イランでは、昨年9月、イスラム教の教義により着用が義務付けられているスカーフを適切に着用していなかったという嫌疑により、イラン当局から拘束されていた22歳のマフサ・アミニさんが不可解な死を遂げた事件への全国的かつ大規模な抗議活動が起きた。
イラン当局は、マフサ・アミニさんの死因は心臓発作であり、虐待されたわけではないと主張、しかしそれに対してマフサ・アミニさんの家族は、彼女は心臓には問題がなく、更に当局が彼女の遺体を見せなかったことを理由とし、当局の発表を疑問視している。


この事件の影響で、デモ隊と当局との衝突が起き、治安部隊はデモ隊の解散を狙って警棒や散弾、催涙ガス、放水砲などを使用し、イラン国内では数十人の未成年者を含む数百名のデモ参加者が殺害されたと伝えられており、12月22日までに推定18,480人が逮捕されたとイランの人権活動家 HRANA が報告している。また、それに伴い、インターネットが広範囲に渡り遮断されたり、同国で使用が可能だった Instagram や WhatsApp へのアクセスがブロックされたりもしている。

2023年度に入ってもイラン政府に対する大規模な抗議が続く中、イランの女性アーティスト12人が集結し、イラン・イスラム共和国に対して自由のために戦う人々を支援する12曲のオリジナルトラックを収録したコンピレーション『Woman, Life, Freedom』が制作された。
このプロジェクト名は、イラン現政権に対する世界的な抗議デモの公式スローガンである「Zan , Zendegi, Azafi」の英訳となり、イラン人女性アーティスト AIDA、Nesa Azadikhah がキュレーションしたこのコンピレーションには、エレクトロニック、ブレイクビーツ、テクノ、アンビエントミュージックといったジャンルのトラックを収録、Apranik Records より1月20日にリリース予定となっている。
 
AIDA、Nesa Azadikhah は、共同声明にて、以下のように綴っている。

イラン人女性のグループとして、この戦いは私たちの心に最も近いものです。
私たちは、自由なイランのための戦いに向けて、連帯してこのコレクションをリリースし、音楽を通じてこの革命についての認識を高めることを目指します。このコレクションのテーマは、力、反抗、そして獰猛さであり、全ての楽曲で聴くことができます。
私たちは、女性や少女が芸術、特にエレクトロニック・ミュージックをオープンに、安全に練習し、成長し、輝ける未来を夢見るのです。私たちからあなたへ、そして自由なイランへ。

『Woman, Life, Freedom』のリリースによる収益は、家庭内暴力、ドラッグ中毒、ホームレス、。社会的苦悩から回復した女性や子どもたちを支援する団体「Saraya Mehr」等の、イランで苦境に立たされている女性を支援する慈善団体へ寄付されるとのことだ。

デジタルアルバム『Woman, Life, Freedom』は、1月20日のリリースに先立ち、以下から予約可能となっている。

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