米アリゾナの有名EDMベニュー、付近に建設された高齢者向け高層住宅からの騒音の苦情で法廷闘争に…最終的に和解するもひっそりと閉店

アメリカ・アリゾナ州の都市テンピで約10年に渡り営業し、地域で最も人気のある EDM 会場の一つとして愛されてきたベニュー「Shady Park(シェイディ・パーク)」がひっそりと閉店した。
アリゾナ州フェニックスを拠点とするニュースメディア Phoenix New Times によると、この会場は、地元のレストラン経営者で Sunbar 等のテンピのナイトスポットを数多く手がける企業家、スコット・プライス氏によって2015年にオープンしたベニューで、木々に囲まれた中庭をもつ個性的な屋外「Bar Park」としてスタートし、すぐに EDM の人気ベニューへと発展していき、2016年には初公演が開催され、有名アーティストが公演を開催したり、地元の DJ がプレイしたりと、ダンスミュージックファンの憩いの場となっていた。

Photo by Benjamin Leatherman / Phoenix New Times

しかし、COVID-19のパンデミックで2020年3月に州全体の営業制限を受けて閉鎖され、その後約1年後に再オープンしたものの、閉鎖期間中に通りの向かいに20階建の高齢者向け高層住宅「Mirabella at ASU」が建設、Shady Park でのイベントが再開されると、高齢者向け住宅の住民たちがテンピ市当局に騒音に対する苦情を申し立て始めた。

この紛争は2021年初頭までに激化し、Shady Park は階段状のピラミッド型屋根を含む大掛かりな防音対策をし、オーナーのスコット・プライス氏はこれに100万ドル(約14億7,460万円)以上を投資するなどしたが、Mirabella at ASU の高齢者住民たちは2021年11月、ベニューでの EDM イベントの開催中止を求めて訴訟を起こし、激しい法廷闘争となった。

2022年、マリコパ郡上級裁判所のブラッド・ストロスキー判事は、Shady Park に対し厳しい騒音規制を課し、会場でのコンサート・プログラムは事実上壊滅状態に追い込まれ、Mirabella at ASU の高齢者住民たち以外、特に地元の音楽ファンやミュージシャンから大きな抗議の声が巻き起こった。

しかし2022年12月、この判決は覆ることとなった。Shady Park と Mirabella at ASU は2023年に和解合意に達し、表面上は公演再開が認められ、ベニュー側は「いずれ音楽が戻ってくる」とファンに誓ったが、結局その後同ベニューでコンサートが開催されることはなかった。

オープン以来、Shady Park には Tokimonsta(トキモンスタ)、Chris Lake(クリス・レイク)、Fisher(フィッシャー)、Omnom(オムノム)といった人気アーティストたちが出演してきた。

Shady Park は同店の閉店について公式発表しておらず、ひっそりとベニューの SNS アカウントを削除し公式サイトを閉鎖、オーナーのスコット・プライス氏もベニューのスタッフも閉店の理由を明らかにしていない。

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