2020年、世間はとにかく新型コロナ一色だったが、ダンスミュージックシーンにおいても重要な出来事がたくさんあった。今回は、そんな2020年の EDM ニュースを振り返ってみよう!

1月24日(金)、Kygo(カイゴ)が、Avicii(アヴイーチー)に捧げる新曲 "Forever Yours" がリリースされた。サムネイルには Avicii と Sandro Cavazza がアメリカを横断しながらセッションをしていた時のラインが引かれている。
 

日本時間2月25日、The Chainsmorkers(ザ・チェインスモーカーズ)が彼らの公式 Instagram アカウントと、二人の個人アカウントを全削除し、「4枚目のアルバム制作に取り掛かるため SNS はお休みする」と発表した。
 
3月辺りから日本でも本格的に新型コロナウイルスの影響が出始めた。3月初旬には、ULTRA Miami が正式にキャンセルを発表したが、その返金方法にファンたちが激怒。その後、返金方法に関しての訴訟にまで発展したが、11月23日にフロリダ地裁は ULTRA Miami を運営する Event Entertainment Group 社に対して仲裁手続きを取るように命じ、損害賠償を支払わずに済むことになったようだ。

また3月には、DJ MAG が TOP 100 CLUBS の発表をし、日本からは 58位に WOMB、62位に WARP SHINJUKU がランクインした。
 
渡航規制などの影響で、4月辺りから本格的に日本を含む海外でもライブ配信が始まった。YouTube や Twitch などを使用しての無料配信や、チャリティーイベントなども開催され始めた。中でもマイアミ開催で開催された David Guetta(デビッド・ゲッタ)のチャリティーライブストリーミングでは、日本円で7千万円もの寄付が集まり、多くの反響が寄せられた。

2020年4月7日、日本でも緊急事態宣言が発令され、翌月5月25日に解除されたが、このあたりから「夏以降のフェスティバルやイベントは開催されないのではないか」と言った声も多くなり、実際の開催中止・延期の発表もされ始めた。緊急事態宣言に伴い「Zoom 呑み」なども流行した。

なお、4月1日から屋内施設は原則屋内全面禁煙となり、7月1日からは、レジ袋が有料化されたりと日本の制度も大きく変わった。
 
ベルギー発、世界最大級の音楽フェス『Tomorrowland Around The World, the digital festival』のバーチャル配信が発表され、世界中のダンスミュージックファンが注目し、大きな話題となった。チケット制ライブストリーミング配信は、それまでにはダンスミュージック・シーンではまだあまり前例がなかったため、全てにおいて大きな試みとなったことは間違いないだろう。結果として、世界中からの視聴者数が100万人を超えた超ビッグなバーチャル・イベントとなった。
 
6月、数多くの市民をはじめ、様々なアーティストや企業、組織など、全世界がサポートする人種問題に関するムーブメント「Black Lives Matter」そして「Blackout Tuesday」が起きた。このムーブメントは、2020年の1つの象徴と言っても過言ではないだろう。

関連記事>> SNSやWebサイトが真っ黒に!アーティストたちもサポートするムーブメント「Black Lives Matter」とそれをサポートする活動「Blackout Tuesday」とは
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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そして、9月には、女性への性暴行罪で逮捕・起訴されていたハウス界のレジェンド Erick Morillo(エリック・モリロ)がマイアミの自宅で死亡し、音楽業界を激震させた。後に発表された死因は、薬物過剰摂取(オーバードーズ)であった。

更に10月には、Dubstep DJ/Producer の Cookie Monsta(クッキー・モンスタ)が31歳で逝去したと所属レーベルが発表。ダンス・ミュージック業界は悲しみに打ちひしがれた。
 

畳み重ねるように、大人気テクノアーティストで2021年には自身のレーベル "444" をローンチするはずであった i_o(アイオー)の訃報が入ってきたのが11月だ。あまりに突然で悲しすぎる出来事に、ショックを隠せないアーティストたちが、次々と追悼のコメントを SNS に投稿した。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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12月には、様々なフェスや団体がカウントダウン配信イベントの開催を発表。2度目の開催となる 『TOMORROWLAND–31.12.2020』のほか、フランス・パリからライブにて David Guetta が3回目となるチャリティー・ライブ配信を行うと発表。数えきれないほどの豪華なカウントダウンイベントが開催されるため、31日~1日にかけてネットサーフィンで大忙しになりそうだ。
     

いかがだっただろうか。2020年は世間にとってもダンスミュージックシーンにとっても、激動の1年だったことは間違いないだろう。フェスティバルや公演の開催ができないため代わりにライブ配信が増えたことは、音楽業界にとって逆境の中での大きな革命となったのではないだろうか。

2020年、様々な配信プラットフォームが生まれ、アーティストたちが試行錯誤し、自宅のキッチンやトイレ、アイコニックなビルの屋上から配信したり、豪華なセットとビジュアルの配信をしたりと多種多様なライブストリーミングの在り方を見せてくれた。2021年も配信プラットフォームは進化し続けることだろう。
それ自体は非常に楽しみなことだが、それはともかく、何よりもやはり、新型コロナウイルスが終息し、大きな発展を遂げたバーチャルイベントと並行して、熱量を全身で感じられるリアルイベントが再び開かれる日が一刻も早く来ることを願うばかりだ。