新型コロナウイルスの影響で世界中がパンデミック状態となり、日本でも緊急事態宣言の延長が敷かれているが、この異常事態に、地球が様々な変化を起こし始めている。
人間の活動が抑えられている現在、地球環境はコロナ以前と比較して、大きく改善されているようだ。考えたくはないことだが、常日頃、私たちの生活がどれほど地球環境に悪影響を及ぼしているのかを痛感させられる5つの事実が発表されている。
 

1. 温室効果ガスの排出量が16億トン減少見込み

イギリスの環境ニュースメディア Carbon Brief が発表したデータによると、今年の温室効果ガスの排出量は昨年に比べて16億トンも減少する見込みだという。これは約3億5000万台もの車が減ることに相当するようで、地球環境に大きな影響を与えていることは間違いない。

16億トンもの減少と聞くとイメージはつかないと思うが、いいニュースだということはわかっていただけるだろう。しかし、危険な気候変動を避けるためには、10年間で、毎年22億トンずつ減少させなければいけないという。

新型コロナウイルスで世界中の経済がストップしている現在でも届かないこの数字だが、2021年には排出量は前年比で3.6%増加すると予想されているため、残念ながら地球環境の改善にはまだまだ遠く及ばないだろう。
 

2. 地球の振動が減った

各国で外出禁止や渡航禁止などの移動制限をしていることで、地球上で観測される「環境地震ノイズ」と呼ばれる振動が大きく減少している。

地球の振動の専門家は、様々な封鎖措置によって、地球の地殻で発生する環境振動ノイズが減少したと報告。

特にベルギー王立天文台の地震学者は、ベルギーの首都、ブリュッセルの環境振動ノイズは約30〜50%減少しており、普段は生活振動に紛れて観測できない振動まで観測できるようになったという。

結果的に地震・火山活動観測も容易になったようで、これらの研究は大いに捗っていると思われる。
 

3. 渋滞と交通事故の減少

アメリカでは車を運転する人の走行距離が、例年の同時期に比べて半減している。その結果、CO2 の排出量の削減だけでなく、交通事故も減少。人命が救われ、医療費などのコストの削減にも繋がっている。

2600万人が失業してしまったアメリカでは、約86%が車での通勤をしている。その絶対数が減ったと同時に、在宅ワークなども推進されているため、交通事故が劇的に減少しているようだ。

高速道路の交通量も半分以下に減少し、渋滞も起こりにくい交通量となっている。
 

4. ベネチアの運河が鮮明なエメラルド色を取り戻す

イタリア全土で封鎖措置が敷かれ、水の都として知られるベネチアの観光客がほぼゼロとなったことで、運河があるべき姿を取り戻した。
 

観光客がいなくなったことで、ゴミの排出量が減り、運河を走るモーターボートの稼働数も減少。それにより運河の底に溜まった泥も巻き上げられなくなったことで写真のようなエメラルド色を取り戻した。
 

5. 動物に自由をもたらした

欧米では都市化によって野生生物の住処が失われてきたが、交通量が減少し、街を出歩く人間も劇的に減少したため、動物が街中に現れるようになった。
バルセロナではイノシシ、サンフランシスコではコヨーテ、フランスでは街中で鳥のさえずりが聞こえるようになったようだ。
動物たちに突然与えられた本来持つべき自由だが、ロックダウンの解除後には恐らくまた奪わなければならないかもしれない。
 

今回は新型コロナウイルスが地球に与えた好影響についてお伝えしたが、結局地球を汚していたのは人間であるという事実を突きつけられた形となったのではないだろうか。
地球環境は良くなりつつあるが、世界中で猛威を振るう新型コロナウイルスのこれ以上の感染拡大は食い止めたいところ。今後は世界規模でパンデミックの収束と新型コロナウイルスが及ぼした環境改善を無駄にしない活動の両立が求められるだろう。

Written By TAKERU SHIGYO