NYの裏カリスマ=ジェームス・マーフィー率いるLCDサウンドシステムが、2011年の活動休止後初となる7年ぶりにして“ファン感涙”の大復活作『アメリカン・ドリーム』を9月1日(金)に日本を含め全世界同時リリースする。同作からシングル「コール・ザ・ポリス」「アメリカン・ドリーム」が公開されており、本日よりiTunesでアルバムの予約注文をするとこの2曲が即入手可能となっている。また、発売に先駆け7年ぶりの日本帰還となった先日のフジロックフェスティバルでは、2日目のホワイト・ステージのヘッドライナーとして降臨。本日公開された新作『アメリカン・ドリーム』のジャケットとは裏腹にライヴ当日は生憎の土砂降りとなったが、約2時間におよぶ圧巻のライヴ・パフォーマンスに超満員の会場は歓喜と感涙のダンスとシング・アロングの連続。ブランクを微塵も感じさせないどころか一段とパワー・アップして戻ってきたジェームス・マーフィーの帰還に、ファンからの祝福の歓声がフジロックの夜空に響き渡った。


「コール・ザ・ポリス」 試聴リンク:

「アメリカン・ドリーム」試聴リンク:

<フジロックフェスティバル2017>ライヴ・レポート (2017年7月29日ホワイト・ステージ)

昨年とは打って変わって、初日から雨がしたたかに降り続いた今年のフジロックフェスティバル。これがフジの本来の姿とも言えるのだけど、せめてお目当てのアーティストのライヴの時だけは、止んでいてほしいもの。そんな気持ちを逆撫でするかのように、2日目の夜は大雨。しかも、LCDサウンドシステムの開演まで30分というあたりから、雨脚がどんどん強くなる。っていうか、土砂降りだ。滝業のように雨に打たれ続けながら、ただただ耐えて待った。気が付けば、同様に悪条件を押して駆けつけたオーディエンスで、会場のホワイト・ステージはギッシリ埋まっている。そしてなんと、開演時間に合わせるかのように、あれほどの雨が見事に上がったのだった。さすがはジェームス・マーフィー、持っている。 解散、再結成を経て、7年ぶりにフジに戻ってきたLCDサウンドシステム。苗場の山々にこだまする熱烈歓迎の大歓声の中で登場した彼らは、挨拶代わりにシンプルにして中毒性の高いグルーヴを持つ「us v them」で、一気に会場をひとつにしてみせた。そこでジェームス・マーフィーが、「コンバンハ、フジロック、ジェームスデス」と、小声で何やらかわいい日本語MC。続く「ダフト・パンク・イズ・プレイング・アット・マイ・ハウス」のカウベルを加えたビートの洪水で、さらにヒート・アップさせると、今度はダウン・テンポな楽曲群で波を返すように覚醒させる。このあたりの押し引きは絶妙だ。

そしてここから、完全攻めモードのLCDサウンドシステムが姿を現すのだ。「トリビュレイションズ」「ムーヴメント」と、クールで尖っていながらやたら踊れるという、彼らの代名詞と言うべきダンス・パンクのキラー・チューンを連発。さらに極み付きは、「YEAH」。その名の通り「イエー」をひたすら繰り返すだけという、とことんミニマルでありながら、とことん踊り倒せるこの瞬殺ナンバーで、ホワイト・ステージは巨大なダンス・フロアと化してしまった。なんという光景なんだろう。狂騒の後は、9月1日にリリースされる7年ぶりのニュー・アルバム『アメリカン・ドリーム』から、すでに公開されている「コール・ザ・ポリス」「アメリカン・ドリーム」と、「トゥナイト」の計3曲がお披露目された。「コール~」は音源よりもぐっとエモーショナルに、同様に「アメリカン~」もぐっと艶っぽく情感豊かになり、ライヴだと魅力が倍増する。初めて聴いた「トゥナイト」は、ファンクネスに満ちたグルーヴが気持ちいいナンバーで、LCDサウンドシステムの新たなモードを感じさせた。「ホーム」で本編が終了するも、鳴り止まないクラップと歓声に応えて、バンドが戻ってくる。そう、これで終わるわけにはいかないのだ。ラストは、「ダンス・ユアセルフ・クリーン」からの「オール・マイ・フレンズ」という腰砕け必至の繋ぎで、歓喜と感涙のダンス&シング・アロングで昇天。深い時間の2時間弱のステージだったのに、最後まで人が減らず、それどころか終演後にみんな一様に笑顔だったことが、ライヴの素晴らしさを物語っていた。
(鈴木宏和)