北マケドニアで今年3月に発生したナイトクラブ火災で、63人が死亡、200人以上が負傷した事件の裁判がスタートした。

BBCの報道によると、3月16日に同国東部コチャニのナイトクラブ「Club Pulse 」で発生した火災で、店のオーナーを含む35人と3つの機関が起訴された。クラブには違法なライセンスが発行されていたこと、複数回の検査が実施されていなかったこと、そして過密状態が問題となっていたことが疑われている。
 
事件は、2025年3月16日の現地時間午前2時30分頃、ステージ上の花火の火花が可燃性の天井に引火したことで発生。当時、会場内には定員を大幅に超過した人数である約500人がおり、そのほとんどは16歳から20歳だったとのことだ。フロアの定員オーバーの大混雑により避難経路が塞がれていたことで、多くの人々が外に出られなかったことが被害が拡大した主な要因であると報じられている。

首都スコピエ出身のヒップホップデュオ DNK は、火災発生当夜、クラブ・パルスで演奏していた。ボーカルのアンドレヤ・ジョルギエスキが死亡し、メンバーのウラジミール・ブラジェフは集中治療室に搬送された。報道によると、かつてカーペット倉庫だったこの会場は「即席のナイトクラブ」とされていた。

この裁判は、長年の制度的怠慢と責任の欠如の結果であると検察側は主張。クラブの所有者のほか、コチャニ市の元市長、警備会社、建設会社、許可証発行に関わった公共ライセンス担当官等、35人と3法人が、違法な営業許可、安全検査の怠慢、過密状態の黙認等で公共の安全を脅かしたとして告発されており、被告には懲役10年から終身刑が言い渡される可能性がある。
 

ディアナ・グルエフスカ=イリエフスカ判事は、裁判は「5ヶ月から5年」続く可能性があると示唆している。この裁判に先立ち、11月16日にはスコピエで犠牲者の遺族らが正義を求めて数千人規模の抗議のデモ活動を行った。

火災後、無秩序な空間や安全衛生違反の取り締まり強化の一環として、50の会場が閉鎖命令を受けた。 AP 通信によると、閉鎖を余儀なくされた工場のうち、有効な営業許可を持っていた工場はわずか22社だった。