イギリスのミュージシャンたちは、コロナのパンデミックに引き続き、急激なインフレにも悩まされ続けている。

UK の音楽慈善団体『Help Musicians』がミュージシャン500名に調査した結果をまとめた報告書によると、現在進行中のインフレ(物価が継続的に上昇すること)によって、音楽業界全体のミュージシャンが大規模な労働コストの危機に直面する可能性があることが明らかとなった。
この危機に直面しているミュージシャンは 91% にも上り、また同時に現在の生活費がミュージシャンのキャリアに大きな悪影響を及ぼしていることも明らかとなった。更に、音楽機材を買う余裕も今後なくなるのでは、との懸念の声も上がっている。

Help Musicians

ミュージシャン500名の内、10人中8人が、未だ続くインフレによって家賃や住宅ローンの費用を賄えるかについても懸念していると回答。また10人中9人が、この状況がメンタルヘルスに悪影響を及ぼしていると答えている。

Help Musicians は、これらの要因について、ブレグジット(イギリスの欧州連合離脱)などの英国の時事問題と関係性があるとしており、これらが近年の音楽業界に悪影響を及ぼしており「残酷なことである」とコメントしている。

Help Musicians の最高経営責任者 James Ainscough は以下のように語っている。

新型コロナのパンデミックによる壊滅的な影響により、ほとんどのミュージシャンが単純にパフォーマンスできなくなった。その後、クラブや会場は振替公演などで数ヶ月先、数年先まで予約されるようになった。これに続いてブレグジットが起こり、ツアーを行うことに悪影響が出ている。ツアーを行うことは駆け出しのミュージシャンにとってキャリアを築くためには重要なステップとなっている。

また同調査にて、98% のミュージシャンが今後6ヶ月間で十分な収入を得られるかを不安に感じていると答え、22% は音楽業界から完全に撤退しようと考えていることが明らかとなった。

ミュージシャンで Help Musicians のアンバサダーである Dame Evelyn Glennie は以下のようにコメントしている。

悲しいことに、現在は、とても才能やスキルがあるミュージシャンが、音楽業界を去り、新しい道に進むことを決めたと知らされることが非常に普通になってきています。芸術団体は活動を停止せざるを得なくなりました。このような厳しい経済状況から、コミュニティーのオーケストラや合唱団も業界を去らざるを得ない状況です。

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