ウォール・ストリート・ジャーナルが、米国司法省の計画に詳しい匿名の情報筋の話として、米国司法省が米国の独占禁止法に当たるとして、米国内最大のコンサートプロモーター/チケット販売サイト「Live Nation(ライブ・ネーション)」今後数週間以内に告訴する準備を進めていると報じている。

チケットマスター社の親会社である Live Nation Entertainment(ライブ・ネーション・エンターテインメント)社に対する訴訟では、Live Nation 傘下のチケット販売会社 Ticketmaster(チケットマスター)が市場をリードする立場を利用してライブイベントの競争を阻害したと主張されると同紙は報じている。計画されている訴訟の具体的な詳細は明らかとなっていないものの、Ticketmaster 社のチケット販売事業を分離させようとしているのではないかと見られている。

Live Nation 傘下の Ticketmaster 社は、2022年の Taylor Swift(テイラー・スウィフト)の「Eras」ツアーの際に、システムのメルトダウンによって数百万人がチケットを購入できなくなったトラブルによりファンからの怒りを買っていた。

Live Nation と Ticketmaster は2010年に合併し、現在は「世界最大のライブ・エンターテインメント企業」を謳っていが、その際に米国司法省は、サービスを結びつけたり、プロモーターやチケット販売サービスを他企業に鞍替えした会場に対して圧力等をかけたりしないよう、Live Nation に誓約させていた。

しかし Live Nation は上記の制約条件に違反しているとして、米司法省は数年前から調査していたという。更に複数の州の検察もこの調査に関与しているとのことで、今後米司法省と州が共同で訴訟を起こす可能性もあるのではないかと見られている。

これを受けて、Live Nation の株価は先週火曜日の市場前取引で7%近く下洛していた。

米国議員らは2023年1月の公聴会で、Live Nation の幹部らを激しく非難したが、この公聴会では、評論家たちがライバル企業、ミュージシャン、ファンに損害を与えていると主張する Live Nation の業界支配をめぐり、民主党と共和党が一同に会する異例の事態となった。

Live Nation の CEO/CFO であるジョー・ベルヒトルド氏は以前、同社の慣行を擁護し、2023年の公聴会で「チケットマスターはチケット価格を設定しておらず、売りに出すチケットの枚数も決定していない。ほとんどの場合、チケットマスターではなく、会場がサービス料金と発券料金を設定している」と述べていた。

同氏はまた、Live Nation が米国内の約4,000会場のうち、約5%に当たる約200会場を支配していることを示す市場情報会社ポールスターのデータを引用し、ライブ・ネーションの支配力が料金の高騰を許しているという指摘を否定した。

ライバル企業たちも声を上げており、アメリカのチケット販売プラットフォーム SeatGeek 社の最高経営位責任者ジャック・グレッツィンガー氏は、多くの会場所有者が「チケットマスターを利用しなければ Live Nation のコンサートを失うことを恐れている」と主張し、そのサービスを分割すべきであると主張した。