去る11月17日(金)大型連休となるサンクスギビングデーを1週間後に控え、心なしか街もどこか落ち着かない独特の雰囲気を帯びている世界屈指の繁華街、アメリカ・ロサンゼルス。ニューヨークの摩天楼でも有名なアール・デコ調で作られたダウンタウンの西方に位置するコンサート・ホール「The Wiltern」の前には開場時間となる夜20時になると続々と人が集まり始めた。

現在北米ツアー「CASTLE IN THE SKY TOUR(キャッスル・イン・ザ・スカイ・ツアー)」を敢行中のダンス・ミュージック・シーンに突如現れた超新星プロデューサーGryffin(グリフィン)。カナダ・ハワイを含む全35都市で行われているこのツアーも終盤に差し掛かり、約2,000人収容可能の当日のチケットはソールドアウト。ツアーの前半、ビッグ・アーティストへの登竜門であるニューヨーク「Terminal 5」での公演を既に大成功に収めていたことからもGryffinのアメリカでの人気と盛り上がりを改めて開演前から肌で感じることができた。

昨今のダンス・ミュージック・プロデューサーにおけるステージ・パフォーマンスといえば、ごく稀にシンセサイザー等の鍵盤楽器と組み合わせてプレイするアーティストも見かけるものの、ほとんどがDJセットである中、Gryffinはピアノ、ギター、シンセサイザー・ドラムパットを楽曲に合わせてプレイするという、実にユニークなスタイルを持つ。いわゆるスタジオでのトラック・メイキングの作業を、ステージ上にてリアルタイムでパフォーマンスしていると言った方がわかりやすいだろうか。


パフォーマンスに度肝を抜かれながらもそれ以上に印象的だったのが、オリジナル楽曲の良さ、Remixのセンスだった。1曲、1曲にGryffinの強いカラーが詰め込まれており、ビーチ・ステージの夕日をバックにすっと体に入りこんでくる彼の奏でる暖かいメロディーとビートがたまらなく心地良かったのを覚えている。

Gryffinの代表曲「Feel Good feat. Daya」のボーカルが流れると、待ちわびた観客は狂気にも満ちた盛り上がりを見せた。


2曲目のTroye Sivan(トロイ・シヴァン)ではギターを颯爽とかき鳴らし、「YOUTH-Gryffin Remix-」ではギターをドラム・スティックに持ち替えシンセ・パットを叩くグリフィンの迫力あるプレイに、まるで会場全体が揺れているように感じられた。

数曲を挟み、5曲目に差し掛かったところでスウェーデンのNEW POPアイコン、Tove Lo(トーヴ・ロー)の「Taking Body-Gryffin Remix-」でこの日初のピアノを披露、そして再びドロップの部分ではギターに持ち替える。特筆すべきは6曲目にプレイした軽快なギターのカッティングが印象的な「Blue Sky」。こちらは現時点ではまだ未リリースの楽曲である。(GryffinがMCで曲名を叫んでいた。)実はEDC JAPANでもGryffinはこの曲をプレイをしており、際立って良い曲だったため、パフォーマンス後に本人に尋ねたところ「まだリリースは未定だけど楽しみにしていて」と明るく笑って答えてくれたのを覚えている。

心地良いリズム、数年前に日本でも流行したいわゆるピアノ・ハウスを通ってきた人にはたまらないメロディアスなプリ・コーラス部分でのピアノ、そしてタイトル通り空に吸い込まれるような爽快感のあるドロップに、会場は未リリース曲とは思えない盛り上がりを見せた。初めて披露した曲でも会場全てを躍らせることができるという、グリフィンの特筆した楽曲プロデュースの才能を再確認した瞬間でもあった。

その後、1stシングル「Heading Home feat. Josef Salvat」、来年には共にツアーを回ることが発表されているトロピカル・ハウスの第一人者Kygo & Ellie Goulding(カイゴ&エリー・ゴールディング)の「First Time-Gryffin Remix-」、2ndシングル「Whole Heart」でコラボレーションしているBipolar Sunshine(バイポーラ・サンシャイン)Daydreamer-Gryffin Remix-」、Years&YearsDesire-Gryffin Remix-」、Snakehips & MØDon’t Leave-Gryffin Remix-」等、彼の名を世に知らしめるきっかけにもなった数々のRemixを立て続けに披露。


そして後半に差し掛かる頃、スクリーンには日本を彷彿とさせる演出が施される。ファンの間では有名な話ではあるが、彼の母親は東京出身の日本人であり、アメリカ育ちながらグリフィンには日本人の血が流れているのだ。日本人のアイデンティティを受け継ぎながら、アメリカで生まれ育ち、演出に取り入れアメリカ人を沸かせるこの若き才能溢れた彼の姿に、日本人として胸が非常に熱くなった。

その後5thシングル「Love in Ruins feat. Sinead Harnett」、数曲を挟みSigridDon’t Kill My Vibe-Gryffin Remix-」、全米TOP10にチャート・イン中のPortugal. The ManFeel It Still-Gryffin Remix-」を披露。

この日一番の盛り上がりを見せたのが2ndシングル「Whole Heart」。フィーチャリング・ボーカルである先述のBipolar Sunshine(バイポーラ・サンシャイン)がサプライズ登場し、会場は大合唱と共に一つになった。


サプライズはこれだけでは終わらない。続いて最新曲「Nobody Compares To You」でこの楽曲を歌うシンガーKatie Pearlman(ケイティ・パールマン)が登場。


最後は彼の最大のヒット曲であり、イントロでも少しだけ披露した4thシングル「Feel Good feat. Daya」のオリジナル・バージョンを披露。最後までシンガロングが鳴り止まない。間違いなくダンス・ミュージック界の次世代のアイコンになるであろうグリフィンのロサンゼルス公演は大盛況のまま幕を閉じた。


12月8日(金)、そのGryffin(グリフィン)が日本に戻ってくる。きっと「CASTLE IN THE SKY TOUR(キャッスル・イン・ザ・スカイ・ツアー)」の熱狂そのままの最高のパフォーマンスを我々に届けてくれるに違いない。
 



2017年12月8日(金)渋谷 WWW X
開場 18:45 / 開演19:30
オールスタンディング \7,800 (税込・別途1Drink代) ※未就学児入場不可 

iFLYER先行: 11月4日(土)00:00〜11月6日(月)23:59  ※先着受付

協力: ユニバーサル ミュージック
企画・制作・招聘: Live Nation Japan http://www.livenation.co.jp/
お問い合わせ先:Live Nation Japan e-mail: info@livenation.co.jp