ニューヨークの伝説的なジャズクラブ Blue Note(ブルーノート)がロンドンに進出する計画が持ち上がっているが、ロンドン警視庁(Metropolitan Police Service)が犯罪増加の懸念を理由に反対していることが明らかになった。

英紙 The Standard(ザ・スタンダード)によると、Blue Note はロンドンの Covent Garden(コヴェント・ガーデン)にある St Martins Lane Hotel(セント・マーチンズ・レーン・ホテル)の地下に350席の新店舗をオープンする計画を進めているという。営業許可が下りれば、週7日・午前1時までの営業が可能となる予定だ。
 

しかし、ウェストミンスター市議会のライセンス小委員会が発表した報告書 によると、地元警察はこの計画に強く反対しているようだ。報告書の中で警察は、「犯罪と秩序の悪化を防ぐ」というライセンスの基本方針に反するとして、次のような見解を示した。

このエリアの犯罪や秩序の悪化、公的な迷惑行為が増加する可能性がある。

2月13日に開かれた市議会の公聴会では、警察関係者が「このクラブの営業許可が下りれば、より多くの人々が犯罪や混乱に巻き込まれる恐れがある」と主張した。また、報告書にはこの地域における反社会的行動、強盗、窃盗、暴力事件の発生状況を示す図表も含まれており、警察側は「ロンドンの中心部において、すでに過剰な負担がかかっている警察や緊急サービスの需要がさらに増大する」と懸念を示している。

住民の一部は営業時間を午後11時までに制限するよう提案し、その理由として次のような指摘をしている。

・ジャズファンの中には、お酒を楽しんでいる人もいるでしょう。深夜に店を出た際、冷たい夜風の中で一瞬混乱する可能性があります。

・午前1時の閉店時には、すでにこの地域で活動している犯罪グループに狙われるリスクが高まるかもしれません。

特に、深夜に酔った観客がギャングのターゲットになる可能性を懸念する声が上がっている。これに対し、ブルーノート側は「午前1時までの営業は、音楽スケジュールの観点からも、この施設の文化的価値のためにも不可欠である」と主張している。


もし計画が承認されれば、同施設は Blue Note の世界展開の最新拠点となり、イギリス初の Blue Note の誕生ということになる。1981年にニューヨークで創業したブルーBlue Note はこれまでにアメリカ国内(カリフォルニア、ハワイ)だけでなく、東京、リオデジャネイロ、サンパウロ、ミラノ、北京、上海など、世界各地に店舗を展開してきた。果たしてロンドンでも同様の成功を収めることができるのか。警察や住民の懸念を払拭できるかどうかが今後の鍵となりそうだ。