アーティストがファンのために新曲を制作し、ストリーミング数を稼ぐことに励んでいる中、AI が難なく1億ストリーミングを突破する楽曲を生み出してしまった。

Music Business Worldwide の報道によると、中国のストリーミング大手 Tencent Music Entertainment(TME)は、人間の声を模倣した AI によるボーカルを搭載した新曲を 1,000曲以上レコーディングしてリリースしているが、その中でも特に「Today」と題された1曲が、AI ボイスを使った曲として初めて1億ストリーミング数突破を記録、同曲の収益は35万ドル弱(約4839万4,000円)の収益に繋がった。


この楽曲には、TME の「特許取得済み音声合成技術」である Lingyin Engine が使用されており、実在の歌手の声を再現して、あらゆるジャンルや言語を通じてオリジナル楽曲を制作できるとされている。
また、この技術を使用して「伝説のアーティストを偲ぶ合成音声」を開発、香港の歌手・女優で2003年に亡くなった故アニタ・ムイ等、亡くなった音楽スターの声を再現したとも伝えられている。

その一方で、米国レコード協会(RIAA)は作品、音楽業界における AI の海賊行為に警鐘を鳴らしている。

RIAA の報告書は「人工知能(AI)を使用し、録音物からボーカル、インストゥルメンタル、またはインストゥルメンタルの一部を抽出・コピーし、または選択した有名な録音アーティストによる参照トラックと非常に似ているか、ほぼ同じになるように録音物を生成、マスター、リミックスするオンラインサービスがある」と述べており、暗に Lingyin Engine 等の技術を警戒しているとも取れるものとなっている。