AI 生成音楽のジャンルにおいての企業間の競争は激化している。Google は MusicLM というモデルで試験運用を行なっており、Meta は今年初めに Audiocraft という名称で AI 音楽生成のためのオープンソースツールをリリースした。また、AI 生成音楽プラットフォームの Suno は、シンプルなテキストプロンプトで完全な楽曲を生成できるというスタイルで人気を博している。

そんな AI 生成音楽の分野に、OpenAI がついに乗り込んでくるようだ。
The Infomation の報道によると、OpenAIがテキストや音声入力から作曲できる AI 生成音楽ツールを開発中であるとのことだ。
同社はまだこのツールの正式な発表やリリース戦略を明らかにしていないが、情報筋によると、この取り組みは時価総額5,000億ドル（約76兆8,670億万円）の巨大企業である OpenAI にとって、クリエイティブなオーディオアプリケーション開発に向けた大きな転換点になるのではないかと見られている。

OpenAI は、ニューヨークにある名門音楽学校のジュリアード音楽院の学生と協力し、楽譜への注釈付けを課題として与え、モデルの学習データを改良していると報じられている。具体的な内容は不明だが、このプロジェクトはプロレベルの音楽性と機械学習を融合させるという、より広範な野心を示唆している。

OpenAI は、2020年にボーカル付きの生のオーディオ音楽を生成できる音楽生成 AI モデル「Jukebox」を実験的にリリースしていたが、最終的には開発を中止していた。しかし、現在の OpenAI の CEO を務める Sam Altman の下で具現化されつつある、AI オーディオのより深い野望を予見させるものだった。

しかしながら、規模が大きければ厳しい監視も伴うもので、OpenAI は既に著作権訴訟に巻き込まれており、その中には言語モデルの学習における著作権コンテンツの無許可使用を巡る訴訟も含まれている。
同社はいくつかのライセンス契約を結んおり、最も知られているのが Shutterstockとの契約で、その音楽カタログへのアクセスも含まれている。しかし、OpenAI が音楽ツールのトレーニング用に音声データをどのように調達しているかについての明確な詳細がないため、よくある法的問題が発生する可能性が高いのではないかと見られている。