HMOとかの中の人。(PAw Laboratory.)が音声合成ソフトである「初音ミク」 等のVOCALOIDを使用して制作する、YMOのカバー作品『増殖気味 X≒ MULTIPLIES』(仮題)が、12月19日に発売される。また、初回限定盤には赤 いチャイナ服を着た“ねんどろいどぷち”が同梱されることも発表された。

オリジナル作品へのリスペクトをもちつつも、新たな魅力を引き出そうと試みる姿勢と高い表現力が評価を得ているHMOとかの中の人。(PAw Laboratory.)。 今回の彼らのセカンド・アルバムは、YMOが1980年にアルファレコードより発売したアルバム『増殖』を元に制作される。

カバーアルバムの中には、『NICE AGE』や『TIGHTEN UP』、『THE END OF ASIA』などの名曲らとともに、コント“HMO ON THE AIR”が、本作品のために新しく書き下ろされ、5本が収録される予定だ。

このコントには初音ミクのキャラクターボイスを担当する、声優の藤田咲、そして巡音ルカのキャラクターボイスを担当する浅川悠が参加し、“初音ミクが新人車掌”、“初音ミクがペットの猫”といった設定で、絶妙な掛け合いによるコントを繰り広げる。

このコントの脚本を手がけるのは、星雲賞(*1)を7回も受賞しているSF作家である野尻抱介氏。

*1:毎年行われる日本SF大会の参加者の投票によって、前年度中に発表もしくは完結したSF作品および活動を対象として、部門ごとに一番に選ばれた作品に贈られ
る賞

野尻抱介氏は今回のコントを制作するにあたり、「なにしろスネークマンショーといえば「神」なので、この仕事のオファーを受けたときは、断ることしか考えなかった。 彼らのコントは天才の業であり、こつこつ組み立てるタイプの私には、どうし たって太刀打ちできない。 いったんは引き受けてからも、あれこれ理由をつけては降りたいと訴えた。 そんな負け犬モードの私を駆動したのは、ひとえに初音ミクへの尽きせぬ萌え心、そして「かわいいは正義」の信念であった。かつてYMOは日本文化の顔だった。21世紀のいま、世界がイメージする日本とは、kawaii物件満載の不沈空母である。 「ミクがかわいければいいじゃないか」 『増殖』という題だから、無数のミクが社会のあらゆる場所に浸透して、日々 かわいく活動しているさまを描こう。 それしかできないし、それでいいよね……そう思いながらじたばたしていたら、 脚本ができあがった。」と語っている。

これまでニコニコ動画とボーカロイドをテーマした短編連作集(*2)を発表し、シーンに対する造詣の深さでも知られる野尻氏の脚本だけにこのコントの内容にも期待が高まるところだ。

*2:南極点のピアピア動画(ハヤカワ文庫JA)

また、このアルバムでは、現在開発中の、Vocaloid3エンジンを使った初音ミク英語版βバージョンが使用されており、これまでにも増した高い表現力の歌声を聴くことが出来る。

本作『増殖気味 X≒MULTIPLIES』(仮題)は12月19日にU/M/A/Aより発売される。


ジャケットイラスト:くぅ。(PAw Laboratory.)

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