今年、日本初上陸を果たした世界をリードするダンスイベントSENSATIONは、幕張メッセ9-11ホールを会場に10月10日(土)開催、2万人を動員した完全完売の人気イベントとなった。一日のみのイベントだったが、ULTRAなどの大型フェスとは異なって、開場を21時にし、イベントは翌朝の5時まで続くまさに、オールナイターパーティーなのだ。
 
今年のラインアップは、Mr White、Sunnery James & Ryan Marciano、Sander Van Doorn、DannicそしてLaidback Lukeというルーツでもあるオランダ色の強い豪華なメンツとなった。

 
SENSATIONで際立つのがドレスコード。小物や靴は、ほかのカラーでもOKだがトップスとボトムズが白。そもそも、なぜ白なのか。
 
イベントディレクターのEric Keijerによると、最初は、友達グループで進めたこのイベント関係者の一人が交通事故で亡くなってしまい、2回目のSENSATIONでは、観客に彼を悼むのではなく、彼の功績をたたえるために、白を着るように呼びかけたところ、80%以上の観客が白で会場入りし、以後イベントの大切なエレメントとし、白がドレスコードとなったのだ。
 
よって、SENSATIONの白は、単なるドレスコードだけでなく、大切なSENSATIONファミリーへの賛辞なのだ。
 

SENSATIONのヒストリー


SENSATIONは、2000年からオランダ・アムステルダムのアムステルダムアリーナを拠点に始まり、2005年からは、カナダ・トロント、タイ・バンコク、韓国・ソウル、トルコ・イスタンブールなど計32カ国の都市で開催を果たす歴史の長いダンスイベント。最初は、トランス音楽を中心にしたものの、時代の流れや各国の文化の影響により、最近は、ハウスミュージックとEDMの融合を中心の音楽スタイルとしてきた。そのイベントを作り上げたのも、かの有名なイベント会社ID&T。彼らは、Amsterdam Music Event、MysterlandそしてTomorrowlandも手がける大物カンパニーなのだ。彼らの手にかかれば、魔法のような世界観が観客を包む。
 
ドバイでは、Ocean of WhiteそしてMonterryでは、Innerspaceなど計7つのテーマ・世界観性を持つSENSATIONだが、日本ではWicked Wonderlandが適用された。
 

第1章     Mr White 〜少女アリスの演出〜

 
10秒のカウントダウンを合図に、’Ladies and Gentleman Welcome to the world of SENSATIONとアナウンスが始まり、ついに幕開けとなった。天井からぶら下がる4つのスコールのような画面には、たんぽぽ畑を走るアリスの姿から毒を飲み、縮むアリスの映像が流れ、実際に背の高いアリスから小さいアリスがでてくるサーカスのような演技もミニステージで行われた。


Mr Whiteは、SENSATIONの象徴ともいえる常連のオープニングDJ。彼なしでは、センセーションは語れない。正体不明の真っ白なメークが特徴的の覆面DJ。なんとメークは二時間もかかるのだとか!トロピカルなメロディック楽曲からヒッピーなビーツで会場を盛り上げた。EDMへの変化をとげる前に、最近注目の高いフューチャーハウスのジャンルで会場を新しい音色に包んだ。
 

第2章     Sunnery James & Ryan Marciano 〜アリスの演出〜
 

Mr Whiteのアツいファーストステージが終了すると、会場には、’Standing Still or Moving Forward is your decision’とアナウンスが流れ、更なる盛り上がりを期待させる。メインステージの両脇からスモークが噴射され、蝶の羽が出現し、更にはばたくSENSATIONを思わせるように、ステージが美しく変化していく。照明もハートや花の模様の可愛らしいデザインが会場のあちこちを照らす。


‘Tokyo how you feeling?!’と声かけをしながら、レゲエのような曲調を思わせるハウスジャンルで曲を次々に演出するSunnery James & Ryan Marcianoが登場。ヴォーカルのない真の音楽を感じ取るハウス音楽を中心に会場を湧かせ、’Hands in the air’を連呼、ビートに会場の一体感をのせた。名曲「Tribeca」や「Karusell」を連発。ときには、曲をフェイドアウトさせ、観客に歌わせたり、片方がDJプレイし、もう片方が観客に呼びかけたりとデュオらしいプレイを見せてくれた。フェスの名曲でもあるEurythmicsの「Sweet Dreams」やCalvin HarrisとAlessoの楽曲「Under Control」を新たな曲に感じさせるリミックスでかける。Fat Boy SlimとBenny Bannasiの「What The Fuck」もリミックスで妙なリズム感をみせつける。

 
その間、日本人ダンサーたちも椅子を使ったセクシーダンスで大人のアリスを演出し、最後にはクリームホワイト色のバルーンを膨らませ、紙吹雪を爆発させ、会場を更にヒートアップ。’Arigato Japan’とファンへの敬意を示し、Swedish House Mafiaのメンバーからも絶賛されるSunnery James & Ryan Marcianoの注目コンビのプレイは終了。
 

第3章     スペシャル演出

 
次に10分ほどのDJなし、音楽とダンサーのパフォーマンスショーがはじまる。’Please enter at your own pleasure’というアナウンスが入り、アリスが色々なドアを開けると様々な曲が流れ、好きなドアに入るという小さなストーリーがスクリーンに映し出される。ヒップホップ、メタル、庭を思わせる効果音などの中でも最もユニークだったのが日本の国歌「君が代」。またFlorida「Good Feeling」のSkrillex RemixなどDubstepも流れる中、アリスが選択したのは、もちろんハウスミュージック。ここでハウス界のスーパースターが登場する。
 

第4章     Sander Van Doorn 〜クイーンの演出〜


 
夜中を過ぎ、翌日の朝1時を手前にSander Van Doornが登場。常に’Are you ready to make some noise?! 1, 2, 3, 4 Jump!’と観客を最高潮にもってこうとする。今回同ステージにたったSunnery James & Ryan Marcianoとの楽曲「ABC Extended Remix」がとくに未来的ヴォーカルを感じさせる新感覚の印象的な一曲だった。その他にも、Martin Garrixとの「Gold Skies」、Coldplay 「Sky Full of Stars」のリミックス、Yeah Yeah Yeah 「Heads Will Roll」などヴォーカル曲も使用。中盤の盛り上がりをみせた。
 

第5章     Dannic 〜キャンディガールの演出〜



 
今回初めての日本でのパフォーマンスのDannicは、更に会場を湧かせた。自分自身のオリジナル楽曲と日本人に受けの良い意識した、多くのポップ曲のリミックス(ポップジャンル)をカバー。Justin Bieber 「What Do You Mean」、Alesso「Heroes」、Icona Pop「I Love It」「Route94」 「My Love」などを中心に、会場を湧かせた。同じくらいに会場を盛り上げたのが、キャンディガールの演出。巨大なキャンディーの棒部分をポールダンスに使用し、ポップな色使いを使った衣装やヘアスタイルとは真逆の激しいダンス力で会場をさらにヒートアップ。
 

第6章    Laidback Luke 〜総合ファイナル演出〜



 
最後のファイナルDJは、自身の名曲Martin Solveigとの共同作「Blow」で登場。オランダ界の大物Laidback Lukeがついに降臨。Laidback Lukeの今回のパフォーマンスで印象的なのがジャンルレス。様々な曲を自身のスタイルにアレンジし、ビートより自分のテクニカル技術のスクラッチを見せつけた。Kid Cudi「Pursuit of Happiness」、Steve Aoki とLil Johnとの「Turbulence」、Adele「Rolling in the Deep」、Showtek「Booyah」、John Newman「Love Me Again」などの名曲をかけながら、自身の象徴でもあるLLマークやハートマークを手で示し、トリを務めるに相応しい圧巻のパフォーマンスを披露。とくに、印象的な曲が、映画『ライオンキング』でお馴染みのKing of Africaの曲をリミックスし、ライオン界の王様ともいえるMufasaを楽曲のタイトルにしたPeking Dukとのコラボをかける連携プレイ。


その他も観客に歌詞を歌わせるOasis「Wonderwall」やピンクの照明で会場を包め、Armin Van Buurenの名曲「This Is What It Feels Like」をリミックス。Ultra Japan 2015でのArmin Van Buurenのパフォーマンスの際に記憶が新しい、手で照明のライトを操るプチ演出も。そのほかにも、自身のヒット曲「1 2 3 4」でも最終盛り上がりをみせる。またひと味変わった面白い演出で、ヒップホップとEDMを融合し、オールドスクールのDJ Khaled「All I Do Is Win」をアレンジし、会場に一時ヒップホップなヴァイブをEDM旋風の中に埋め込んだ。
 
最後に、日本初上陸にもかかわらず、完全完売したイベントを支えたID&Tチームのリーダーにシャンパンシャワーで祝福、来年またSENSATIONに来てほしいかというMCの質問に会場が最大のボリュームで返答し、ショーは幕を閉じた。司会を務めたMC GEEは、完全完売した日本初のイベントの感動をチーム代表としてアツい思いを語りながら、場内の歓声を浴びた。
 
今後夏のULTRAに続く秋の人気イベントになるのは間違いないだろう。
 

会場編

 
世界的DJが奏でる美しい音だけでなく、美しい会場の中でハウスミュージックの鼓動を感じるSENSATIONは屈指のダンスイベントだ。

 
会場は、大きな幕張メッセのステージを活用するように、真ん中にSENSATIONでお馴染みの回転するDJブースのセンターステージを設置。そこから放射線上に、四つのレーンとその先にミニステージが立つ。センターステージは、白のカーテンが開演前DJステージを囲み、その上には、アリスのデザインらしい時計が観客を見守る。右側に、関係者やVIPの高台席、左側に、Deluxe Guestの高台スタンディングスペースを設けたステージ構成となった。入り口の壁には、不思議な国に迷い込むかのような、ライティングがランダムに反射する鍵穴のオブジェが飾られ、まさに新しい世界観へと足を踏み込む雰囲気をつくる。そして天井には、その入り口を開ける鍵の光るオブジェが何個もぶらさがり、美術面でも見事に世界観を演出している。

 
センターステージはとくに、ファンに嬉しいサービスがある。アーティストやダンサーたちは、バックステージからセンターステージまで会場の観客の中をセキュリティに囲まれ移動するたのだ。よってラッキーな人はダンサーの豪華な衣装やアーティストと握手・セルフィーなど出来てしまう!どのアーティストもファンサービスがよく、とくにDannicやLaidback Lukeは限られたわずかな時間で出来るだけ多くのファンと触れ合っていた。
 

実用編〜ファッション〜

 
SENSATIONで注目したいのがファッション。ULTRAやElectric Zooと異なり、白と限定的であっても、みんなクリエイティブに個性を出していく。
 
服も、単に白のトップスやボトムズでなく、アリスらしい白のパフドレス、結婚式を思わせる豪華ドレス、光るチュチュ!


 
とくに、小物でアクセントをつけるファッショニスタが続出!
天使の羽をつけて夢のような世界観を演出するガールたち。
 
うさぎのレース耳をつけて、一工夫する女子も!

 
白い花の冠、白の帽子・ニット帽、白いヘルメット、白いアフロヘア、白のネイティブアメリカンフェザー飾り、ミッキーマウスを形どった光るバンド、など様々な工夫する人がたくさん!
 
そのほか完売続出のSENSATIONオリジナルグッズを身につけてSENSATIONィーバーを巻き起こすレイバーたちも印象的だった。