2015年末、小室哲哉、中田ヤスタカ、柴崎コウ、KOHH 等、当時まだ無名だった若手プロデューサーのリーダー作としては、異例の豪華かつ多彩なゲスト・アーティストが全曲に迎えられたコラボレーション作品『SILENT PLANET(サイレント・プラネット)』を突如リリースし、一躍脚光を浴びた TeddyLoid(テディロイド)。その後も米良美一、DAOKO、ちゃんみな、IA、BiSH のアイナ・ジ・エンド等、更なるタイムリーな競演を披露し続けたデジタル EP シリーズ『SILENT PLANET 2 EP』をリリース。

足掛け3年に亘り TeddyLoid が実現してきたそのコラボレーション連作、『SILENT PLANET』がついに2018年11月『SILENT PLANET: RELOADED(サイレント・プラネット:リローデッド)』『SILENT PLANET: INFINITY(サイレント・プラネット:インフィニティ)』の2作連続リリースで完結を迎える。
 
 

一大コラボレーション連作の終結を目前に控えた TeddyLoid に、現在の活動状況や、『SILENT PLANET』シリーズについての思い入れ等を、掘り下げて質問してみた。
 
Q:2015年のリリースをきっかけにはじまった『SILENT PLANET』というアイディアは、どのようなプロセスを経て生まれてのでしょうか?

そうですね、『SILENT PLANET』の前の 1st アルバム、『BLACK MOON RISING(ブラックムーンライジング)』は、ヴォーカルからミックス、マスタリングに至るまで、とにかく自分一人で完結するというテーマで制作しました。
更にそれ以外に、音楽プロデュースやアレンジのお仕事等を通して、ありがたいことに常に色々な出会いがあります。ですから、1stアルバムの次は、必ずそういった大事な出会いを活かしたコラボレーションアルバムを作ると決めていました。それが 2nd アルバムの『SILENT PLANET』だったんです。
 

Q:『SILENT PLANET』 のトレイラー内にも映像が出てきますが、ご自身で歌われる際にマイク代わりにヘッドフォンを構えて歌う姿がとても印象的だなと思いました。ライブの際にはやはり毎回ご自身で歌ってらっしゃるのでしょうか? また、あのヘッドフォンは特注なんですか?

そうですね。2nd アルバムの『SILENT PLANET』に収録されている、中田ヤスタカさんと作った "Game Changers(ゲームチェンジャーズ)" という曲は、歌詞は僕が担当していて、実際に自分で歌っているんです。実は、皆さん結構ご存知ないんですけど、ヘッドフォンやイヤフォンってマイク端子に挿すと、左側がマイクになるんですよ。実はマイクとスピーカーやヘッドフォンって仕組みは一緒で、音を拾うか出すかの違いだけなんです。逆に普通のマイクもヘッドフォン端子に挿すと、イヤフォンとして聞けるんです。
 


Q:え、そうなんですか! あのスタイルは、とてもインパクトがあってカッコいいですよね。今作の『RELOADED』と『INFINITY』はアメコミ映画を彷彿とさせるサブタイトルですが、これにはどのような意味が込められているのでしょうか?

まさにこの2作品は、『SILENT PLANET』のスピンオフ作品なんです。RELOADED の意味は「弾を再充填する」というものですが、『SILENT PLANET』に参加してもらったラッパーの方たちを再び feat. して、僕が一番今アツいと思っているジャンルのダブステップのトラック上でラップしてもらったラップ・アルバムです。
『SILENT PLANET: INFINITY』は、それ以外の僕のアニメ、ゲーム、アイドルといった側面の曲も含んだ作品集で、サウンドは様々な EDM が中心になっています。

Q:様々な活動をしていらっしゃる TeddyLoid さんですが、アニメ系のジャンルでもかなり有名ですよね。日本だけではなく、アメリカの都市部に住む日本のカルチャーやアニメ、ゲーム、音楽といったものに興味がある層にも、TeddyLoid さんはかなり人気があるようで、知人に今日のインタビューのことを話したらかなり興奮しており、海外からの注目度の高さを感じましたが、海外での活動も最近はかなり増えているのでしょうか?

それは嬉しいですね! この1〜2年は、毎月のように DJ やライヴの為に海外に
呼ばれるようになりました。去年・今年に関しては、国内よりも海外でのイベント出演動方が本数が多かったくらいです。
特に、今話に出た アメリカ・LA では、ALVIN RISK(アルヴィン・リスク)Virtual Riot(ヴァーチャル・ライオット) といった最前線のダブステップや EDM のプロデューサー達に出会い、それがきっかけとなり『SILENT PLANET: RELOADED』の構想ができました。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

▲ LIVE SET @ Milwaukee / USA ▼ #AMKE2018 TeddyLoid feat. TRIΔNGLE - Bring it Back

TeddyLoidさん(@teddyloidspace)がシェアした投稿 -


Q:アメリカのシーンで活躍しているアーティストとも、積極的に交流なさったり、今後コラボレーションしたりという予定もあるのでしょうか?

そうですね。日本人のプロデューサーは、なかなか海外勢のクリエイター達ときちんとコラボレーションできていないなと感じています。だから自分自身にとっても大きなテーマですね。海外で DJ をしていると、海外のアーティストと知り合うきっかけは沢山あると思います。しかし、その出会いから実際に作品を形にすることが難しい。

なので、LA で Virtual Riot と出会って親しくなるにつれ、必ず彼と曲を作って次のアルバムに入れようって決めていました。今年の夏も、LA の彼のスタジオに遊びに行ってセッションを始め、そして一曲仕上げることができた。それは僕にとって今年一番の大きな出来事であり、カルチャーショックでもありました。僕自身、DTMを10年以上やってきて、常に「自分が一番だ」という気持ちで曲を作ってきましたが、彼とのセッションではこれまでに見たこともないようなテクニックが溢れていた。
今では皆、作り方を YouTube で見たりして割と簡単に音楽が作れるような時代になったとは思いますが、彼とのセッションではインターネットの最先端にいる僕でさえ知らないようなテクニック、アプローチ、インスピレーションがふんだんに組み込まれていて、とても衝撃的でした。
 

Q:TeddyLoid さんは DTM で EDM 系のトラックを数多く作曲してらっしゃいますが、ライブではスクラッチをされていますよね。EDM 系のアーティストのなかで、ここまでスクラッチ等のスキルに力を入れているアーティストは珍しいと感じたのですが。

僕がそもそも音楽にのめり込んで曲を作ろうと思ったきっかけは、フレンチエレクトロと、そして Hip Hop との出会いだったんです。小学校高学年の頃に YouTuber のヒカキン君と知り合い、彼と一緒にヒューマンビートボクサーを目指して、切磋琢磨していました。もともと僕はヒューマンビートボックスを仕事にしようと考えて、10代半ばの頃に上京してきたんです。

更に当時はバトル DJ もやっていました。その当時、池袋の PowerDJ's というお店に行くと、2002年 DMC Battle For Japan Supremacy チャンピオンでもある DJ の宮島先生や、その他有名な日本のスクラッチャーの方々が集まっていました。中学生〜高校生の時には、そこに乗り込んで行って、セッションさせてもらったりして、Hip Hop やラップといった音楽にどんどんのめり込んでいったんです。だから、僕の DJ としてのスタートは、Mix DJ ではなくて、スクラッチとかルーティーンといった技を使うバトル DJ なんです。

2008年、18歳のときに TeddyLoid というプロジェクトを始めたんですが、MIYAVI さんのワールドツアーに DJ/サウンドプロデューサーとして参加したのが実は業界初仕事なんです。その時にはスクラッチをバリバリやっていました。MIYAVI さんのワールドツアーでの僕の前任は、DJ1,2(ワンツー)さんやDJ HANGER さんといったスクラッチで著名な方が参加していたので、僕も負けられないな、と思っていました。


Q:現在、楽曲制作をする上で、どのようなものからインスピレーションを受けているのでしょうか?

僕はゲーム、映画、アニメが大好きで、『SILENT PLANET』まではそういったメディア的な画面の中のものからインスピレーションを受けて曲を作っていました。しかし、今回『RELOADED』と『INFINITY』を作るにあたって、世界中のファンや他のアーティストとのコミュニケーション、オーディエンスの反応といった、現実世界の雰囲気や音楽シーンからのダイレクトな反響を受けることがとても多くなって、それらが作品作りに反映されています。LAでのセッションや世界各国での出会いが、僕をとても成長させてくれて、音楽の幅も広がりました。



Q:海外で活動している中で 、日本の音楽シーンのこういうところが海外で今ウケているな、というのを肌で感じるようなことはありますか?

音作りにしても、言葉選び一つにしても、日本の音楽はとても繊細ですね。海外のレコーディングって「お、いいバイブスだね!」となったら、リビングにマイクを立てて、反響音とか入ってても構わないから録音してしまおう、というようなノリが多い気がします。海外から届くヴォーカルの素材とかって、例えメジャークラスでも、ガヤガヤ音が入っていてこちらでノイズを削除することもザラなんです。
その点、日本のレコーディング、スタジオワークは緻密ですよね、時間もたっぷりかけるし。そのように丁寧に作り込んでいる
繊細なクウォリティが、海外で評価されているんだと思います。これまで、ゲーム、車、アニメにしても「丁寧で品質が良い」「内容が凝っている」というのが日本の良さとして信頼されて来ましたが、音楽においてもそういった点を海外の人は面白がっているし、日本のここが凄い!という風に思われているんじゃないでしょうか。


Q:『SILENT PLANET』シリーズで様々なアーティストとコラボをしてきた中で特に印象的なエピソードはありますか?

海外活動で言えば繰り返しになりますが、やはり Virtual Riot とのセッションが一番でしたね。ここ数年、欧米のシーンではまたダブステップが息を吹き返しているなとは感じていたし、ちゃんみなちゃんとの『ダイキライ』等で新しいダブステップのスタイルに自分なりにトライしていました。更に今年、シーンの第一線にいる Virtual Riot といっしょいこの曲を形に出来て、それが『SILENT PLANET: RELOADED』を思い切ってダブステップに振り切ってみるきっかけになったんです。Virtual Riot のスタジオは LA のダウンタウン にあるんですが、他にも多くのダブステップ〜 EDM シーンのプロデューサーたちが近くにスタジオを構えていました。Skrillex(スクリレックス)のスタジオが真向かいでしたが、彼が犬を連れて近所を散歩しているのも見かけましたね。そういった LA の音楽シーンのリアルな雰囲気も肌で感じることができて、Virtual Riot には本当に感謝しています。


Q:今後コラボしてみたい海外アーティストはいますか?

Daft Punk(ダフトパンク)Justis(ジャスティス)ですね。僕は最初に彼らに影響を受けて、キャリアをスタートさせているので。あとは、せっかくVirtual Riot とセッションできたので、いつか Skrillex とも曲を作ってみたいです。


Q:アメリカでも活躍されていますが、アメリカだとダブステップの爆音のフェスみたいなものも多いですよね。そういったフェスに出演のご予定は?

Virtual Riot は海外の大型フェスなどで僕の曲をプレイしてくれていたりするので、来年はぜひ彼とも一緒にプレイしたいし、自分自身でも海外のダブステップ・シーンにアプローチしたいと思っています。欧米のプロデューサー達の作るダブステップとは違う、日本人の作るダブステップの面白さというのを海外にアピールしたいですね。


Q:TeddyLoid プロジェクトをスタートさせて10周年となる今年もまもなく終わり、3年にわたる『SILENT PLANET』シリーズも今回の2作で完結となるわけですが、これまでの活動を振り返ってみていかがでしょうか?

『SILENT PLANET』の制作後、Hip Hop な作品、ゲーム、アニメ等の作品で聞いてくれるファン層が分かれてしまっていたことに気付き、「もっと様々な人に知ってもらいたかった」という気持ちを強く感じたんです。ジャンルの壁を壊して全部を繋ぎたい、全ての人に聞いてもらいたい、という気持ちで、今回この2つのアルバムを作りました。新しく出会った仲間との曲も入っていて、今この時点における TeddyLoid の集大成と言える作品だと思います。


Q:今後のリリースやライブなど活動についてのプランを教えてください。

『SILENT PLANET』も元々は長期プランで考えていたわけではないんです。常に、自分が一番面白いと思っているもの、カッコいいと思っているものをその時その時で作ってきたし、これからもそうやって追求していくだけですね。
今、個人的に興味を持っているのが海外に向けてのインスト作品です。それこそ、iFLYER のリスナーの方たちがグッとくるような、フロア向けのインスト曲を作ったり、新しいことにも積極的に挑戦していきたいです。『RELOADED』でも ラップ・アルバムといえど、"Venom(ベノム)""Just Gone(ジャスト・ゴーン)" といったインスト作品を収録しました。そういった曲を引っさげて海外へも積極的に進出して、EDM やダブステップの大型フェスなどでもいつかはヘッドライナーを務められるようなアーティストになっていきたいです。


Q:……でも、TeddyLoid さんは既にそのレベルに到達しているのでは?

僕は、日本でも海外でも、どちらでも積極的にやりたいんですよ。日本のみに制限して活動するアーティストや、海外進出したら今度は海外だけでしか活動しないというようなアーティストは多いですが、僕は移動して曲を作って、また移動してこっちで曲を作って、今度はあっちでライブをして……といった感じで常にフレキシブルかつ生産的でいたい。もう、飛行機でアメリカ行くのと静岡あたりに行くのと、同じような感覚になってきてしまっているし、向こうにもこちらにも仲間がいて、皆温かく迎えてくれて、どこにいても楽しい。何よりも、今はどこにいたって曲が作れますし。とても良い刺激になっていますよ。
 
 
iFLYERでは、TeddyLoid からのサインをGET! こちらを1名様にプレゼント致します。


ご応募方法は以下の通り。

■Twitterで応募
・ iFLYERのTwitterアカウント(@iflyertv)をフォロー
・「#iFLYER」「#TeddyLoidサインプレゼント」のハッシュタグをつけて、この記事をリツイート。iFLYERへの感想、TeddyLoid へのメッセージ等もお寄せ下さい!

■Instagramで応募
・iFLYERのInstagram(iflyertv)をフォロー
・「#iFLYER」「#TeddyLoidサインプレゼント」のハッシュタグをつけて、TeddyLoid のサイン写真をリポスト。(Instagramで写真をリポストするにはこちらのアプリのインストールが必要です)iFLYERへの感想、TeddyLoid へのメッセージ等もお寄せ下さい!

応募締め切りは11月25日(日)深夜12時。
皆様のご応募、お待ちしております!

『SILENT PLANET: RELOADED』

11月14日(水)発売 ※配信リリースは11月16日(金)
 

『SILENT PLANET: INFINITY』

11月28日(水)発売 ※配信リリースは11月30日(金)
 
【特設サイト URL】TeddyLoid - SILENT PLANET: RELOADED / INFINITY Special Site
http://teddyloid-special.com/silentplanet/
【TeddyLoid HP】http://www.teddyloid.com
【TeddyLoid Twitter】@TeddyLoidSpace
【TeddyLoid Instagram】@teddyloidspace