ULTRA JAPAN特集としてGalantisの魅力を紹介したが、まだまだ彼らには、語りきれないすごいプロデューサーとしてのエピソードがあった。
DAY 2のMAIN STAGEセットを終えた二人に、iFLYERアンバサダー佐々木まゆとともに直撃!



今ULTRA JAPAN DAY 2のメインステージのセットを終えたところですね。日本の観客はどうでしたか?

最高なセットだったよ。エネルギーを大いに感じた。
確実に言えるのは、アジアでプレイするときの観客はエネルギーが特別だよ。彼らのエネルギーを直に感じた。

FUJI ROCK FESTIVALで来日したことはあったけれど、それ以降、韓国や中国などアジアの地域でのプレイを重ねてきた。

でもやっぱり今日ULTRA JAPANでプレイして、日本は少し特有の特別なエネルギーがあることを実感した。日本はずっとプレイしたいところだったから本当に楽しめたよ。

とにかく最高なセットだった

新曲とかは流しましたか?

セットは、出来るだけクリエイティブかつ即興性を意識している。もちろん新曲をかけたい気持ちは山々あるけれど、エージェンドにダメって言われているの。実は、2週間後にプレミア公開するビッグシングルがもう決まっているからなんだ!
※この新曲は、Hook N Slingとのコラボ「Love On Me」であり、Life Is BeautifulというiFLYERでも取り上げたラスベガスのフェスで披露。
 



お二人は、Galantisと活動する前からすでに音楽業界で活動されていましたね。その時と今でプロデューサーとしての制作スタイルに変わりはあると思いますか?

変わらないと思うよ。だって時が流れてもLinusはLinus、ChristianはChristianだから。そして二人が合わさったところで初めてGalantisが構成される。

Galantisが始まる前は、各々Britney SpearsやKylie Minogueなど他のアーティストのためにプロデュースしてきた。そういうトップアーティストのために楽曲を制作する醍醐味を味わえるけれど、やはり結局は「仕事」なんだよ。いわゆる自分たちのために楽曲を制作する時にある限界のない音楽的な自由が制限されてしまう

だから、Galantisとして楽曲プロデュースしている時は音楽的な縛りがないからスタジオで数時間入るだけで楽曲が完成されることだってあるよ。でも、今でも他のアーティストのために楽曲制作することがあっても決してGalantisスタイルは投影しないよ。GalantisらしさはGalantisのものだから。



どのように二人は出会いGalantisを結成されたんですか?

実は、お互いにすでに音楽活動をしていたんだ。
僕(Christian)は、Mike Snowとして、Linusは、Style Of Eyeとして活動していた。

出会いのきっかけは、Miike Snowとして僕らが、Linusが在籍していたStyle Of Eyeにリミックスをしてもらいたいと話を持ち出した時。そして、一緒にスタジオにいる時間で互いに合致するクリエイティブなエネルギーを感じて意気投合したんだよ。

素敵ですね。そんなGalantisとして活動をしていて、Galantisをまだ知らない人のために自分たちの音をどのように表現しますか?

それは本当に難しいよ。多くのアーティストは自分の音楽を説明するのは難しいって言うけれど、それは本当だと思う。だって、自分が作り出した音楽という存在は、あまりにも親近感のあるものだし、日常的に作り出す音楽を他のものと比べて立証しようとも思わないからね。

でも、もちろんGalantisの音楽を全部聞いた時に、共通する要素はあると思う。それは、「フィール・グッド(気持ち良くなる)」ような要素がどの曲にもあることだと思う。それだけ、僕たちの楽曲は、魂がこもっていると言えるよ。

その通りですよね!だってEPのPharmacyはどの曲もかなりエモーショナル。収録されている多くの楽曲の歌詞制作のプロセスはどうでしたか?

僕たちは、人生ずっと歌詞を書いてきたようなもんだから、歌詞制作は、音楽におけるクリエイティブ・プロセスのとても重要な部分だと思っているよ。

歌詞を書いていく上でどこからインスピレーションをもらうんですか?

インスピレーションをもらうというかもう植え付けられている感覚のような部分が強いかな。僕たちが音楽人生ずっと歌詞を書いてきたから、もうソングライターやソングプロデューサーといった頭脳で機能するんだよ。だから、ある言葉が頭に飛び込んだとして、自分に問いかけてくる部分があれば、それに基づいて歌詞を書いていく。歌詞を書いている時は、常にそう言った自問自答で自分に問いかけてきた外的な刺激も影響しているよ。
 


例えば、「Peanut Butter Jelly」は、僕が書き終わってから10年もズッと片隅にしまっていた曲なんだ。どうしてもその曲を発信してくれるアウトレットを探せなかった。だって、どのアーティストも「Spread it like a peanut butter jelly. 」っていう歌詞を言いたい人なんていなかったんだよ。(笑)

だから、そんな時それを言えるアウトレットを創り出す必要があった。そして、Galantisであれば言えるから、あの曲が10年もの時が経ってから世に出たんだよ。

貴重なエピソードをありがとうございます!そういった楽曲制作のプロセスでEP Pharmacyにおいて最も興味深かったのと最もチャレンジングだったものを教えてください。

興味深かったのは、間違いなく「Peanut Butter Jelly」だね。あれは、80年代のBetty Swanの曲をサンプリングしたから、レトロでソウルフルな味が出ている。
 


一番チャレンジングだったのは、間違いなく「Runaway (U&I)」だったね。
この曲は、3部構成(韻、プレコーラス、コーラス)だからそれをどれだけ上手く組み合わせられるかでめちゃくちゃ苦労したよ!だって、その3部分が個々に違うから、それを繋ぎ合わせた時に一つの曲に感じられるようにするプロセスが大変だった。

だって、あまりにも複雑だと聞いている人にとっては、一つの楽曲としての統一感を感じられないから。そういった複雑だけれどキャッチーな楽曲を制作するのは、チャレンジングな分それだけ楽しいよ。

でも苦労した分、リリースするときもシングルではなく、やっぱりアルバムの楽曲としてリリースしようって決めたんだよ。

その楽曲のミュージックビデオには、Seafoxが登場していますね。Seafoxのコンセプトはどのように生まれたんですか?

実は、彼女は、僕たちの頭の中にはずっと存在していた。
僕たちが音楽を制作する時に、音楽を制作するように、Galantisの中心に立つビジュアル的な存在を作りたいねって話していた。だから、狐とかジェリーフィッシュといった海から陸上までの様々なイメージが融合して彼女が誕生した。



でも、わかって欲しいのは、彼女が単にGalantisのビジュアル的象徴ではないこと。彼女は、Galantisの中心(心臓部分)であって、3人目のバンドメンバーなんだ。

彼女は、スタジオに来る時もあるし、ツアーに同行することだってある。立派なGalantisのメンバーなんだよ。

ぜひ日本にも連れてきて欲しいです!
最近では、East YoungとのコラボがNetflixのEDM系映画XOXOにも起用されましたね。


そうだよ!XOXOのディレクターがGalantisのファンだったみたいで、僕たちに楽曲を提供して欲しいと依頼されたんだ。すでに、「Firebird」を含む3-4曲が映画中に使用されていたから、予告動画用には、エクスクルーシブの楽曲を制作したいと思ったんだよ。
 


ちょうど、その時期すでに取り掛かっていた制作中の曲があって、友達でもあるEast Youngがヴォーカルを持ってきてくれたんだ。そのヴォーカルを別のものにしようと改良していったら、曲が完成して、送ったら映画にもパーフェクトな仕上がりになったよ!

そうだったんですね。そもそも、ダンスミュージックにハマったきっかけとはなんですか?

Linusは、ダンスミュージック歴がほぼ人生と同じくらい長いからね!



そうだね。僕(Linus)の場合、幼少期の頃1年ほどアメリカの南部に住んでいたことがあったから、15歳の頃からレイヴとかに行けたんだよ。
だから、最初はテクノにはまっていたけれど、Christianと出会ってからは、今のGalantisに至るよ。

僕(Christian)の場合は、長年ヒップホップにはまっていたから、サンプリングとかプロデュースといった音楽面お動きに興味を持っていたんだ。

でも、2000年代になって、アーバン・アクト寄りのアーティストのために楽曲をプロデュースする機会があったんだ。その頃は、ハウス・ミュージックに個人的にはハマっていたんだけれど、各アーティストのためにプロデュースしていたから、なかなか手が出せないジャンルだったんだ。

転機が訪れたのは、やっぱりBritney Spearsの「Toxic」をプロデュースした時だったよ。だって、あの曲はポップながらも、エレクトロニックミュージックのような要素も兼ね備えていた。でも、それでも真のダンスミュージックをまだ極めていないと当時の僕は考えていた。

そんな時に、Linusに出会った。彼はすでにダンスミュージック業界で活躍していて、僕が尊敬していたDJでもあったから、彼とGalantisを結成してから貪欲にダンスミュージックに関わっていると思うよ。

近々アルバムを期待できますか?

一つ言えることはある。それは、今後続々と新しい素材をリリースしていくよ!

楽しみですね!Galantisの楽曲は歌詞を聴いていてもかなりエモーショナルですよね。そういったところから、ファンとつながりを感じる具体的なエピソードはありますか?

ファンとの直のコミュニケーションを感じるのは毎回のショーだよ!

フェスであれ、ギグであれショーをやっている時は、僕たちがファンからエネルギーを感じるし、ファンが僕たちの音楽とつながっていることをよりよく実感できる。でも、その繋がりは、アジアでの方が世界のどこよりも強いと思う

だって今日僕ら朝の6時に東京に着いたにもかかわらず、大勢のファンがSEAFOX NATIONの旗や看板を掲げて僕らを待ってくれていたんだよ。
とにかく、毎回ファンがとても献身的で、熱いんだよ!確か最初のSeafox Nationが誕生したのもフィリピンだったからアジアの熱意はかなり感銘受けているよ。



実は、Seafox Nationというコンセプトも僕たちが作ったのではなくファンたちが作り上げたもの。
彼らが自分たちをSeafox Nationと呼ぶようになってそこから、Sea Foxバンコク、Sea Foxマニラだったり各地のGalantisファンのコミュニティが形成されていったんだよ。そこからハッシュタグもSNS上に出るようになって、それに気づいた僕たちがリポストとかLikeをするようになり、広がっていたんだよ。

ファンから生まれたコンセプトだったんですね!
そんなGalantisが注目しているアーティストはいますか?


ありすぎて言えないよ。
でも言えることは、今、かなりクールなミュージックがたくさん存在していること。間違いなく、今音楽は有利な時代にあると僕たちは思う。
かなり良い方向に向かっているから、それはアーティスト側から見ても、みんなから見ても良いことだと思う。

だって、エレクトロニックミュージックが新鮮さがなくなり、繰り返しの潮流が続く硬直した時代にあるなって痛感した時期もあったから。そういった悪い流れを打破していきたいという思いからもGalantisは誕生しているよ。でも今の時代がたくさんのアーティストが世に輩出されていて、とても窓口が開けた感じがするよ。

それは、ジャンル的にもそう思われますか?

そうだね。確実にジャンルも増えている。でも、ジャンルによってアーティストを区分けする動きは、嫌なんだよね。

特に僕らはEDMっていう言葉が嫌い。だってEDMって何なの?EDMの意味もわからないし、誰を指すのかもわからない。

確かにエレクトロニックミュージック(EDMのE)とダンスミュージック(EDMのD)といった二つの大きなジャンルは、アーティストが自分たちを表現するにあたるビジュアル的なプロダクションという観点では似ているかもしれない。でも、音楽的な観点から考えれば二つは全くの別物。

よくフェスでもEDMで多くのアーティストを一括りにまとめたりする。決して悪いことではないと思うけれど、すべてのアーティストをEDMという傘下に置いて表現することには抵抗があるかな。



アーティスト個々にいろいろなスタイルを持っている。僕たちの音楽だって、もはやエレクトロニックミュージックだけではない、50%エレクトロニック50%ライブ楽器だからね。だって「No Money」に関しては、フルオーケストラを起用したんだよ。だから、もはやエレクトロニックミュージックでもないんだよね。

ジャンルではなくて、音楽なんだよ。
 
音楽について名言も残してくれたGalantis。
ここ数年だけでも、音楽の流れを感じるインタビューとなり、来日も決定しているMIJAが行うFK A GENREツアーに込められたジャンルへの思いは重なる部分もあることがGalantisのお二人の話からもわかった。

続々新曲をリリースしていくと言ってくれたGalantisのお二人からは、RunawayやNo Moneyに続く大ヒット曲を届けてくれるにちがいない。