全世界アルバム・トータル・セールス3,500万枚以上、グラミー賞15冠、そしてアルバム5作中4作が全米1位を記録し、11月4日(金)に通算6作目となる最新アルバム『ヒアー』を発表したアリシア・キーズが、今作を記念し、発売翌日の5日(土)に地元ニューヨークの歴史的会場=アポロ・シアターにてスペシャル・フリー・ライヴを開催、全世界34カ国のiTunesで1位を獲得している『ヒアー』全収録曲を圧巻のパフォーマンスで完全再現した。また、今回の大統領選でも浮き彫りになっている今の世界情勢や社会問題について魂を込めて訴えかけるアルバム収録曲「ホーリー・ウォー」のリリック・ビデオも公開となった。

この曲でアリシアは「きっとわたしたち誰かを愛するべきなのよ / きっともう少し気にかければいいのよ / きっとわたしたち誰かを愛するべきなのよ / 聖なる戦争の爆弾を磨く代わりに」と、今回の大統領選でも浮き彫りになっている今の世界情勢や社会問題について魂を込めて訴えかけている。

11月4日(金)に約4年振りとなるオリジナル・アルバム『ヒアー』をリリースしたばかりのアリシア・キーズが、今作を記念し、発売翌日の5日(土)に地元ニューヨーク市ハーレムの歴史的会場=アポロ・シアターにて急きょスペシャル・フリー・ライヴを開催、全世界34カ国のiTunesで1位を獲得している『ヒアー』全収録曲を圧巻のパフォーマンスで完全再現した。
2001年のデビューから約15年に渡り、全世界アルバム・トータル・セールス3,500万枚以上、グラミー賞15冠、そしてアルバム5作中4作が全米1位を獲得するなど数々の快挙を成し遂げ、正真正銘“不動の歌姫”として世界中のファンから絶大な支持を誇り続けてきたアリシア。最新アルバム『ヒアー』は、彼女の出身地であり今も住み続けている地元ニューヨークへの“ラヴレター”と本人が称しているように、彼女のルーツであるヒップホップ・カルチャーに根付いた作品でありながら、一人のアーティストとして、そして女性として解放された新たなアリシアの一面が表現されたアルバムになっている。制作陣も、ファレル・ウィリアムス、ナズ、エイサップ・ロッキー、そして夫であるスウィズ・ビーツなどヒップ・ホップ・カルチャーに根付いたアーティストから、今年の第58回グラミー賞で「最優秀R&Bパフォーマンス」「最優秀アーバン・コンテンポラリー・アルバム」の2部門を受賞したザ・ウィークエンドのプロデュースで知られるイランジェロなど、多様な面々が参加。人種差別や世界平和、女性の人権など、強いメッセージが込められたこのアルバムは、早くも各所から大注目、大絶賛されており、ここ日本でも iTunes R&B/ソウル・チャートで即1位を獲得している。
これまで何度もスタジアムやアリーナ級の会場を埋めてきたアリシアだが、5日(土)に開催されたアポロ・シアターでの新作『ヒアー』完全再現スペシャル・フリー・ライヴは、観客僅か1,500人という超プレミアなセッティングで開催され、これまでにない親密な距離でオーディエンスと共に新作のリリースを祝った。その貴重なライヴレポートが公開となっている。


●ライヴレポート/11月5日(土)NYアポロ・シアター公演
11月5日、本国では前日4日に6枚目となる最新アルバム『ヒアー』を発表したばかりのアリシア・キーズが、地元NYCのハーレムにあるソウルの殿堂=アポロ・シアターでシークレット・ライブを行った。米TV局PBSのTV収録も兼ねた本公演は、新作の冒頭から最後までを通しでパフォームするという本人にとっても初の試みで、インスタグラムを通して抽選で選ばれたラッキーなファンが所狭しと押し掛けた。ショウの冒頭では新作の世界観を余すところなく伝えるモノクロの短編フィルム『ザ・ゴスペル』が上映され、アリシアが子ども時代からずっと見聞きしていたであろうNYCのストリートの情景や価値観、そしてそこに今もなお住むストリート・ピープルの変わらぬ「今」を再確認したところで満を持して本人が登場。ジャンプスーツにピンヒールブーツという姿でステージの中央に置かれたヤマハのアップライトピアノを立ち弾きしながら、無造作なナチュラルヘアを上に下に揺らし次々とアルバム収録曲を熱唱。本作は今の世界情勢に呼応した政治色の強いメッセージ・ソングが多数収録されていることで全米でも話題となっているが、ネイティブ・アメリカンのフォークソングにインスピレーションを受けて作ったと言う「キル・ユア・ママ」では、ノースダコタ州の石油パイプライン建設における一連の騒動について言及し、安全な飲料水だけでなく祖先の聖地までもが脅かされている先住民族の人権問題に対する全面的な支持を表明し、会場の大歓声を浴びていた。また、数日後に控えた米大統領選についても「選択肢は私達の手にある」と呼びかけ、「橋を架けることを選ぶのも、壁を建てることを選ぶのも私達次第」とし、メキシコ国境に壁を建てるという移民排除路線を打ち出す共和党のトランプ候補を暗に批判しつつ、「選挙当日は壁を壊して橋を架ける道を選びましょう!」と声高に叫び、ジョン・レノンの「イマジン」にも匹敵するとの呼び声も高いアリシア流の反戦歌「ホーリー・ウォー」では、「傷ついたなら傷跡が残らないように手当をしなければいけない」と、憎しみを愛で包み込むことの尊さを、その歌詞の一字一句の意味を噛み締めるかのように聴衆を見渡しながらソウルフルに歌い上げた。鳴り止まぬ拍手の中「私の夢を叶えてくれてありがとう」と胸に手を当て、感極まった表情で聴衆に向かい、深々とお辞儀をしたアリシアの姿がとても印象的だった。
(文: 渡辺深雪)