昨年の「YYY Vol.0.5」に始まり、回を重ねるごとに勢いを増すLIVE&PARTY「YYY(ワイワイワイ)」。中田ヤスタカ、kz(livetune+)​、tofubeats、banvoxの豪華4組がレジデントを務め、全世代に向けて最新の音楽、最高峰の舞台演出でオーディエンスに日本トップレベルの音楽を届けてきた。
これまではライブタイムでの開催だったが、今回の「YYY Vol.3 -CLUB EDITION-Presented by DJノブナガ」はナイトタイム公演として開催されることとなり、日本を代表するトップアーティストのライブが繰り広げられる「YYY」を国内最大規模のエンターテインメントスペース、新木場ageHaで朝まで楽しむことができるようになった


今回の「YYY」のオープニングを務めるのはMATZ。テレビ番組でTeddyloidが「注目のアーティスト」として紹介し、業界からの注目を浴びることになった彼は、現在のダンスミュージックシーンを牽引する4組のアーティストがレジデントを務める「YYY」にニューカマーとして大抜擢された。ARENAフロアのオープンとともにセットがスタートし、一曲目から遠慮ナシで自分の世界観を展開。ベースハウスやダブステップ、ビッグルーム系のエレクトロハウスなどのアップテンポな選曲でフロアに徐々に集まったオーディエンスのテンションを上げて行く。MATZは自身初となるARENAでのパフォーマンスだったが、緊張した姿はフロアからは見受けられず、常に堂々とした立ち振る舞いで全力で客を煽り続けていた。

終盤には7月にリリースされたばかりの最新EP「Composite」から「I See You」をプレイしてkz(livetune+)へバトンタッチ。彼は次世代を担うアーティストとして、申し分のないインパクト​を残した。iFLYERは1st EPのリリースのタイミングでMATZにインタビューを行っている。今回のイベントで彼に興味を持った方はぜひチェックして見て欲しい。


数々のジャンルで楽曲をプロデュースするkz(livetune+)​は、彼らしさを主張するボーカロイドやアニメの楽曲を要所要所に組み込んだセットで、フロアで踊る幅広い層にアプローチ。時にヘヴィに、時にキュートにフロアの空気を盛り上げた。

初盤、自身がRemixを手がけたOwl City & Carly Rae Jepsen「Good Time(kz Remix)」では、フロアの盛り上がりが一気に高まり、サビの歌詞を合唱しながら拳を突き上げてジャンプする人々がダンスフロアを揺らした。そこから曲調は一転、重めのTJR「Time To Jack」でフロアの空気を引き締め、次に
kz(livetune+)の「Satisfaction」と、タイプの違うサウンドでメリハリをつけながら観客を飽きさせずにナチュラルに繋いでいくスキルはさすがの一言。
TVアニメ『化物語』から「恋愛サーキュレーション」のRemix、可愛らしさから一転、パスピエの「Matatabistep」、UNISON SQUARE GARDENの「シュガーソングとビターステップ」が掛かると、場内のあちこちから手拍子が鳴らされ、女性たちの黄色い歓声が上がった。
途中、ポールダンサーがステージ上に登場し、DJブースを挟んでセクシーなダンスを披露。「Radio Happy (kz remix) 」のアップテンポでテンションの高いアニメ声と肉感的でエロティックなポールダンサーズという異色のコラボレーションが実現され、フロアの視線を楽しませた。

Quintinoの「Carnival」、Party Favorの「Wawa」でBPMは加速し、Pa's Lam System「Twiststep」で、もはや息切れを起こすような会場のテンションの中、虹色のレーザーが会場を駆け巡り、フィナーレに向けて一気に盛り上がりを見せた。テンションが上り詰めたところで、Porter Robinsonの「Sad Machine」でチルな雰囲気に…と思わせたが、そこで再度BPMの速度を上げて最後のクライマックスへ。ラストはTVコマーシャルでも使用された自身の楽曲「Tell Your World」を流し、初音ミクの機械的だが優しい歌声でフロアを包み込んだ。


今回の「YYY Vol.3 -CLUB EDITION-Presented by DJノブナガ」は過去3回からさらにパワーアップし、新木場ageHaのフロアを全て使った4フロアで展開。人気パーティ「Ray-Van」がWATERフロアで開催され、副島ショーゴ(T.U.S)、TJO、Fumihiko Chiba、YASUKIを筆頭に全国のフロアを沸かしまくっているDJ達がエレクトロからドラムンベース、テクノまで幅広い選曲でプールを囲みながら東京湾を眺めることができるWATERフロアを盛り上げる。
新宿二丁目で2003年にスタートした邦楽オンリーのクラブパーティー「じゃぱんぐ♪」がBOXで邦ロックからJPOPまでナイスミュージックを届け、numbersixxxがレジデントを務める人気パーティ「xxx」がISLANDでオープンフォーマットでフレキシブルな選曲でフロアを魅了した。


続いてステージに現れたのは、中田ヤスタカ
Capsuleのメンバーとして日本のエレクトロシーンに絶大なインパクトを残し、きゃりーぱみゅぱみゅPerfumeらのプロデューサーとして、「ULTRA MUSIC FESTIVAL」の公式アンセム楽曲を手がけるなど日本のエレクトロニックミュージックを海外に知らしめ続ける立役者。今回の中田ヤスタカのセットはダブステップチューン、Datsik & Virtual Riotの「Nasty」でいつもよりも何倍も増してハードなトラックでスタート。すでに2人のアクトで大きな盛り上がりを見せていたフロアに、火に油を注ぐかの如くフロアの熱量を押し上げて行く。

今回もVJには滝紘平が「YYY Vol.3」をサポートするDJノブナガのキャラクターを使ったポップでキュートでありながらサディスティックな一面も持ち合わせた映像で中田ヤスタカの奏でる音楽の世界観を視覚で楽しませる。
セット序盤からWAVEDASHの「Bang」ときゃりーぱみゅぱみゅの「ファッションモンスター」という前代未聞のマッシュアップがフロアに投下された時には、雄叫びにも似た声がフロアから漏れた。マッシュアップやエディットを盛り込んだクラブを意識した選曲の中にPerfumeの「If You Wanna」や「TOKYO GIRL」、中田ヤスタカ「Love Don't Lie (Ultra Music Festival Anthem)」など自身が手掛けた楽曲を織り交ぜ、ファンの歓声を誘っていた。

中田ヤスタカが手を叩いて煽るとフロアの全員がそれに応えるように手を叩く。彼がジャンプすればフロアもジャンプする。ステージに立つ中田ヤスタカによってフロアのオーディエンスが統率され、彼の求めるがままに一体となる。今回のセットを通して彼が日本トップアーティストとして海外でも多大なリスペクトをされる理由をまざまざと思い知らされた。
そして、いつにも増してハードで、かつアグレッシヴな選曲で攻め続けるパフォーマンスは中田ヤスタカの新たな方向性を示しているようにも見えた。


banvoxは、2015年にワーナーミュージック・ジャパンと契約し、現在の日本のエレクトロ界における若手プロデューサーの中でもっともノリに乗っている存在といえるだろう。世界から注目を浴びる中田ヤスタカからフロアを引き継ぐ存在としては、申し分のない人選だったのではないだろうか。
アメリカのツアーで更なる進化を遂げたbanvoxの帰国後第1発目のプレイとなる今回、Myon「Omen In The Rain(Seven Lions Remix)」がフロアに鳴り響く中、banvoxの専属VJを務めるNaohiro Yakoによって背後のスクリーンに大きく映し出された「banvox」の文字を背負って登場。中田ヤスタカのプレイスタイルとは一変し、メンズライクなパワフルさのある曲を中心にプレイ。もちろん、皆が期待する彼自身の楽曲も大いに楽しませてくれて、満足度の高いセットとなった。

腹の底に響く重厚感、踊りたい欲求をしきりに刺激してくるアッパーなサウンドでフロアを沸かせ、自身の楽曲である「Summer (VIP MIX)」と「Watch Me(VIP MIX)」マッシュアップに合わせてhuezが手がけるレーザーを四方八方に飛ばし、GTAの「Saria’s Turn Up」で会場を大きく跳ねさせる。
彼が両手の拳を突き上げる動きを見せると、観客たちもそれに倣って同じポーズをとり、会場の一体感はMAXに。会場をクールダウンさせるかのようなサウンドを挟んでオーディエンスを油断させ、自身の楽曲「Connection」でまた客を煽る。興奮した場内からは自然と手拍子が沸き起こり、その頭上をピンク色のレーザーが飛び交った。

後半になると観客の期待に応えるかのように自身が手掛けた曲をさらに展開。「Occasion」の鋭い音がフロアを切り裂き、「Dirtyphonics」からアッパーな調子でアンセム曲へと繋いでいく。盛り上げどころをそつなく盛り上げてくれる、若手らしからぬ職人仕事ぶりに、フロア全体が完全に彼の音楽に身を委ねていた。banvoxはフロアの好みを熟知した流れで、最後は彼のアンセム曲である「Summer」のGetter Remixと「EverLasting」でラストスパートを走り抜いた。


そして、4時台のフロアを揺らすのはtofubeats。tofubeatsは日本のポップミュージックを独自の解釈でダンスミュージックに昇華し、唯一無二の音楽を生み出すプロデューサー。音楽の最先端を捉え、洗練されたサウンドで常に時代の先を行くダンスミュージックシーンの重要人物。
序盤はbanvoxの流れを引き継いでtofubeats Feat. Lizの「Candyyyland (Pa'slam System Remix)」、平井堅「ソレデモシタイ(tofubeats Remix)」をはじめとしたベースミュージック系から入り、KANDYTOWNのYOUNG JUJUをフィーチャーした「LONELY NIGHTS」、tofubeats「Too Many Girls」などの自身が手掛けたヒップホップナンバーをプレイし、朝を迎えるテンションを徐々に作っていく

Calvin Harris 「Prayers Up ft. Travis Scott, A-Trak」やMura Masa & Charli XCX 「1 Night」などのローテンポな最新ヒットナンバーでパーティーピープルの心をガッチリ掴んだかと思えばtofubeats「Don't Stop The Music feat.森高千里」、tofubeats「WHAT YOU GOT」でageHaのARENAフロアをディスコティークな空間に染め上げる。そしてラストに向けてのラストスパートで、朝方の踊り疲れたオーディエンスを癒すような爽快感のあるハウスナンバーをプレイし、オーディエンスはそれに呼応するように心地よく横に揺れる

そして、ここまでフロアで踊り続けたオーディエンスを労うようにtofubeatsの代表曲 「水星 feat,オノマトペ大臣」をラストナンバーとしてチョイス。今夜のパーティを盛り上げてくれたアーティストたちに感謝を込めてフロアの全員で手を振り、熱唱。それに合わせてミラーボールから発せられるきらびやかな光にフロアが照らされ、今夜の熱狂的で思い出がフラッシュバックされた。

「YYY」としては初の試みとなったクラブタイムの開催だったが今回も、もちろん文句無しの盛り上がり。オープンからラストまで、常に全力のパフォーマンスで休む間も与えない最高の一夜となった。
今回も豪華4組のレジデントDJと、期待のニューカマーを迎えてオーディエンスを盛り上げてくれた「YYY」。常にカッティングエッジな音楽を探求し、自身のDJセットに取り入れ、毎回違った選曲で楽しませてくれる「中田ヤスタカ」「kz(livetune+)」「tofubeats」「banvox」、そして日本のミュージック、ポップカルチャーを牽引するWARNER MUSIC JAPANとASOBISYSTEMが手掛ける最新型LIVE&PARTY「YYY(ワイワイワイ)」の今後に期待したい。