フランスのエマニュエル・マクロン大統領が、フランスの核兵器増強に関するインスタグラム投稿の BGM に、フランス・パリ出身のエレクトロニック・ミュージック・アーティストの Justice(ジャスティス)が2007年にリリースした楽曲「Genesis」を使用し、物議を醸している。

同投稿は、フランス海軍の核弾道ミサイル搭載潜水艦(SSBN)「Le Téméraire(ル・テメレール)」を背後にマクロン大統領が自国の核抑止力をアピールした2026年3月2日の演説の引用が含まれており、この演説でマクロン大統領は1992年以来初めてフランスの核兵器増強を発表、フランスの核兵器保有の戦略的重要性が強調された。

我が国は、核兵器という類まれな兵器を保有しており、それが安全保障の基盤となっている。
もし我々が核兵器を使用すれば、いかなる強国もそれに耐えることはできず、いかなる広大な国もそこから立ち直ることはできないだろう。


この投稿に対して「選曲に賛成」と反応したフランスのハウス DJ/プロデューサー・デュオ GROSSOMODDO を筆頭とする賛成派の一方で、Justice が楽曲の使用について許可しているのか?という声や「2009年に Justice のライブに行ったときには、核兵器を搭載した潜水艦を見ながら Justice の曲を聴くなんて想像もしていなかった」というコメントも。

なお、2026年3月13日時点で、Justice や所属レーベルの Ed Banger Records は、この件に関して直接的・公開的な抗議声明を出していないものの、同投稿は編集され、楽曲が削除されて無音の状態に。アーティストサイドから何かクレームが入ったか、または大統領側が世論に配慮して削除したものと見られている。

「Genesis」は、Justice のデビューアルバム『Cross』の一曲目に収録された楽曲で、『Cross』のアルバムジャケットは黒字に黄色で十字架が描かれている。マクロン大統領はもしかすると、Le Téméraire のセイルと左右に張り出した水平舵が十字架のような形をしているので、図案もこの楽曲に掛けているのかもしれない。
 

マクロン大統領はフランスのエレクトロニック・ミュージックシーンを支持していることで以前から知られており、フランス政府は2025年、Justice、Daft Punk(ダフト・パンク)、Cassius(カシウス)等で知られるフランスのエレクトロニック・ミュージック「French Touch(フレンチ・タッチ)」をユネスコの文化遺産として登録するためのイニシアチブを支持、その後、フレンチ・タッチはフランスの無形文化遺産リストに正式に登録され、ユネスコの文化遺産登録に向けた大きな第一歩となった。