ダブステップという音楽ジャンルの礎を築いたアーティストのひとりとして知られる Rusko(ラスコ/本名:)が、その20年以上に及ぶキャリアに一時ピリオドを打つ決断をした。
2026年6月中旬、Rusko は自身の SNS に「I wish I was dead(俺なんて死ねばよかったのに)」という希死念慮的な言葉を含む一連の投稿を公開し、ファンや業界関係者の間で深刻な懸念が広がった。その後、Rusko は正式な声明を発表し、長年にわたって蓄積されてきた心身の消耗について初めて公に語った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

RusKo(@rusko)がシェアした投稿

音楽とライブ活動に区切りをつけようと決めたとき、どのように、あるいはそもそも公に共有したいのかどうか、全くわからなかった。
正直に言うと、言葉を見つける方法がなかった。ただ、あまりにも長い間、自分の心と体を無視し続けてきた。そしてついに、深刻な崩壊点に達してしまった。
人生と魂のすべてをアーティストであることに捧げ、20年以上にわたって世界を旅してきた。すべての経験と、ずっとそばにいてくれた素晴らしいファンたちに、ただただ感謝している。しかし、精神的に崩壊しつつあることが明らかになった。だから、当面の間、この世界から離れる必要があった。
連絡をくれたすべての人へ、愛をありがとう。
ファンの皆へ、今後の公演についてとても申し訳なく思っている。でも、長年にわたる皆のサポートが、僕にとってすべてを意味していたことを知ってほしい。
今は、自分の本能に従い、癒しと回復を求めなければならない。いつか戻れる保証はできない。でも、心の中では、これが永遠の別れではなく、「またね」であることを願っている。


Rusko は1985年1月26日、イギリス・リーズで生まれ、ヨーク近郊の Wheldrake で育った。リーズ音楽大学(Leeds College of Music)で音楽パフォーマンスの学位を取得。在学中にリーズの西インド人センター(West Indian Centre)で開催されていた「Sub Dub」ナイトでダブステップの世界に没入し、その後ロンドンへ移りレーベル「Sub Soldiers」と活動を開始した。
 
2006年に、DJ/プロデューサー Caspa(キャスパ)主宰のイギリスのダブステップ・レーベル Dub Police から「SNES Dub」をリリースしてデビュー。Caspa とタッグを組み、2007年に FabricLive シリーズの名作として今も語り継がれる「FabricLive.37」をリリース。このミックス CD はダブステップ史における決定的な瞬間のひとつとして広く認知されている。
 

Rusko の名を世界的に知らしめたのは、ウォブルベースラインを武器に疾走する2009年リリースの「Cockney Thug」と2010年の作品「Woo Boost」だ。両曲は Pete Tong(ピート・トン)、Diplo(ディプロ)、Santigold(サンティゴールド)らのセットに組み込まれ、それまでロンドンのアンダーグラウンドシーンに根ざしていたダブステップを一気にメインストリームへと押し上げた。
 

Skream(スクリーム)、Benga(ベンガ)とともにダブステップ第一世代の旗手として活躍し、Lady Gaga(レディ・ガガ)や Adele(アデル)の公式リミックスを手がけ、Cypress Hill(サイプレス・ヒル)や M.I.A.(エム・アイ・エー)とのコラボレーションも実現した。
2010年には Diplo 主宰レーベル「Mad Decent」からアルバム『O.M.G.!』をリリース。その後も活動を続け、「Walalangleng」など多くのトラックを発表。直近では「Sauce EP」のリリースや、Dutta(ダッタ)とのドラムンベース EP『Reefers』など、ジャンルを横断した制作活動も続けていた。
 

Rusko の声明には、音楽業界の内外から温かいメッセージが相次いだ。アメリカのベースミュージック/ダブステップ DJ/プロデューサーの LSDREAM(エルエスドリーム)はこうコメントしている。

あなたの伝説的な先駆者としての活動と、この文化への多大な貢献に感謝する。2008年頃にニューヨーク・マクドゥーガル通りの小さな地下バーで見た初めてのダブステップのライブが、あなただった。核心的な記憶だ。ファンがアーティストに『そのセットが人生を変えた』と言うとき、私はその意味を正確に理解できる。

また、アメリカのダブステップ・トリオの Levity(レヴィティ)も「あなたなしには、この音楽を作る私たちも、聴く人々も存在しなかった」と Rusko の業績について称えた。

今回の発表により、予定されていた Rusko の一連の公演はキャンセルとなった。復帰の時期は未定となっている。

もし精神的な辛さを感じている方は、日本ではいのちの電話(0120-783-556、毎日16時〜21時、毎月10日は8時〜翌8時対応)や、よりそいホットライン(0120-279-338、24時間対応)に相談できます。
一人で抱え込まず、誰かに相談したり、話したりすることが大切です。