Avciiの超待望来日公演をサポーティングアクトとして登場したスウェーデンの期待すべきアーティストOtto Knows
今回の来日の際に、iFLYERは彼に直撃インタビューを慣行。来日中にリリースされたAvciiとの「Back Where I Belong」という絶妙のタイミングでAviciiとの友情や彼の音楽方針などについて聞いてみた。

まず、Otto Knowsを知っている人も知らない人のためにも、彼を好きになってしまう魅力を紹介しよう。

彼は、スウェーデン生まれ、同郷のAvcii、Sebatian Ingrosso、Alessoなどとのコラボを重ね、今では「Million Voices」や「Next To Me」などヨーロッパを中心とした大ヒット曲を連発している。リミックスを中心にリリースし始めたことで注目を浴びるようになり、今では、オリジナル曲も話題を呼ぶ。彼の可能性を感じるプロデュース力は、あのアーティストの名曲に携わっていたことでわかる。
 
 

そう。Otto Knowsは、あのBritney Spearsの代表曲「Work Bitch」のプロデュースというマスターマインドの正体でもあった。彼女の楽曲の共同制作と共同プロデュースを担当していた。
Sebastian IngrossoとAlessoが名曲「Calling」を制作している隣のスタジオで生まれたのが「Milion Voices」だったというエピソードも有名な話。このように、Otto Knowsは、スウェーデンを代表するビッグアーティストに囲まれながら、音楽キャリアを歩んできたのだ。
 

2014年には、ミュージックビデオもカラフルな「Parachute」、Bebe Rexhaの「Can't Stop Drinking About You」のリメイクをリリース。翌年の2015年には、失恋を思わせるような歌詞でエモーショナルな「Next To Me」を公開。ミュージックビデオは、浴衣を身にまとった子役を起用したことでも話題に。
 

そして、年始には、Lindsey Stirlingの美しいヴァオリンの音色、自身のピアノ演出とヴォーカリストAlex Arisと「Dying For You」を公開した。
 

このように、Otto Knowsの楽曲は、クラブ調のものから、アンセム寄りの歌詞にも、意味が深く刻まれているフェスティバル調の楽曲まで幅広い。よって、リリースの度に常に期待が高まるのもうなずける。Swedish House Mafiaなど自国のビッグアーティストを見て育ち、Aviciiともキャリアを歩んできたOtto Knowsからは今後も目が離せない。

今回は、Aviciiのサポーティングアクトとして大阪・東京への来日となりました。日本は観光されましたか?

実は、僕はAviciiのあとに到着したから、二日前(金曜日)に到着したの。仕事が溜まっていたから、ずっと大阪のホテルにこもっていたよ。そして、そこから東京へは新幹線経由で今ここにいるから、ほとんど観光らしいことはしていないね。新幹線を経験したくらいかな。

日本食はいかがでしたか?

昨晩、とっても美味しいバーベーキューを食べたよ!そして、もちろん日本酒もね。僕は、日本酒が大好きだから。スウェーデンの日本料理屋とかで日本酒を飲んだことはあったけど、やっぱり本場のは美味しかった。しかも、日本酒の瓶に全く英語の表記とかがないから、本場の日本酒を飲んでいるって実感したよ。

今回のコラボ曲は、まずAviciiをフィーチャーする形態のOtto Knowsリリースとしては初でした、歌詞もかなりエモーショナルでディープでしたね。

実は、去年2015年の2月あたりにTim(Avicii本名、以下同様)に仕事のためとかではなく、休日感覚で会いに行ったんだ。でも2週間の滞在期間は、自然と毎日スタジオで過ごす期間になった。だって、僕らは、スタジオで時間を過ごすことが快適で楽しいから。その時に、自分がアイデアとして持っていたコードプログレッションをTimに見せたら気にいてくれて。そこから、Timと一緒に制作して、のちには、LA発の才能あるヴォーカリストLPにも協力してもらって曲を完成させたよ。
 


実は、あの曲は、わずか1日で完成したの。スタジオで過ごした時間はとても充実していたよ。
メロディーが1日で完成したら、僕がスウェーデンに帰った時に、最終調整をしてTimに送ったの。それに対して、彼は「最高だよ。夏にぴったりだね。」と気に入ってくれた。

LPは、どのようにして発掘したの?

実は、Timはもともと彼女とのセッションの予約を入れていたんだ。そして、僕がLAに遊びに行った時に、カジュアルにスタジオセッションへと招待してくれた。だって人が多ければ多いほど楽しいじゃん。それで、LPとTimで予定していたセッションに僕も加わり、今回の楽曲が誕生した。本当に、偶然と自然が合わさったことにより生まれたコラボレーションだったよ。



今回の歌詞は、Aviciiの目線から見ると、ライブ生活への引退を想像させるリリックが強いですが、Ottoの目線からは、歌詞はどのように写っている?

二人で歌詞を書いている時に、ホーム(故郷)に対する思いは二人とも同じだったと思う。僕らみたいに、ツアー生活などの長旅の後に、故郷へ帰れる時の喜びというものは大きい。故郷へ帰るということを、いつも心待ちにしているんだ。自分が必要とする者がすべて故郷にある、というホームに対する特別な気持ちと楽曲のフィーリングが一致したんだよね。あと、アートワークとかも自然と其の空気感と一致した。いろいろな方向から見ても、最高のコンビネーションだったと思っている。

その故郷とは、スウェーデンのストックホルムの事を指していますか?

そうだよ。Timは、今はロサンゼルスに在住している。彼は、ロサンゼルスでの生活も楽しんでいるけれど、ストックホルムは、彼の心の中では一生ホームであり続けるからね。

あなたとAviciiは、10歳以来の付き合いという特別な友情関係を育んで来ましたが、一番彼とのクレイジーだったり印象深い思い出は?

一緒に楽曲制作をして10年も経つよ。彼のこれまでの冒険に付き合うことができた事は、常に僕のインスピレーションであり続けると思う。

会った当初から、小さな成功や少しの前進を一緒に祝ってきた。僕は一般人のティーネージャーからグローバルなメガスターへと成長する彼を間近で見てきた。その成長は、僕にとっての最大のインスピレーションかもしれない。言い換えるとしたら、Aviciiこそ、僕がこの音楽の道を今でも歩んでいる理由。だって、彼が僕に不可能なんてないっていうことを示してくれただけでなく、証明してくれたから。
だから、僕は親にも、「見て!Timは、ここまで登り詰めた。僕も彼みたいになる。」って言うこともできた。僕がAviciiのそばで一緒に成長し、成功のチャンスは非常に低かったけれど、今僕はここに立っている。彼と一緒に歩んできた音楽キャリアを嬉しく思うよ。

これだけ、Aviciiと一緒にツアーを同行したり、身近に彼と過ごしてきた中、Avciiの楽曲を自身が先にプロデュースしてみたかったと思う楽曲は?

もちろん沢山あるよ。でも間違いなく言えるのは、「Levels」。この楽曲は、いわゆる音楽シーン全体を揺るがせた画期的なトラックだった。一夜にして、音のあり方を変えた美しい楽曲だと思っている。あれを聞いた時は、本当にAviciiは天才だと改めて実感したよ。一番好きなAvciiの楽曲と言い切れるかはわからないけれど、間違いなく、他のトラックにはない特別な何かを秘めている。もちろんAviciiの全曲に圧倒されてきたけれど、トラックのリリース時期など絶妙なタイミングでリリースされた「Levels」が一つのYoutube上のビデオリンクからスマッシュヒットへと変わったという意味では、僕にとって特別な楽曲だね。
 

では一番好きなAviciiの楽曲は?

ありすぎて選べない。もともと、一番好きなものを選ぶことも好きじゃないからね。(笑)でも、やっぱりとっさに思いつくのは、「Levels」だね。

Ottoのキャリアの原点といえば、Imogen HeapのHide And Seek Otto Knows Remixですが、リミックスする楽曲は、どのようなプロセスで決まるの?

あのリミックスは、今思うと自分のベストバージョンの制作ではなかったけれど、僕を世に知らしめるきっかけの曲ではあった。僕は、もともとリミックスのオファーが来てもほとんどは断るタイプだからね。自分が大好きなアーティストだったら、自分からリミックスのオファーをアプローチする場合もあるけどね。

リミックスのオファーを断ることが多いのは、なぜ?

それは、自分のオリジナル楽曲に専念したいから。一つのリミックスを完成するのに要する時間は、オリジナル曲1曲とほぼ同じ。だったら、僕は、その時間を使って、自分のソウルに秘めた音楽を元にオリジナル曲を作成したい。でも、時には、リミックスを作成することも楽しかったり、インスピレーションになることもあるけどね。

先日Eric Prydzを車内で爆音でかけるほど、彼の最新アルバム『Opus』を気に入っていると言っていましたが、彼は、あなたにとってどのような存在?

僕がエレクトロニックダンスミュージックにハマり始めた頃、彼は、Axwell、Sebastian Ingrosso、Steve Angelloと一緒にいて、いわゆるこの4人が僕が一番尊敬していたアーティスト。僕は、彼らみたいになりたいという願望から、ファッションを真似てみたり、彼らが300人というクラブスペースで演っているのを見るために、16歳の頃ストックホルムのクラブに侵入したりしていたよ。その頃は、まだアンダーグラウンドだったしね。

でもそんな中、Eric Prydzは当時からボス的存在であったし、今でも時代や周りに流されず自分のスタイルを確立している。彼は、自分としっかり向き合っているし、かなりコアで献身的なファンを持っている。とにかく、最高のアーティストだし、僕は彼の音楽が大好き。

いずれは、彼とコラボ曲の制作をするかも?

実は、前からそう思っていたんだ!彼 (Eric Prydz) は、このミュージックシーンの中でも僕がコラボしたい数少ないアーティストの一人。彼は、スタジオでの時間が絶対に充実するアーティストの一人だ。だって、考えてみて。自分が幼少期の頃から憧れを抱いていたアーティストと一緒のスタジオで仕事ができたら、もう最高でしょ?
 

Avciiだけでなく、Sebastian Ingrossoとも交友関係がありますね。Sebastianは、Ottoにとっては、兄的存在?

そうだよ。そもそも、彼こそ僕がダンスミュージックを始めることを決意した一つのきっかけであった。僕のアイドル的存在であり、僕がまだ音楽を制作していない初期段階から連絡するようになったんだ。そして、まだミュージシャンではなく、単に音楽とDJをすることだけは、誰にも負けないくらいのパッションを持っていた少年の僕が、彼のスタジオでお手伝いをさせてもらっていたの。故郷が同じストックホルムであったこともあるかな。これは一見、信じられないストーリーだよね。でも、僕の大きなインスピレーションであった彼は、僕をここまで見届けてくれたし、本当に今までのことを今でも感謝しているよ。

実は、Sebastian Ingrossoと来週、一緒に立てたスタジオに引っ越すんだ。Axwell、Sebastia Ingrossoと僕の3人でスタジオを建設したの。このアイデアは8年ほど前から言ってたんだけど、ようやく実現されて楽しみだよ。これまでの8年間も最高の体験だったし、未だに僕は、彼らから学ぶことが多い。

このスタジオはどこにあるの?もう完成しているの?

ストックホルムにあるよ。もう90%ほど完成している。まだスピーカーとデスクを待っているけれど、他はほぼ完成だよ!

何か特別な機材とかあるの?

特にないかな。(笑)僕とSebastianのテイストは結構似ているんだけれど、Axwellが少し趣味が違うから、出来る限りみんなの意見を取り入れて、バランスを保ちながらデザインに取り掛かったよ。

雰囲気は、どのようにこだわった?プロデューサーは、ムーディー(暗室)かクリニカル(明室)かで別れがちですよね?

そうそう。その通り。まさに、僕らもその雰囲気は、かなり重要視したよ。病院みたいなクリニカルな雰囲気ではなく、心地よいチルなアンティークヴァイブスを感じるようなところにしたかった。思わず寝てしまえるくらい快適な場所を目指したよ。

すでに尋ねた友人やプロデューサー仲間は?

まだだよ!僕らだけしか入っていないから、かなりエクスクルーシヴだよ。

ではきっと、そこでAxwell IngrossoとOtto Knowsのコラボ曲は期待できますね?

そもそも、今回のスタジオを3人で立てた理由には、スタジオに引きこもるのではなく、いろんな人々と会える場所にするため。まさに、お互いを助け合うために立てられ、いつコラボが起きるかは予想がつかない。今のところプランとしてコラボ曲は予定していないよ。当面は、ソロ活動の違いを重視しているけれど、わからない、そのうちコラボ曲もあるかもよ?


今、一番プレイしたい音楽フェスティバルは?

コーチェラは、長い間、自分にとって参加してみたいと思ってきたフェスティバルだよ。あともう一つスウェーデンにあるWay Out Westもプレイしてみたい。だって、僕が子供の頃から存在していたフェスだし、オールジャンルかつスウェーデンの都市面積第2位を誇るGothenburgで開催される。そうだね、スウェーデン版のコーチェラって感じ。いつかは、そのフェスのステージにも立ってみたいね。

なぜコーチェラは、そんなにスペシャルなの?

参加者のモチベーションやヴァイブスも最高だけれど、一番は、アーティストにとって、新たなキャリアの1ページを描く画期的な瞬間であるからだと思う。

僕は、あることを自分に誓ったの。僕がコーチェラの出演オファーを貰うまでは、コーチェラには行かないと。だから、過去2年連続で誘われてコーチェラに行くチャンスはあったけれど、あえてまだ行っていないんだ。僕がコーチェラに行くときは、僕がコーチェラに呼ばれた時でありたいから。

これからフェスティバルシーズンが始まります。そのシーズンに合わせて今Otto Knowsがハマっているおすすめ曲を3曲教えて!

もちろん、まずは、Aviciiとの「Back Where I Belong」だね。この楽曲は、今後のフェスに向けてもプレイするのが楽しみ。だって新曲っていつも観客の新鮮な反応があるから。あとは、Axwell Ingrossoの新曲「Thinking Bout You」。Sebastian Ingrossoがプレイしているのを見て、気に入ったよ。あとは、そうだね。最近僕は、スウェーデン人アーティストをリミックスしたの。今年故郷のスウェーデンで6-7個ほどのショーがもう確定しているからね。僕が大大大大好きなスウェーデン人アーティストHåkan Hellstromの楽曲をリミックスしたの。全部スウェーデン語の「Din Ti Kommar」って曲。もうSpotifyにはリリースされているよ。歌詞の意味がわからなくてもフィーリングでぜひ感じてほしいな。
 
 
今後もスウェーデン勢のアーティストとの関わりが更に深まりそうなことが期待できるインタビューとなった。今後は、アルバムやコラボ曲などOtto KnowsのプロデューススキルとDJスキルの両方に注目したい。