2日目とはうってかわって最高の天気でスタートした3日目。前日の雨でぬかるみや沼地ができ、早い時間にはまだ足場が悪かったが、天気が良かったためそのうちぬかるみも乾き、素晴らしいフィナーレを迎えるのにふさわしい天気になった。


3日目の Field of Heaven(フィールド・オフ・ヘブン)のオープニングを務めたのは渋さ知らズオーケストラ。大勢の観客が彼らの7年ぶりのフジロックを一目見ようと、昨日の大雨での疲れももろともせず大集合していた。日差しが強く、立ってるだけで汗だくになるほどの暑さの中、12時丁度から、いきなり「本多工務店のテーマ」が始まった。いきなりボルテージ MAX の選曲に、観客たちは歓声を上げて踊り始めた。
ふんどし姿の渡辺真一、バナナを持ったダンス、昨年亡くなった片山広明の巨大人形、全身真っ白のコンテンポラリーダンスと、初めて見た人にはツッコミ満載のいつもの布陣で渋さ知らズが帰ってきた!
スキャットやホーミーなどの歌唱法、ヴァイオリンソロなどを織り交ぜて「ライオン」を披露。
そこで結成12年の2000年にフジロックに出演したときから今までのストーリーが語られ、前日の大雨に耐え3日目の一発目に Field of Heaven に集まった観客を称賛。
アップテンポな煽りからスローな「犬姫」へ。ゆったりとしたテンポから一気に「仙頭」でお祭り騒ぎに、そのまま勢いを落とすことなくラストの「ステキチ」に。そこにいた全員が踊り狂う、1日のスタートとしては最高だったのではないか。

【渋さ知らズオーケストラ セットリスト】
1. 本多工務店のテーマ
2. 又旅
3. ライオン
4. 犬姫
5. 仙頭
6. ステキチ


陽も傾き始めた Red Marquee は、超絶テクのバンド Chon(チョン)を一目見よううと観客で一杯になっていた。プログレ、マスロックなどのジャンルで認識されている Chon だが、ヒップポップやエレクトロニック的な曲もあり、若い観客も数多くみられた。純粋なプログレよりも親しみやすく、ギターと歌で耳触りも抜群な良い彼らの音は、幅広い層から支持されているように思われた。
ファーストアルバムに収録された「Bubble Dream」で始まり、「Story」「Fall」「Splash」と初期の人気曲を披露。次から次へと畳み掛けるようにサクサクと進んでいく。かなりのハイペースでライブは進んでいき、ギターとベースのダブルでのタッピング奏法とドラムの変拍子が観客を釘付けに。音作り、リズムの入れ方、外し方、ギターのメロディーは日本のバンドにも通じるものが感じられ、日本での人気も納得できる。
最後には定番の「Perfect Pillow」でフィニッシュ。メンバーがステージから去った後、日本でもツアー日程が映し出されて幕を閉じた。

【Chon セットリスト】
1. Bubble Dream
2. Story
3. Fall
4. Splash
5. If
6. Puddle
7. Dew
8. Book
9. Peace
10. Petal
11. Rosewood
12. Pitch Dark
13. Waterslide
14. Can't Wait
15. Perfect Pillow


夜も更け、Field of Heaven のラストは、来日公演はすべてソールドアウト、ここ日本でも人気沸騰中の米テキサス出身 Khruangbin(クルアンビン)。ミラーボールの幻想的な光に包まれた Field of Heaven は満員の観客で埋め尽くされていた。まずはドラムの Donald "DJ" Johnson(ドナルド”DJ”ジョンソン)から登場、彼に続き他の二人も現れると、ドラムのスネアで「August Twelve」からスタート。歌うようなメロディーのベースラインに引き込まれ、ギターの美しい音色に酔いしれる。

全身花柄のタイトなトレーニングウェアのような衣装の Laura Lee(ローラ・リー)が正確でキャッチーなリズムを刻み、全身シルバーのスーツに身を包んだ Mark Speer(マーク・スピアー)のメロウで哀愁漂うファンキーなギターが3日間の疲れを癒してくれるようであった。観客たちは、夢現つの境界線が曖昧になるような陶酔感が会場を満たす中、ゆるりゆるりと体を揺らし続けていた。
「Evan Finds the Third Room」では、曲間に Laura が鳴り響く受話器を手に取り「ハロー、フジロック」と観客に声をかけ、それに観客も呼応する。その後は YMO の「Firecracker」のカバーを披露、続けて演奏された定番曲「Maria También」が始まると大きな歓声が上がり、ギターとベースのユニゾンと Laura のささやくような歌声が会場をサイケデリックな雰囲気に満たしていった。
ドラムの Donald "DJ" Johnson だけステージに残し二人は舞台袖へ。ビートが何もないところから、段々とビートを作っていくと全身銀ピカの衣装に着替えた Laura がメロディアスなベースラインを乗せていく。そしてギターの Mark がやってくるとそのまま「The Number4」を披露。その後は「White Gloves」から「People Everywhere (Still Alive)」「Bin Bin」と、この時間までのライブで積み上げてきたグルーヴが一気に爆発。オリジナリティー溢れる超絶ギターとリズム隊のグルーヴ感でそこにいた観客はまさにヘヴンを感じられたのではないか。        

【KHRUANGBIN セットリスト】
1. August Twelve
2. Mr. White
3. Two Fish and an Elephant
4. Rules
5. Dern Kala
6. August 10
7. Lady and Man
8. The Infamous Bill
9. Evan Finds the Third Room
10. Fire Cracker (Yellow Magic Orchestra cover)
11. Maria También
Encore:
12. The Number 4
13. White Gloves
14. People Everywhere (Still Alive)
15. Bin Bin


FUJI ROCK FESTIVAL '19

日時:2018年 7月26日、27日、28日(25日には前夜祭開催)
会場:新潟県湯沢町苗場スキー場 新潟県南魚沼郡湯沢町三国
HP:https://www.fujirockfestival.com/

主催:SMASH http://smash-jpn.com/