8月末に横浜で「TICAD7 (第7回アフリカ開発会議)」が開催され、開催期間はアフリカと日本の文化交流のためのイベントが各地で開催されていた。筆者は DJ としてアフリカのファッションにフォーカスを当てた「Tokyo Africa Collection」のプロジェクトに参加し現代のアフリカの音楽を中心に選曲したのだが、アフリカの音楽シーンは我々の思っている以上に熱を帯びているということに気付かされた。
 

世界が注目するアフリカの音楽文化

(2018年に Major Lazer が行なったアフリカツアーのドキュメンタリー映像)

ダンスミュージックシーンにおいてトレンドセッターとして君臨してきた Diplo は2017年、世界最大の音楽フェス「Coachella Music Festival」の出演を蹴ってまでアフリカでのツアーを敢行。さらに Diplo が率いるユニット Major Lazer は2018年にアフリカをルーツとするアフロビーツに特化した「Afrobeats Mix」をリリースし、その後もアフリカ在住のアーティストとのコラボを積極的に行なっている。

アフロビーツは東京でもアンダーグラウンドシーンにおいての人気が高かったが、ここ最近ではメインストリームのダンスミュージックシーンにおいても熱視線を浴びている。まだ韓国アイドルを筆頭にアジアの音楽マーケットの人気が圧倒的に大きいが、2〜3年もすれば日本のメジャーなクラブでもアフロビーツで若者が踊りまくっている様子が当たり前になっていてもおかしくない。

さらにアフリカのポップミュージックは「アフロポップ」と呼ばれており、優しい歌声と心地よい程度に力の抜けた感じが魅力的だ。
 

頭角を表しつつあるアフリカ出身のアーティストたち

① Kah-Lo


ナイジェリア出身の女性シンガー Kah-Lo(カーロ)はイギリス人のトラックメイカー Riton(リトン)と共に2016年に発表した「Rinse & Repeat」がグラミー賞にノミネートされ、一瞬にしてスター級の人気アーティストとなった。
 

② Sampa The Great


ザンビア生まれ、ボツワナ育ちの Sampa The Great(サンパ・ザ・グレート)は急発展を遂げるアフリカのパワーを感じさせる「Final Form」がとにかくクール。脳に直接届くような彼女の歌声はどの曲でも輝いている。1993年生まれで意外と若いため、今後彼女の魅力が世界規模で爆発するかもしれない。
 

③ WizKid


カナダでダイヤモンドディスクに認定された Drake(ドレイク) の大ヒットソング「One Dance」にも参加していたナイジェリア出身の WizKid(ウィズキッド)はアフロビートやラテン系のシンガー。Drake を客演に迎えた「Come Closer」ではアフリカならではのビビットなファッションに身を包んだ女性が多数登場する。

④ DJ Kampire



ウガンダでフェス主催なども行うアーティスト集団 Nyege Nyege(ニゲ・ニゲ)の中心メンバー DJ Kampire(カンピレ)は東アフリカのダンスミュージックシーンから世界に飛び出した気鋭のアーティスト。欧米のフェスやフェスにもヘッドライナークラスで招聘されており、ダンスミュージックの新たなトレンドの担い手となっている。

⑤ Black Coffee


アフリカのハウスシーンの代表格と言えば南アフリカの Black Coffee(ブラック・コーヒー)だ。先日はベルギーで開催されたヨーロッパ最大級のダンスミュージックフェス「Tomorrowland」のメインステージで堂々のパフォーマンスを披露し、アフリカの DJ が世界に通用することを証明した。
 

2019年、Major Lazer はアフリカのアーティストたちを招いて4曲入りのアルバムを作った。タイトルは「Africa Is The Future」。彼らにとってアフリカは音楽シーンの未来そのものだと高らかに掲げている。

Written by So-on