2005年からスタートし今年で20周年を迎えた日本最大の MUSIC と ART のカルチャーフェスティバル「GREENROOM FESTIVAL 20th Anniversary」が、横浜赤レンガ地区野外特設会場にて、2025年5月23日(金)、24日(土)、25日(日)に開催された。今回はフェス史上初となる3日間に渡る開催となった。

3日間の来場者人数はイベント開催から過去最大の合計15万人。GOOD WAVE、BLUE SKY、RED BRICK、PORT LOUNGE と分かれた4ステージで、過去最高の総勢45組の豪華アーティストが出演した。
赤レンガ倉庫屋内アートエリアでは、サーフカルチャーを感じさせる国内外の著名アーティストたち16名によるアートエキシビジョンも同時開催された。
最終日となった DAY3 は、日本を代表するシンガーから世界的アーティストまでが集結。海風とともに届けられたライブの模様をお届けする。
 
2日目の24日は天候には恵まれなかったが、太陽が差し最高のフェス日和となった3日目。すぐ隣には豪華客船のダイヤモンド・プリンセス号が停泊してる中スタートした。

ハナレグミ:日常の情景が音になる、やさしい夕暮れのマジック

日中の BLUE SKYステージに現れたハナレグミ。アコースティックギターの音色とともに始まった「家族の風景」では、会場全体を包み込むような温かさを持ち、柔らかで芯のあるボーカルが心地よく響き渡っていた。曲間ではフリートークも交え、笑いと涙が交差する温かい時間に。「さよならCOLOR」では、観客が自然と身体を揺らし始め、音楽と風景が一体に。まさにフェスらしい穏やかな時間が流れた。

Tori Kelly(トリー・ケリー):極上の歌声で染め上げた、ソウルフルな初来日ステージ

ソウルフルな歌声で知られる米国の実力派グラミー受賞シンガー、Tori Kelly が GREENROOM に初出演。「Should’ve Been Us」で幕を開け、地声とファルセットを巧みに使い分けた圧巻のボーカルで観客の心を鷲掴みに。「Nobody Love」や「A Thousand Miles」でその実力を惜しみなく披露。圧倒的な歌唱力に加え、チャーミングな笑顔で観客との距離を一気に縮めた。「この空気が最高!」と語り、日本語での「ありがとう!」に会場から大きな歓声が上がった。

The Yussef Dayes Experience(ザ・ユセフ・デイズ・エクスペリエンス):境界を超える音の旅、深海のようなジャズ空間

現代 UK ジャズシーンを代表するドラマー、Yussef Dayes が自身のバンドを率いて登場。冒頭から炸裂する手数の多いドラムと緻密なビート展開で、観客の興奮を煽る。ベース、シンセ、サック・パーカッションが織り成すサウンドは、即興的かつスリリングだ。「Afro Cubanism」や「Tioga Pass」などジャズとアフロビート、ファンクが渾然一体となったセッションでドラムの一音一音に魂が込められ、和太鼓とのセッションも披露されるなど、日本開催ならではの演出も。音楽というよりも“体験” と呼ぶべき、濃密な45分間だった。

UA:野生と叙情を併せ持つ、30周年の圧倒的存在感

デビュー30周年を迎えた日本のオルタナティブポップを象徴する存在、UA が幻想的な空気を纏ってGOOD WAVE ステージに登場。夕暮れから夜へと移り変わる時間に登場した UA は、「リズム」で幕を開け、その圧巻の歌声で空気を一変させる。「微熱」「甘い運命」などの代表曲を織り交ぜつつ、その独自の世界観と生命力あふれる表現力に、観客は息を呑んで聴き入った。飾らない自然体の姿で歌い上げた UA のパフォーマンスは、フェスの20周年にふさわしい唯一無二の存在感を放ったパフォーマンスだった。

Jacob Collier(ジェイコブ・コリアー):世界が1つになる奇跡の合唱、フェスの幕を閉じる音楽の魔法

そして今年の大トリを飾ったのは、グラミー常連で史上最高と言っても過言ではない音楽の才能を持った天才マルチ奏者 Jacob Collier。ステージには木の舞台セットが用意され、映像と照明の演出で一気に彼の世界観に。1人で多重奏を作り上げ 、ありとあらゆる楽器を高レベルで演奏するスタイルに加え、観客全体を「指揮」する合唱コーナーでは、左・中央・右のブロックに分けられた観客が見事なハーモニーを奏でた。「Time Alone With You」や「All I Need」など名曲が並ぶ中、ステージと観客の境界が消えていくような幸福な時間に。7曲目に披露した「Witness Me」では Tori Kelly との共演も。音楽の持つ力をあらためて実感させられる、感動のクロージングとなった。


音楽と海、そして人がつながる:20周年を迎えたGREENROOMの“いま”

今年20回目を迎えた GREENROOM FESTIVAL は、かつてないほど多彩なアーティストとともに、ジャンルを超えて人々の心を結びつけた。最終日のラインナップはまさに、その象徴。世代も国境も越えた音楽たちが、海辺の街・横浜をやさしく照らし、今年も「SAVE THE OCEAN」の理念とともに、音楽が生む美しい記憶が深く刻まれた。

Written by Tomoki Go