Yellow Clawおよび彼らが主宰のレーベル Barong Family(バロン ファミリー)ファンであれば、Slowbody(スロウボディ)というDJ/プロデューサーの名は既にご存知なのではないだろうか。

Slowbodyは、本名を含め自身に関する情報をあまり公開しておらず、SNSでは出身地もアメリカの映画監督 Mario Van Peebles のギャグ・アクション映画に出てくる架空の都市「New Jack City」と発表している。


音楽メディア「RA: Resident Advisor」では Slowbody の国情報はアメリカとなっているが、フランス出身のアーティスト情報によると、フランス人という記載もあったので、やはり詳細は不明のままである。ちなみに映画の中では「New Jack City」はダークなイメージの都市であるが、その都市出身という設定のSlowbodyのサウンドもやはりダークである。

彼の音楽スタイルは陰鬱なベースラインとピッチを下げたヴォーカルサンプルやラップが特徴的で、ディープなテックよりのサウンドと非常にマッチしている。ディープハウスにもテックハウスにも属さない、独特の世界観を持つユニークなサウンドが持ち味だ。


またフランス出身のトリオ(もうすぐデュオになるが)Point Point から WTFlow というフランス出身のビジュアルアーティストを紹介してもらいVJを依頼するなど、自身のサウンドやセットに合うよう映像にもこだわりを持っているのが分かる。

そんな Slowbody は2015年の夏ごろに突如としてシーンに現れ、その年の7月に Bot とコラボした「The Dream」を LAベースのレーベル Main Course からリリース。
 

その後、フランス出身のプロデューサー Shiba San の “Planet Floor” をリミックスしたところ、非常に多くのDJにサポートされ、更に Skrillex のレーベルでありメディアプラットフォームでもある NEST HQ にも取り上げられた。
 

リミックスに関して言えば、アメリカ出身のラッパー、Asher Roth のナンバー「That's Cute」をリミックスしたりと、ジャンルにこだわらず色んなアーティストの楽曲のリミックスを手掛けている。


彼の作り出すサウンドは、A-Trakとともに Fool's Gold Records の創立者のひとりである Nick Catchdubs をも魅了し、「Drop」の公式リミックスを直々に依頼され、Nick Catchdubs のリミックスEP『More Smoke』にも収録された。
 

Fool's Gold Records からはRude Judeとコラボした「Better Know」を、そして【Gold Digger Records】からは「No Way」, 「Gettin Doe」, 「Pussy」などをリリースし、CrazeWax Motif, Shiba San, Nick Catchdubsらからもサポートされた。
 
 

2017年1月にThis Ain’t Bristol​ からリリースした Sacha Robotti とのコラボ曲「Elephant Man」および「The Dude Abides」は、Beatportのチャートで最高4位にランクインするなどヒット作となった。

さらに Joyryde のヒットナンバー「Damn」をベースハウス色強めにリミックスすると、これまた NEST HQ から注目の1曲としてピックアップされた。
 

2017年7月には4曲収録のEP『Takin' You Home』を初となる Barong Family から発表すると、Barong Family の人気が高い日本でも Slowbody の名は広まり「一体何者?」と話題になった。
 

またこの年初めてベルギーで開催される世界最大のフェス Tomorrowland にも出演したほか、オランダで開催された Solar Weekend Festival では Cesqeaux や Mike Cervello, Mightyfools らとともに Barong Family ステージへの出演を果たした。


Tomorrowland では Barong Family ステージではなく The Sound of Tomorrow ステージに登場し、Sikdope や Snavs らとともにフロアを熱狂させた。


そして2018年2月、Barong Family から2枚目となるEP『Rich Pussy』をリリース。

UKガラージの要素を取り入れたアップテンポな「Gotta Make Dough」やアメリカのラッパー、Artist Noirを迎えたダウンテンポな「Rich Pussy」など新たなサウンドを見せてくれそのサウンドの虜になった人も多いのではないだろうか。
いずれ Barong Family 所属のアーティストとのコラボなどもありそうなので、ぜひ注目したいところだ。

Written by MNN