ニューヨークで最も人気のある会場の一つである「Brooklyn Mirage(ブルックリン・ミラージュ)」が、2025年の建築再計画を発表した。この計画は「Mirage 4.0」と呼ばれるもので、過去10年間で何度もリフォームしてきた同会場の歴史の中でも、最も野心的な再設計になるとのことだ。
このリフォームでは仮想環境、270度の、キネティック・シャッター、特注スピーカーを備えた「エレクトロニック・オペラハウス」のようなものになるとのことだ。
 
昨年秋、Brooklyn Mirage の所有企業である Avant Gardner の CEO に就任した Josh Wyatt は、以下のように述べている。

Brooklyn Mirage は常にダンスを踊る場所であり、純粋で刺激的なエネルギーの瞬間に身を任せる場所だった。

会場を一から作り直すことを決めたとき、ダンスフロアを拡張し、没入型のサイド・クエスト・スペースを作成し、音楽、アート、テクノロジーの限界を押し広げながら、その伝統を尊重することを目指した。

Brooklyn Mirage の象徴であった広大な LED ウォールも、大きな変革を遂げる予定だ。会場のダンスフロアを包み込むように更に拡張され、1億ピクセル、3000枚を超えるタイル、合計30Kの解像度によって270度の仮想没入空間を実現させる。

しかし、この LED ウォールは常設設備ではなく、キネティックシャッターシステムにより制御され、シャッターを閉めると初期の Brooklyn Mirage を彷彿とさせるような空間になるとのことだ。これにより、開催されるショーに合わせて会場の雰囲気をがらりと一変させることができる。


更に約27メートルのステージエリアと、業界をリードする約18億1,400Kgの天井を動かすシステムにより、アーティストはパフォーマンスの制作要素とビジュアル・アイデンティティを比類のないクリエイティブな方法でコントロール可能となる。
このスペースでは、アリーナ・スタイルのショーから、素朴でアーティストと観客の距離が近いコンサートまで対応可能となり、ナイトライフでは滅多に見られないレベルの柔軟性のあるフロアを実現する。

Josh Wyatt は更に以下のようにコメントしている。

この新たな Brooklyn Mirage は、世界中のファンがこのスペースで気に入っている全ての要素を備えながら、全く新しい、衝撃的な感覚体験を提供する。

ニューヨーク市は、文化と共に進化する会場に値する。そして、まさにそれは我々が作ろうとしているものだ。

この建築再設計に伴い、Brooklyn Mirage は、Tomorrrowland や Ultra といった世界最大級の音楽フェスティバルのサウンドを支えている、業界をリードするオーディオ・ソリューション企業の「L-Acoustics」のカスタム・ビルド・システムでサウンド・セットアップを刷新。会場全体に100台を超える精密に調整されたスピーカーとサブウーファーが配置されるため、レールの上で大騒ぎしていても、後方でぶら下がっていたとしても、どこにいても鮮明でバランスが取れたサウンドを提供してくれる。


ダンスフロア全体も改装予定で、12メートル以上拡張され、演出要素と柱を撤去することによりフロアのスペースが広がり、観客の流れが改善され、ステージへの視界も良くなるとのことだ。

更に、新たにボックス席、バルコニー、中二階も設置され、まるでエレクトロニック・オペラハウスのような形状となる。2階、3階の中二階は全ての参加者に開放されるが、ダンスフロア両サイドの高い位置に並ぶボックス席は、一部のショーにて VIP テーブルとなる。

そして更に、Brooklyn Mirage は持続可能性の先駆的な取り組みとして、イベントスペースに木材を使用した木造建築物となるとのことだ。幅60メートル、高さ20メートルを誇る新たな Brooklyn Mirage は、アメリカ国内におけるこの種の木造建築物としては最大級の規模を誇るものとなる。
 
これらの視覚、音響、建築の改修には、文化、ロジスティクス、運用面の様々な改善も伴う。「これは単なるアップグレードではなく、再生である」と Josh Wyatt は述べている。

新生 Brooklyn Mirage は、5月1日に2025年のシーズンをスタートさせる。既に100を超えるショーが予定されており、Alesso(アレッソ)、Peggy Gou(ペギー・グー)、Underworld(アンダーワールド)、Empire of the Sun(エンパイア・オブ・ザ・サン)、The Chainsmokers(ザ・チェインスモーカーズ)等が出演する。