HIP HOP アーティストの Kendrick Lamar(ケンドリック・ラマー)が歴史を刻んだスーパーボウルのハーフタイムショーは、記録的な視聴者数を獲得した一方で、一部の視聴者の間では物議を醸しているようだ。

今回のハーフタイムショーについて、アメリカ国内の放送通信事業の規制監督を行う米連邦通信委員会(FCC)に125件の苦情が提出されたという。FCC は、テレビやラジオの放送内容を監視し、不適切なコンテンツに関する苦情を受け付ける政府機関である。
今回の苦情の内容は「挑発的なダンス」「人種差別」「ギャングとの関係を示唆する内容」など、多岐に渡ったとのことだ。

2月9日に行われたハーフタイムショーで、Kendrick Lamar は自身の代表曲や最新アルバム『GNX』からの楽曲を披露した。その中には、Drake(ドレイク)へのディス曲として話題となった「Not Like Us」の検閲版も含まれていた。
 

視聴者からの主な苦情として、以下のような意見が寄せられたという。

「子どもが見るべきではない言葉やジェスチャーが含まれていた」
「家族向けのイベントのはずなのに、子どもを部屋から追い出さなければならないのは疲れる」
「このショーは分裂を生み、下品な表現が多すぎた」

また、一部の視聴者はショーの出演者の人種構成にも不満を示し「白人の出演者が一人もいなかった」と批判する声もあった。

さらに、ショーに短時間登場したテニス界のレジェンド、Selena Williams(セリーナ・ウィリアムズ)についても、パフォーマンス中に見せたダンス「クリップウォーク」が、ギャング文化を連想させるとして苦情が寄せられた。
 

そもそも今回のハーフタイムショーでは、白人男性として描かれているアメリカを象徴する "アンクル・サム" に黒人のサミュエル・L・ジャクソンが扮していたりと、黒人カルチャー色が強過ぎるため、保守的な白人層からの評価が低いことは目に見えていた。

苦情が寄せられた一方で、ハーフタイムショーは批評家から高い評価を受け、史上最多の視聴者数を記録しており、ハーフタイムショーとしては大成功を収めたと言えるだろう。
また、スーパーボウルの影響で、Kendrick Lamar のアルバム『GNX』は Billboard 200で再び1位 に返り咲くんなど、商業的にも大きな成功を収めている。