ある音楽プロデューサーが AI を利用して音楽を生成し、ストリーミング再生数を増やすことで数百万ドル規模の詐欺を行ったとして逮捕・起訴された。

「Michael Smith（マイケル・スミス）」という名義で活動していたこのプロデューサーは、Spotify、Apple Music、Amazon Music などの人気ストリーミングプラットフォームで自分の曲の再生回数を増やすため、AIボットをプログラムした疑いで逮捕された。


マイケル・スミスは、これらのプラットフォーム上で何千もの偽アカウントを作成し再生回数を人工的に増やしていたとされており、さらには AI が完全に生成した楽曲でも同様の手法を用いていたことが調査の対象となっているという。これにより、ストリーミングプラットフォームの支払いシステムを悪用し、1,000万ドル以上のロイヤルティを得ていた可能性があるとされている。

マイケル・スミスは最初自分の曲の再生回数を不正に増やしていたが、問題が発覚すると、AI を使って大量の音楽を生成し、注意を引かれないように同様の結果を得ようとしていたとのことだ。起訴状によれば、彼は共犯者2人に対し「多くの曲を早く作らなければ、この不正防止の仕組みをすり抜けられない」と語っていたとされている。

当局は、マイケル・スミスが2018年以降、AI を利用した音楽制作会社と協力して膨大な量の音楽を作っていたと考えており、さらに偽のメールアドレス、VPN、そして自動化ソフトウェアを駆使して足跡を隠していたことも明らかになっている。
この詐欺が発覚したのは、一部の楽曲の再生数が異常に高いことに当局が気付いたことがきっかけで、多くの再生数が偽アカウントから発信されていることが判明。
スミスはマネーロンダリング、詐欺、詐欺共謀の容疑で起訴されており、有罪となれば長期の刑期が科される可能性がある。

今回の事件は、AI 技術が引き起こす法的トラブルの先駆けとなるケースになりそうで、AI が日常生活にどのような影響を与えるか、良い面と悪い面が混在していることを示していると言えるのではないだろうか。
例えば、プログレッシヴ・トランス DJ/プロデューサーの Ilan Bluestone（イラン・ブルーストーン）のように、AI を使ってトラックの一部を生成し、人間の耳で最終的に調整するという方法もある一方で、同時に「偽の」音楽が溢れかえっている現状も考えなければならない。