2日目は台風6号の影響で、夕方頃からフジロック史上過去最高クラスの大雨に見舞われた。夜中には複数のプログラムが中止したり、アーティストの出演時間が変更されたりしたばかりか、あまりにも酷い悪天候のせいで避難した人も多かった。しかし初来日の SIA(シーア)、Martin Garrix(マーティン・ギャリックス)、Death Cab For Cutie(デス・キャブ・フォー・キューティー)など見逃すことのできないアーティストがラインナップされており、レインウェアを着てもビショビショになってしまうような大雨の中でも多くの観客たちがライブを楽しんでいたのが印象的だった。



降ったり止んだりの雨の中、2016年以来2度目の出演となるオーストラリア出身のシンガーソングライター Courtney Barnett(コートニー・バーネット)が登場。白いタンクトップに赤のジャガーで現れた彼女は、言葉少なめに演奏を開始した。
左利きで、ピックを使わない彼女のギターを弾く姿は、まさにロックスターだった。気だるそうな弾き方から、よくカート・コバーンが引き合いに出される彼女だが、誰にも真似できない彼女らしさ溢れる演奏と、何をしていても様になる様子には、過去のレジェンドと呼ばれるアーティストたちに引けを取らない説得力がある。
「City Looks Pretty」でのギターソロ、「Nameless, Faceless」での疾走感、「Depreston」でのシンガロングなどが続き、終盤になるにつれて雨も上がっていった。彼女のギターと会場の雰囲気にの間に生まれた一体感は、今年のフジロックの中でも一際印象的なハイライトとなったのではないだろうか。その後「Elavator Operator」「Everybody Here Hates」「Pedestrian at Best」とアップテンポの曲が立て続けに披露されると、オーディエンスもガンガンにノリだして、Courtney もギターを荒々しく搔き鳴らし、ずべてが最高潮のまま最後まで駆け抜けていった。テクニックだけではなく、ステージとフロアを圧倒的に制する彼女の様子に、そのスター性を目の当たりにさせられたステージだった。
【Courtney Barnett セットリスト】
1. Avant Gardener
2. City Looks Pretty
3. Small Talk
4. Need a Little Time
5. Nameless, Faceless
6. I'm Not Your Mother, I'm Not Your Bitch
7. Small Poppies
8. Depreston
9. Elevator Operator
10. Everybody Here Hates You
11. Pedestrian at Best



DJ Mag の DJ ランキングで 2016年から 3年連続 1位の世界 NO.1DJ、Martin Garrix(マーティン・ギャリックス)が苗場に降臨! 今年のラインナップの中では一際異彩を放っていたアーティストの一人である。10年前はまさか、フジロックで EDM の DJ がグリーンステージでパフォーマンスする時代が来るとは誰も予想していなかったことだろう。他のアーティストに比べるとかなりシンプルなステージセットであったが、観客とアーティストが様々なエフェクトをかけられてモニターに映され、その映像をみた観客がさらに盛り上がるというユニークな演出が。数えきれないほどのレーザーが照射され、レーザーに照らされた雨が幻想的にグリーンステージを照らしていた。
大雨の中グリーンステージをダンスフロアに変えた Martin は、ヒット曲を畳み掛けるようにプレイ。「No Sleep」「Summer Days」「In the Name of Love」「High on Life」「Scared to Be Lonely」など、メロディアスで感傷的なトラックから、観客が飛び跳ねるアップテンポなトラック、歌に引き込まれるトラックなどがプレイされ、雨などもろともしないセットで観客を楽しませていた。なかでも White Stripe(ホワイト・ストライプス)の ”Seven Narion Army” がプレイされた際の、ギターのリフでの大合唱は、そこにいる人全員が歌っていたのでは、と思わせるほどの迫力があった。
【Martin Garrix セットリスト】
1. ANIMA Intro
2. Mistaken (Martin Garrix & Matisse & Sadko Club Mix)
3. Champion Sound vs. Footrocker vs. Spotless (Martin Garrix Mashup)
4. No Sleep (DubVision Remix)
5. Home
6. Turn Up The Speakers vs. Sun Is Never Going Down (Martin Garrix Mashup)
7. Virus (How About Now)
8. Saga vs. Now That I've Found You (Martin Garrix Mashup)
9. Together
10. Gold Skies
11. Leaving vs. Don't Look Down (Martin Garrix Mashup)
12. Boomerang vs. Bounce Generation (Martin Garrix Mashup)
13. Byte vs. Dreamer (Martin Garrix Mashup)
14. Lions In The Wild vs. Poison (Martin Garrix Mashup)
15. Crackin vs. The Only Way Is Up (Martin Garrix Mashup)
16. These Are The Times
17. Scared To Be Lonely (DubVision Remix)
18. Latency
19. Breach (Walk Alone)
20. Dreamer (Martin Garrix Mashup)
21. Summer Days
22. Animals vs. Game Over (Martin Garrix Mashup)
23. Party Time
24. Like I Do
25. Bombai vs. Blame (Dyro Mashup)
26. Freed From Desire vs. Can't Get Enough (Mesto Mashup)
w/ Calabria (Tool)
w/ Footrocker (Get Your, Get Your Hands Up Acappella)
27. Glitch
28. Pizza vs. You've Got The Love (Martin Garrix Mashup)
29. In The Name Of Love (DallasK Remix)
30. Burn Out
31. Backfire
32. Seven Nation Army vs. Snakes vs. Can't Hold Us (Martin Garrix Mashup)
33. Ocean (Martin Garrix & Cesqeaux Remix)
34. So Far Away
35. Tremor vs. Waiting For Love (Martin Garrix Mashup)
w/ Genesis
36. There For You (Madison Mars Remix)
37. High On Life



近年最重要シンガーとして現代を代表するポップアイコンの一人である SIA(シーア)。夕方から振り続ける大雨により最悪のコンディションの中でも、彼女を一目見ようと多くの観客が会場の後方までいっぱいになるほど集まっていた。真っ白のステージに真っ白のドレス、真っ白のリボン、真っ白のマイク、とシンプルの極みで登場した SIA。彼女を象徴する金と黒のヘアースタイルで顔は隠れたまま「Alive」でスタート。SIA から分裂したかのように、大きく膨らんだスカートの中から SIA と全く同じ髪型をしたダンサーの Madison Ziegler(マディー・ジーグラー)が登場。豪雨の中で踊る彼女と SIA の歌が完璧に重なりあい、曲をそのまま体現したような演出に誰もが目を奪われ立ち尽くしていた。
SIA は直立状態で歌だけに専念するというパフォーマンスで、ダンサーの Madison Ziegler が SIA の分身であるかのように動き、スキルと表現力で終始歌以外のパフォーマンスを担っていた。
他にも3人の男性と1人の女性ダンサーが登場し、SIA の世界観を表現していく。パフォーマンスと歌との相乗効果は見るものを不思議な感覚に引き込んでいき、どう言葉にあらわしたらいいのか分からないパフォーマンスが続いた。
「Titanium (David Guetta cover)」ではパンダとウサギの着ぐるみをきた二人が登場し、男女関係を連想させるように手を繋いだり、離れたり、寄り添ったり、喧嘩したりという、感情移入させられるような演出が。
そして大ヒット曲「Chandelier」のイントロが流れると、大きな歓声が湧き上がり、ラストの「The Greatest」まで SIA の世界観全開で完結。
革新的で彼女にしかできないパフォーマンスであった一方、これはライブなのかと疑問に思う方もいたかもしれない。しかし、多くの観客が最後まで見とれていたという事実が、彼女の説得力の強さとパフォーマンスが素晴らしいものであったことを証明していたのではないだろうか。
【SIA セットリスト】
1. Alive
2. Diamonds (Rihanna cover)
3. Reaper
4. Big Girls Cry
5. Bird Set Free
6. One Million Bullets
7. Cheap Thrills
8. Fire Meet Gasoline
9. Elastic Heart
10. Unstoppable
11. Breathe Me
12. Move Your Body
13. Titanium (David Guetta cover)
14. Chandelier
Encore:
15. The Greatest
FUJI ROCK FESTIVAL '19
日時:2018年 7月26日、27日、28日(25日には前夜祭開催)会場:新潟県湯沢町苗場スキー場 新潟県南魚沼郡湯沢町三国
HP:https://www.fujirockfestival.com/
主催:SMASH http://smash-jpn.com/