The Guardian が、2020年10月31日に亡くなったイングランド系アメリカ人ラッパー MF DOOM (エム・エフ・ドゥーム/本名:Dumile Daniel Thompson)の死について、彼に提供された治療に医療ミスがあったことを認めて謝罪した。
MD DOOM は3年前、血圧降下剤の副作用により、リーズのセント・ジェームズ大学病院に入院した後、急逝した。
既に腎臓病、2型糖尿病、心臓病、B型肝炎等、様々な病気に苦しんでいた MF DOOM は、血圧降下剤に対する激しいアレルギー反応によって脳が酸素不足に陥り、喉と舌が腫れた結果、悲劇的に命を落とした。
NHS Trust は、MF DOOM の死に関する検死の中で、血管浮腫の治療における "機会損失" の存在を認めた、つまり医療ミスについてを認めた。
検視官補佐の Janine Wolstenholme は、病院で作成されたケアプランには十分な詳細がなく、数日前に健康状態が改善したように見えた MF DOOM の状態について、医師たちは誤って安心させていたと述べている。Janine Wolstenholme によると、血管浮腫は喫煙者やアフリカ系カリブ海出身者によく見られる症状であり、MF DOOM にも当てはまることを認めた。
NHS Trust のチーフ・メディカル・オフィサーの Hamish McLure 医師は、生命の中で哀悼の意を表明し、次のように謝罪している。
MF DOOM こと Dumile Daniel Thompson は、ロンドンで生まれ、ニューヨークのロングアイランドで育った。小学3年生で DJ の道を歩み始め、10代後半から Zev Love X の名で活動をスタート。当初は、弟と共に政治食の強いラップ・グループの KMD に所属していたが、弟は2年後に事故で死亡するという悲劇に見舞われた。弟の死後、MF DOOM は音楽シーンから身をひいていたが、1990年代後半にマンハッタンのオープン・マイク・イベントに再び現れ、予告なしに、顔にストッキングを被ってステージに立った。Marvel のキャラクターである "Doctor Doom(ドクター・ドゥーム)" にインスパイアされた象徴的なマスクは、彼のトレードマークとなった。彼が受けた標準以下のケアについて謝罪します。彼の悲劇的な死を受けて、私たちは事件の徹底的な調査を行い、その報告書をダニエル(MF DOOM)の家族と共有しました。その結果、私たちはいくつかの対策を実施し、この事件から学んだ教訓は、様々な臨床専門分野に渡る教育カリキュラムに組み込まれる予定です。私たちはまた、国のガイドラインを明確にし、この分野での認識を高めるという検視官の勧告を支持します。
単音節の韻を踏んだ独特のスタイルを特徴とし、バラバラで散漫な韻と無名の音源からの巧みなサンプリングでラップに革命を起こしており、Tyler the Creator(タイラー・ザ・クリエイター)、Earl Sweatshirt(アール・スウェットシャツ)、Westside Gunn(ウェストサイド・ガン)を筆頭に、多数のアーティストたちに影響を与えている。
アルバム『Madvillainy』は Billboard Top 200 入りを果たしており、また Gorillaz(ゴリラズ)、The Avalanches(アヴァランチーズ)、BadBadNotGood(バッドバッドノットグッド)、Wilma Archer(ウィルマ・アーチャー)といったアーティストの楽曲にゲスト参加しており、急逝時には Flying Lotus(フライング・ロータス)と共に EP を制作中であったとのことだ。
彼の死後、MF DOOM の友人たちは、MF DOOM が育ったニューヨークのロング・ビーチのストリートに彼の名を冠した「KMD-MF DOOM WAY」と名づけ、彼の遺産に敬意を表した。