「FUJI ROCK FESTIVAL' 26」に出演し、会場を大いに沸かせた Massive Attack(マッシヴ・アタック)が、その公演直後となる2026年7月29日(水)、シンガポールの The Star Theatre で公演を行った際に、ステージ上でパレスチナの国旗を掲げ、シンガポールの法律に違反したとしてシンガポール警察に拘束・パスポートを没収され、その後永久的にシンガポール入国禁止となった。

今回の Massive Attack のシンガポール公演は、2011年の F1 グランプリ期間中の DJ セット以来、15年ぶりとなる公演だった。ツアーの唯一のシンガポール公演中、フロントマンの Robert "3D" Del Naja(ロバート "スリー・ディー" デル・ナジャ)ともう一人のメンバー Grant "Daddy G" Marshall(グラント・“ダディ・G”・マーシャル)の両名が、ステージ上でパレスチナの国旗を掲げた。さらにバンドメンバーの一人が「Free Palestine(フリー・パレスタイン/パレスチナに自由を)」と叫んだ。映像はすぐにネット上に拡散し、観客が大きな歓声と「Free Palestine」コールで応えている様子が記録されている。

しかし公演後、二人は警察に拘束され、孤立した状態で個別に尋問され、ホテルの部屋の捜索と一時的にパスポートも没収されたという。

シンガポールには、許可なしに外国の国旗・国章・横断幕を公に掲示することを完全に禁止する法律があり、公演前に主催者もそのライセンス条件を認識していたとされるが、Massive Attack のパフォーマンスは、その法律に違反していたのだ。
Massive Attack は自身の Instagram に声明を公開し、その詳細を明らかにした。

7月29日、シンガポールのスター・シアターでの公演後、私たちのバンド全員が警察に拘束され、孤立した状態で個別に尋問された——一部のメンバーはホテルの部屋の捜索と一時的なパスポート没収にも遭ったことに、私たちは驚きと失望を覚えた。

ステージに足を踏み入れる前から、そして公演の終わりにも、観客席の大部分が自発的に「Free Palestine」のコールを行っていた——この自然発生的な表現だけでも、彼らの政府の検閲法に違反する可能性があることを知りながら、それでも意に介さずに。

私たちの立場から言えば、157カ国に認められた主権国家(パレスチナ)の旗を掲げるだけで何らかの法律に違反するとは想像もしていなかった。


土曜日(8月1日)、シンガポール警察と Inforcomm Media Development Authority(IMDA)は共同声明を発表。

Massive Attack のメンバー両名を「政治的大義への支持行為と外国旗の掲示」として捜査したことを確認した上で、捜査と司法長官事務所との協議を経て、「Foreign National Emblems(Control of Display)Act 1949」第3条と「Public Order Act」第16条への違反として厳重警告を発したと発表。

「両名のシンガポールへの再入国を禁止する」とも声明に明記しており、IMDA は今後、バンドのシンガポール公演申請を承認しないとも付け加えた。

シンガポール警察はさらに「人種的・宗教的調和を損なう可能性のある行為を深刻に受け止めており、外国人を含む一般市民に対し、シンガポールの社会的結束と法の支配を損なう可能性のある外国の政治を持ち込まないよう求める」と述べた。

Massive Attack の声明はこう結んでいる。

振り返れば、違法な占領・アパルトヘイト・ジェノサイドという現実の中にいるパレスチナの人々への連帯を示す道義的な必要性を感じていたシンガポールのファンとともに、この即興的な表現をしたことを誇りに思っている。彼らの勇気を称える。世界中で、「国際社会」の継続的な不作為が、市民を個人的なリスクへと向かわせている。

この超現実的な経験は、普遍的な人権と表現の自由が脅かされているあらゆる場所——英国国内も含めて——でそれらを守ることの重要性を改めて思い起こさせてくれた。英国では、ジェノサイドに抗議する手書きのプラカードを掲げただけで、政治的スペクトルのあらゆる側からの訴えにもかかわらず、今も平和的な抗議者たちがテロ法の下で逮捕されるという信じ難い状況が続いている。

私たちをこれほど温かく迎えてくれたシンガポールの人々に感謝し、シンガポール政府が国連市民的及び政治的権利に関する国際規約を批准し、市民が国家訴追の恐れなく良心の表現ができるよう選択することを願っている。

言いかけていたことを続けよう……Free Palestine。

今回の事件は Massive Attack の政治的行動の一端に過ぎない。

4月にロンドンのトラファルガー広場で行われた Palestine Action の抗議活動で523人が逮捕されたが、Robert Del Naja はその中の一人であった。

更に同月、Massive Attack は Brian Eno(ブライアン・イーノ)、salute(サルート)、Erika de Casier(エリカ・デ・カシエール)らとともに、イスラエルの参加を理由にユーロビジョンのボイコットを呼びかけた。さらにガザへの英国の加担を終わらせるよう求めて、キア・スターマー前首相への公開書簡にも署名している。

シンガポールは東南アジアのコンサートハブとして確立されており、今回の件は同地域で公演を行う他の欧米アーティストにとっても、ライブ上での政治的発言の「境界線」がどこにあるかを問い直す前例となった。