世界最大級の音楽ストリーミングサービス Spotify(スポティファイ)が2024年に音楽業界へ100億ドル(約1兆5500億円)を支払ったことを明らかにした。この金額は、前年と比較して10億ドル(約1500億円)増加しており、同社の成長と音楽業界全体の拡大を示している。

CD やダウンロード販売からストリーミングへと音楽業界がシフトする中、アーティストやレーベル、プロモーター、そしてストリーミングプラットフォーム自身もデジタル収益に大きく注目している一方で、ストリーミング再生に対する報酬の適正性については、長年にわたり議論が続いている。ところが、Spotify は業界全体に多額の支払いを行っており、その影響力は年々増している。

今回の発表によると、Spotify は2024年だけで毎月平均8億3300万ドル(約1250億円)を音楽業界へ還元しており、2008年のサービス開始以来累計で600億ドル(約9兆円)以上を支払ってきたことになる。


Spotify はまもなく2024年第4四半期の財務報告を発表する予定であり、その際に同社の総収益に対する音楽業界への還元率が明確になると見られている。
また、Spotify の音楽ビジネス部門 VP(バイスプレジデント)である David Kafer(デビッド・ケーファー)は、「2014年に世界の音楽業界の年間収益が130億ドル(約2兆円)まで落ち込んだ際が、業界の最低点だった」と指摘し、それ以降のストリーミングサービスが注目され業界の収益回復に一役買ったことを強調している。Spotify の支払い額が前年を上回ったことは、ストリーミング市場の成長が現在も続いていることを裏付けるものとなっている。

Spotify の収益分配モデルは依然として議論の的ではあるが、今回の発表は同社が音楽業界全体に与えている影響の大きさを示すものとなったのではないだろうか。