2013年5月25日(土)の営業をもってクローズとなる西麻布eleven。それに先立つ5月24日(金)に開催される『eleven Closing Party with Joaquin Joe Claussell』に出演するJoe Claussellから、日本のMUSIC LOVERSへメッセージが届いた。

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音楽を愛する日本の皆さんへ

再び僕の心は破れ、地球から足を掬われたような気持になった。

僕は着地点が全く見えない空虚の深淵に陥り、不意に自分の涙によって満たされたプールの中へと投げ出されたように感じている。 これまでの中で下記のニュースが恐らく最も悲しいものだ。それは僕だけの個人的なものではなく、音楽のそのものにも関わることだ。「失って初めて、その人やその物事の重大さが初めて分る」と言うことわざがある。僕は、このことわざを噛みしめて生きてきたけれど、今回は違う。

恐らく、多くの皆さんが今となってはイレブン閉店という悲しいニュースを耳にしたと思う。

イレブンを知らない皆さんに対して簡潔に言及すると、イレブンというクラブは非常に多岐に渡るジャンルのDJを招聘してきた東京にある本当に特別なクラブであり、日本国内に留まらない素晴らしいスピリットを持った音楽とオーディエンスの皆さんとの間に重要な繋がりを持っている。また、音楽を守るために国際的な連携も果たしている。それ故に僕たちはイキイキと生活することが出来ているんだ!

この僕たちの心を打ち砕いたイレブンに関するニュースは、様々な理由によるものだけれど特に悲しいものだ。人は、その人なりの物の見方や考え方があるけれど、僕にとって2,3の大切なものがすぐに心の中に浮かんできた。

現在、僕たちは以前よりも更に音楽と愛が必要とされる時代を生きている。僕たちを地理的に切り離している海は秒刻みで更に拡大しつづけている。昨今における人間同士の関係は、船が徐々に霧の中へと消えて視界から見えなくなるような希薄なものだと感じている。しかし、僕たちはこのような海に立っている数々の橋の上に存在しており、またそれらの橋は、人類は平等であるという共通点を見出す事ができる重要な情報の産物を伴った文化によって繋がっているものだ。そのような繋がりから、がん細胞のような悪質なものを排除することが可能となる。それが明らかなのにも関わらず、悲嘆に暮れていることは、プラグをコンセントに差し入れる度に、絶えず映し出されているテレビやハリウッド等からの誤った宣伝戦略や情報から混乱が生じており、またそれは世界的な規模で人類同士が憎み合う結果をもたらすものでもあるということだ。

イレブンがオープンし、そこで初めてプレイした当時の僕に関するニュースを最初に聞いた人は恐らく、どうして僕がこれほどまでにイレブンに対して情熱を抱くのか不思議に思ったかもしれない。率直にその理由を語ると長くなるけれど、イレブンが僕たちに事実、意図してきたことについて伝えるのは今回が初めてなんだ。端的に言えばクラブでもあり、殿堂とも言えるこの教会を支えている愛すべき家族のようなスタッフは本当に特別だと思っている。ここは音楽の殿堂であるが故に入店するとすぐに、人々と調和した素晴らしいバランスで成り立っている愛と音楽がそこにある、という事実を目の当たりにすることができる。先に言及したように希望、という名のゲートウェイを持つ橋の内の1本がそこには提供されている。様々な意味でその橋を個人的に渡ろうが渡るまいが、その橋はイレブンスタッフからの真の献身と愛によって提供されているものだ。また、イレブンは勇敢にも気高い正義感と共に音楽的な自由とその表現を保護するという任務を成し遂げている。様々な変革がある中でも彼らは決して屈しなかった。最近に起きたこの不運な状況をイレブンの経営層であり、真のミュージックラバーである市川祐子氏から他に選択の余地は無く、応じなくてはならなかった、と実直であり且つ痛みを伴った説明を受けた。イレブンを知ろうが知るまいが、このニュースが僕たちにとってどれほどの打撃を持つものであるか、僕は限られた言葉で表現することができない。

DJ、パフォーマー、ミュージックラバーダンサーであろうがあるまいが、このニュースは僕たち全てに影響を与えるだろう!

これは僕の考えだけど、これは一旦の閉店であることにも納得している。救済者の魂を持った振りをしている強欲な拝金主義者からは、永遠に奪われ去ることのない愛と情熱を持つイレブンという組織を僕は信じているからだ。愛と癒しのバイブレーションをもたらす使者として僕たちに働きかけてくれることにより、音楽に対する第一義的なミッションと寄与と共に存在していた、或る意味で騒音からの避難場所でもあったこの場が、再オープンすることを僕は拒否する。

僕はクロージングパーティの一端を担うDJとして招聘されたことに深く心を動かされ、そして又それを誇りに思っているよ。閉店に際して僕はこのメッセージを読んでくれた皆さんには、この音楽の救済者であり、且つ本当に素晴らしい人間性をもった親愛なるイレブンに対し、もし参加することが可能であればイレブンに来て下さい、けれども遠方に住んでいて参加出来ないなどであれば、手紙を書いて投函するように、もしくはメールを書いて送信するようにお別れを心の中で告げて下さい、と最後にお願いするよ。

出発は5月24日と5月25日。

第二章は間もなくやってくる。

読んでくれてありがとう。

音楽は日々を救う。

Joaquin Joe Claussell

5/20/2013

Special Thanks To Megumi Wakatsuki For The Translation and Atsuko Miyazaki For The Assistance.

 

 

Event Information

eleven Closing Party with Joaquin Joe Claussell
5月24日(金)@ eleven
START 22:00