ラスベガスの世界最大級の球形ベニューで、U2 や Anima(アニマ)、Backstreet Boys(バックストリート・ボーイズ)公演等で話題を振り撒いているベニュー Sphere(スフィア)を経営する Sphere Entertainment が、新たな市場で縮小版を開発する計画をほのめかしている。
これには、より小型化することでコスト効率の高いバージョンでのリーチを拡大したいというオーナーサイドの希望が関わってきているようで、Sphere Entertainment 会長/CEO のジェームズ・ドラン氏は、同社の最新の収益報告で、Sphere が「Mini Sphere(ミニ・スフィア)」の建築設計段階にあり、中規模都市を候補地として評価していることを報告。新たな会場の収容人数は約5,000人程度で、世界最大の球形構造と LED スクリーンの両方を備えたラスベガスのオリジナル Sphere の収容人数の4分の1となる設計だ。
このコンセプトは、ラスベガスの会場が抱える 運営コストの高さと、それにより Sphere で公演を開催することが可能なアーティストの数が限られてきてしまうという2つの問題点に対処するものとなる。Sphere Entertainment は、その特徴的な技術の精神を維持しつつも会場を縮小することで、アーティストと観客の両方にとって、より持続可能なコストで同様のスペクタクルを提供可能であることを示唆した。
ラスベガス Sphere で公演を開催するアーティストは、会場のラップアラウンド LED ディスプレイに合わせてビジュアル・コンテンツをカスタマイズする必要があり、そのための多額の費用が必要であった。しかし小規模な会場であれば、豊富な資金力を持つビッグアーティストのみならず、更に幅広いアーティストが公演を開催できることになるだろう。
コンサート以外にも、Sphere ブランドは没入型映画でも成功を収めている。ライブ・パフォーマンスの没入型映画はアーティストが実際にその場で毎回ライブをする必要がないため、観客に映画のようで臨場感もあるライブ音楽体験を提供することができる一方で、制作費も実際のライブ・パフォーマンスよりもかなり抑えることができる。ミニ・スフィアは、こういった企画の面からも期待されている。
ラスベガスの Sphere のコンセプトはまだ形成期にあるため、Sphere Entertainment はアブダビに建設予定の本格的な Sphere の会場の計画から始まり、会場の拡張を次の大きな成長機会と捉えているようだ。
現時点では、まだこのミニ・スフィアの具体的な展開については発表されていないものの、いつか日本にも Sphere が建設される可能性にも期待したい。