ネバダ州のブラック・ロック・砂漠のプラヤで開催される、砂漠の中の奇祭フェスとして有名な Burning Man(バーニング・マン)だが、2023年度の今年は大変なことになってしまった。

AP 通信によると、ネバダ州ラスベガスは8月、熱帯低気圧「ヒラリー」の影響により、ラスベガス周辺には先週2週間にわたって大雨が続いた。平年より30ミリも多い99ミリもの雨量が降り注ぎ、9月1日、2日の2日間に降った雨量は6カ月分の雨量に近い76ミリもの雨が降ったとのことだ。これにより、ネバダ州の東部、北部中央部、北東部、南部中央部には、4日の朝まで洪水警報が発令されていたとのことだ。

▼ ラスベガスの洪水の様子
 

1日に起きた暴風雨の影響で、ブラック・ロック砂漠全体が泥沼化

その大雨はもちろん、ネバダ州の砂漠にて8月27日〜9月4日にかけて開催されていた Burning Man にも大きな影響を与えた。
通常は乾燥しており砂埃だらけの砂漠地帯であるブラック・ロック砂漠だが、1日に突如暴風雨が吹き荒れ、イベント会場全体が泥沼化。同日午後には米国内務省の土地管理局(BLM)により、4日まで Burning Man 会場となるブラック・ロック・シティへの出入りを遮断、ネバダ州運輸省も付近の道路を閉鎖、Burning Man のオーガナイザーも、ブラック・ロックシティに出入りするゲート、空港を閉鎖する旨を発表していた。

米国国立気象庁の発表では、1日・2日のブラックロック・シティーの累積降水量は20.32ミリで、これは同地域の年間降水量は171.45ミリのうち最大3カ月分に相当するとのことで、CNN 放送によると「砂漠ではごく少量の雨でも洪水化することがある」とのことだ。

パーシング郡保安官事務所は、鉄砲水に関連した死傷者を調査中で、イベントにて参加者1名が死亡しているとのことだが、詳細な身元や死因などはまだ明かされていない。

▼ 嵐に見舞われた Burning Man 会場の様子
 

現在はインフラが若干復旧した Burning Man

そんな中、約7万人とも言われる参加者たちの多くがまだ、泥沼の荒野と化したブラック・ロック・シティに取り残されたままとなっているとのことだ。現在イベント会場ではテントが倒壊し、トイレも使えない状況となってしまった。Burning Man は "自給自足" というテーマを掲げているため、主催者側からの食糧、飲料水、避難場所の提供などはされず、「食料、水、燃料等を保存して、仮説都市(ブラック・ロック・シティ)内の安全な場所へ移動するように」という勧告が出された。
その後、現在は少しずつイベントは復旧しているようで、町の中に移動基地局を設置してインターネットは使えるようになり、粘土化した砂埃のヘドロに覆われて車両が通行できなくなっていた道路も、現在では一部復旧しているようで、8km離れた最寄りの町・ゲルラッハからのシャトルバスも運行されるようになったとのことだ。
 

なお、フェスのフィナーレとなる、Burning Man の象徴的な人形「The Man 」のモニュメントを燃やすイベントは、本来現地時間の日曜日に開催予定だったところを9月4日月曜日の午後9時〜、バベルの礼拝堂を燃やすのは同日真夜中に変更となったとのことだ。
また、こういった状況になってしまうと、フェス参加者たちが倒壊したテントやゴミをその辺に散らかしたまま破棄して帰ってしまうことも多いが、主催者サイドは SNS にて撤去作業をしっかりとやるようにバーナーたちにアナウンスしている。
 
 

Diplo(ディプロ)はファンに助けられつつ自力で脱出! その後何もなかったかのように筋トレ&ランニング&次のフェスでハッスル!!

一部参加者は、自力&徒歩移動で Burning Man 会場であるブラック・ロック砂漠からの脱出を試みている。しかし、泥の中を歩くのは至難の技であるようで、通常なら1時間も歩けば4〜5キロ程度は移動できるところだが、3キロ移動するのに2時間以上かかったと語る参加者も。
それもそのはず、砂漠全体が深い泥のプールとなっており、粘土化したヘドロが歩くたびに靴底にへばり付くので、歩きにくいのだ。恐らく、田んぼの中で歩くようなものだろう。バーナーの中には、ビニル袋をレインブーツ代わりに履き、泥の中を何キロも歩いて進む人も多かったようだ。

そして Burning Man に参加していた DJ/Producer の Diplo と、コメディアン/俳優の Chris Rock(クリス・ロック)も脱出組の中の1組だった。
Burning Man にて約3時間 DJ をした後、Diplo は4時間かけて泥沼の中を歩き、親切なファンの車に乗せてもらってなんとか空港にたどり着いた模様。Diplo はこの脱出劇の様子を SNS に投稿している。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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Diplo の Instagram ストーリーを見ると、そこからワシントン DC に行き、ホテルで泥を落とし、泥の中を4時間歩いた後であるにも関わらず、ワシントン DC 開催のイベントでハッスル、その後ジムでトレーニングをし、更に上半身裸でランニング、そしてそしてまたネバダ州ラスベガスに戻って出演……と、間髪入れずにアクティブ過ぎる多忙な日々に戻っている。
 
手作業での田植えをしたことがある人ならわかるだろうが、通常、慣れない人が泥の中を4時間も歩いたら、翌日の筋肉痛や疲労が酷過ぎて、ベッドから起き上がれなくなるはずだ。さすが、トップアーティストは体力もハンパないと思わせてくれる Diplo であった……。