕の手を加えることを熱望していて、僕のフィードバックをこの曲に加えた。その後、このトラックをマスタリングできて、とてもハッピーだったよ。製作秘話っていうほどのものは特にないね。ただトラックをお互いにチェックし合って、というプロセスだった。あるとき、僕はボーカルを別のボーカルに入れ替えてみたけど、Domastic はあまりその入れ替えに対して前向きじゃなかった。でも、それは公平なことだ。それから彼は、最後の最後でブレイク部分をピアノに変えたんだ。それには僕も大賛成だったよ。
 

iFLYER:現在あなたはニューヨークにお住まいで、自主隔離中かと思いますが、音楽制作をしたりライブストリーミングに出演したりする以外のお時間は何をしていますか?

Laidback Luke:うん、僕は今ニューヨークに住んでいる。ニューヨークの自主隔離期間は、凄く長いね。音楽制作とライブストリーミング以外では、常に体を鍛えているし、もちろんカンフーもしている。そうだね……たくさんあるな……。どうやって自分で散髪すればいいかも学んだね(笑)。新しいスクラッチについても学び始めた。「the Boomerang scratch」っていうんだけど、非常に長いプロセスだ!

僕は妻と子どもと素晴らしい時間を過ごすことも楽しんでいる。Zoom で家族と話したりもしているね。僕の娘は現在ホームスクール中なんだけど、それも僕たちにとっては新しいことだしね。親としては、やる事がほんとうにたくさんあると思う。


iFLYER:この新型コロナウイルスの流行とパンデミックな状況は、おそらく一生に一度あるかないかの経験かと思います。クラブやフェスティバルは開催出来ない状況が続いていますが、この状況が収束した後、音楽業界にどんな影響を与えると思いますか?

Laidback Luke:それはすごく重い質問だね! 僕の YouTube チャンネルで配信している「Late Night Luke show」で取り扱ったトピックでもあるんだけど、その時は、この質問のインタビューを AfrojackDash BerlinGattusoLady Bee にしたんだ。音楽業界に与える影響はもの凄く大きいと思う。現在の状況は、フェスティバルが開催されていた頃とは全く違う。例えワクチンができた後でも、状況が回復するのには時間が必要だと思う。全世界は、精神的にも経済的にも大きな打撃を受けているから、結果的に今後のチケット販売にも影響が出ると思うしね。だから僕たちは全く新しい世界に入る寸前にいるんだと思う。昔の世界とは全く異なる世界だね。


iFLYER:最後に日本のファンのみなさんへメッセージを頂けますか?

Laidback Luke:みんな大好きだよ。いつも僕をサポートしてくれてありがとう! どうかみんな安全でいてね。それからレイブする時も安全にね。またみんなの前でプレイできる日が来ることを祈っているよ!
 

Laidback Luke

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