2018年7月14日(土)、15日(日)に沖縄・美ら SUN ビーチにて開催された CORONA SUNSETS FESTIVAL 2018。そのロケーションの良さとアーティストのチョイスの良さで評判となり、毎年来場者数を伸ばしているフェスである。

14日は、会場直後は天気が不安定で突然スコールのような雨が降ったり止んだりしていたものの、しばらくすると雨雲は去っていった。沖縄は常に風が吹いているため、雨雲もあまり停滞しない、とのこと。水着姿の来場者が多く、また服を着ていても清々しい海風ですぐに乾いてしまうため、スコールをあまり気にする人はいない様子だった。
 
美ら SUN ビーチには、この日のために多数の真っ白なタープやベンチ、ウッディな作りのバーやフードコート、更に木陰にはハンモックまで設置され、会場全体がトロピカルでリゾート的な雰囲気に彩られており、まるで外国のフェスにでも来たかのような気分にさせてくれる。ライブを観ていると時折、那覇空港へ向けての飛行機が頭上を低空飛行していく。
サンゴの欠片が転がる白い砂浜では、昼間からコロナの瓶を片手にビーチの雰囲気を楽しむ人々が行き来しており、コロナの瓶もこの日のために、CORONA SUNSETS FESTIVAL 2018 仕様となっていて、オレンジ色の鮮やかな瓶が印象深かった。
 
アコースティックギターを抱えてライブをスタートさせたシンガーソングライターの iri は、初々しい笑顔とは対照的な大人びた歌声の R&B を披露し、更なる人気を予想させるような実力と、堂々としたパフォーマンスを見せてくれた。 “Wandering” のサビの「Wandering、Wandering……」という部分ではフロアから合唱が沸き起こった。


メジャーデビューも果たした FIVE NEW OLD は、リズミカルでファンキーな小洒落たサウンドと馴染みやすいポップさが評判の、現在人気急上昇中のバンドだ。ボーカルのHIROSHIはギターを弾きながらまだ少年らしさの残る声で歌い、ギターを弾かない曲では軽快なダンスで会場を魅了した。”Sunshine” を歌い始めると、徐々に上空の雲が晴れてビーチに日差しが差し「サンシャイン出てきた、ありがとう!」とHIROSHI が嬉しそうに叫ぶと会場がワッと湧いた。


夕方になるにつれ、客足はどんどん増えていく。夕暮れの浜辺では WONK のライブが始まり、時に変則的なリズムと美しいシンセサイザーの音色、伸びやかなボーカルの歌声を響かせた。サックス、ピアノ、その他の楽器がそれぞれに見せ場のソロを披露し、掛け合いのような演奏が見事に決まると、会場からは歓声が上がった。


この日の注目株、Tuxedo は、その名の通りタキシード姿で登場。彼らのファンキーな演奏、リズミカルでコミカルなダンスは、オーディエンスを笑顔で踊らせる力を持っている。歌が上手いのはもちろんのこと、キメるところでしっかりとキメてくるパフォーマンス力の高さでオーディエンスを虜にし、常にリズムに合わせる手拍子が鳴り止まないライブとなった。


初日のトリの Hot Chip は Theo Parrish「Carpet People Don’t Drink Steak Soda」でスタート。チルなムードで始まり、Dude Energy「Renee Running」等がプレイされ、徐々にトライバルで怪しげな雰囲気に。彼ら自身の名曲「Over And Over」の Maurice Fulton Dub Remix が掛かると、会場は大盛り上がりとなった。


 

2日目は昼から真っ青な空が白い砂の上に広がり、清々しい陽気に。
 
今年で CORONA SUNSETS FESTIVAL への出演4年目だという SAIRU は、完全にフェスの空気を掌握していた。グルーヴィーで小慣れた、ちょいワル気味でアダルトなステージを演出。オーディエンスと一緒にコロナビールで乾杯し、ライブの終盤には沖縄から「ULTIMATE MC BATTLE」に初出場を果たしたラッパーの RITTO がゲストで登場すると、オーディエンスの熱気は更に上昇した。


沖縄を代表するダンスミュージックアーティストといえば、絶対に外せないのが RYUKYU DISKO​ だろう。メンバーの二人は、沖縄の日差しを感じさせる真っ黒な肌でステージに立ち、低音の効いた4つ打ちで会場のボルテージを上げていく。途中、Tiesto & Dzeko Feat.Preme & Post Malone「Jackie Chan」や、Don Diablo「Anthem(We Love House Music)」等も交えつつ、エレクトロ〜ハウス〜EDMまで盛り込んで会場を大いに躍らせた。


素晴らしいアーティスト揃いの2018年度の CORONA SUNSETS FESTIVAL の中でも一際の異彩を放っていたのは水曜日のカンパネラコムアイだった。リアル脱出ゲーム「キングダム」主題歌にもなった「嬴政」で始まり「一休さん」や「ゴッホ」等、お馴染みの名曲でライブが進んで行く。コムアイは途中、フロアの客の上を歩き回ったりダイブした後、フロアを抜け出してフードコートで歌い、かと思えばステージ正面に設置された照明や撮影用の足場に登って歌い踊るなど、予想できない動きで観客を翻弄。


ライブの最後には巨大なビニル製の透明ボールに入り込み、観客の上を転がり回ったが、なんとボールはそのままビーチから海にドボン! 唖然とする観客たちに、コムアイは「ありがとう〜!」とお礼を言ってライブは終了。観客に圧倒的なインパクトを与えるコムアイに、水カンの「主演・歌唱」としての肩書きが伊達ではないことを見せつけられた。


2日目のトリであり、CORONA SUNSETS FESTIVAL 2018 の大トリでもある CUT COPY は、Kelly lee Owens「Bird(Prins Thomas Diskomiks DJ Edit)の打楽器がミニマルに打ち鳴らされるどこかトライバルなサウンドで始まり、途中、彼ら自身のヒット曲「Take Me Over」も交えて、トロピカルでバカンス気分な同フェスの雰囲気を最後まで盛り上げていった。ラスト近くになると、The Chemical Brothers の代表曲の一つ「Star Guiter」が流れ、フェスの最高のフィナーレに向けて会場全体に心地良い疾走感が駆け抜けていった。


2日間に渡って開催された​ CORONA SUNSETS FESTIVAL 2018​ 、開催当初は本土から訪れる観客が多かったようだが、近年では地元の人々からの認知度も急上昇してきているようだ。若い客層が多い中に40〜60代の観客の姿もあり、話を伺うと「子どもがいなくて落ち着いた雰囲気が良い。地元沖縄から毎年来ています、今年は Nulbarich を楽しみにしています」とのことだった。

回を重ねるごとに人気が高まってきている CORONA SUNSETS FESTIVAL​。来年の夏も、ぜひまたこの沖縄のビーチから始めたい、そう思わせるような良フェスだった。


Written by きのや
 

CORONA SUNSETS FESTIVAL 2018

日時:2018年7月14日(土)、15日(日) 13:00 〜
会場:美らSUNビーチ野外音楽特設ステージ 沖縄県豊見城市字豊崎5-1
出演:
7月14日(土)/
Hot Chip (DJ SET)、Tuxedo、Jarami、Kidnap、KAYEX、HIRAIDAI、WONK、FIVE NEW OLD、iri、NAOKI SERIZAWA、DJ REN

7月15日(日)/
Cut Copy (DJ SET)、BENNY SINGS、CROOKED COLOURS、Nulbarich、水曜日のカンパネラ、RYUKYUDISKO、SHINTARO、ReN、DJ SARASA、SAIRU、TAKE

公式サイト http://corona-extra.jp