米ハーバード大学の研究者が、30年間にわたって10万人の食生活を追跡した調査研究により、全粒穀物、果物、野菜、ナッツなど、植物由来の "地球にやさしい" 食品を多く取り入れ、持続可能な食生活を送っている人は、環境にあまり配慮していない食事をしている人に比べ、30年間の期間中に死亡する可能性が低いことを発見したとのことだ。

研究チームは1986年から2018年までの期間、アメリカで10万人以上の人々の食生活を追跡、観察。この30年間以上の追跡期間中に、47,000人以上が死亡しており、研究チームによると、PHDI のスコアが高いほど、がんや心臓疾患による死亡リスクが15%低く、神経変性疾患による死亡リスクは20%、呼吸器疾患による死亡リスクは50%低いことが判明したという。


マサチューセッツ州ボストンで開催される米国栄養学会の年次総会である「Nutrition 2023」で発表された研究結果に基づいて、ハーバード大学のTH Chan 公衆衛生大学院栄養学科の博士課程に在籍するリン・ブイ氏らは、食品が人間の健康だけではなく、環境にも及ぼす影響を示す新しい食事スコアを開発した。

「Planetary Health Diet Index (PHDI) 」と呼ばれるこの指標は、既存のエビデンスに基づいて食品に点数を付けたもので、この指標は、心臓病、腸がん、糖尿病、脳卒中等の慢性疾患リスクと、水利用、土地利用、栄養汚染、温室効果ガス排出などの環境への影響を考慮したものとなっている。


研究チームは "植物性食品は赤身肉や加工肉より健康的で、地球への害が少ないことを示す既存の研究を基礎にしている" と述べている。

ただし、リン・ブイ氏は「PHDI は文化や宗教によって異なる国に適応させる必要があるかもしれない」ともコメントしており、また、特定の健康状態や食品へのアクセスに問題がある場合は、地球に優しい食事がより難しくなる可能性があることにも注意を促している。