みなさんは「ターンテーブリズム」というものをご存知だろうか。「ターンテーブリズム」はDJスタイルの1つで、1990年代に生まれてから今まで DJ 機材の機能が充実したことで急激に進化を続けているのだが、そもそも「ターンテーブリズム」がどのようなものか、なぜアツいのかを紹介しよう。
"ターンテーブリズム"という名前は、客を踊らせることを重視するクラブ DJ と差別化をするため、ターンテーブルを駆使した技が多いことを由来にアメリカの DJ Babu(バブー)が1990年代に命名。そこから様々な DJ がターンテーブリズムを極めてきたが、近年では DJ 機材に様々な機能を盛り込まれるようになり、ターンテーブリズムの可能性が広がり続けている。
と、ここまで説明してきたが百聞は一見に如かず。2001年に日本人の DJ KENTARO がターンテーブリズムの世界大会「DMC World DJ Championships」で披露した約5分間のセットを紹介しよう。
現在は PC の DJ ソフトを使ったプレイが主流になってきたが、2010年頃までは上記の映像のようなアナログレコードを曲ごとに取り替えていく方法でプレイすることが多かった。
10代で世界一の DJ となったレジェンド A-TRAK(エートラック) 。彼なくしてターンテーブリズムは語れない。
ターンテーブリズムは CDJ でも体現できる。熊本を拠点に置く YB は A-TRAK 主催の大会にターンテーブルではなく CDJ で挑んだ。
2017年、当時12歳の日本人 DJ RENA が世界を驚かせたセットはターンテーブリズムを語る上では外せない。
珍プレイを挙げるとすれば DJ DAVID が1991年に DMC で披露したパフォーマンスを紹介しないわけにはいかない。ジュースの缶をスタンド代わりにして2台のターンテーブルを重ねる斬新な配置からスタート。もはやこの時点でも正気とは思えないが、最後のパフォーマンスで完全にカオスと化す。
Invisibl Skratch Piklz
QBert、Shortkut、D-Styles によるチーム。各自パートを分けて演奏を行うことから、 "DJバンド” と称されることもある。映像は2015年に新木場ageHa で開催された RedBull Music 3Style World Final のライブセットより。
The X-Ecutioners
スクラッチ集団の先駆けとなった彼らを知らずしてスクラッチを語ることはできない。メンバーはこれまでに何度か入れ替わってきたが、Roc Raida、Rob Swift、Total Eclips の3名が中心となっている。
THE BEAT JUNKIES アメリカの代表的DJチーム。同じレコードプールの運営や動画配信なども行っており、現在も根強い人気がある。J.Rocc, Melo D, Rhettmatic, D-Styles, Babu, Shortkut らオリジナルメンバーを含む13名が所属している。
Cashmere Cat
Ariana Grande(アリアナ・グランデ) とのコラボなどポップシーンでも信頼を置かれているプロデューサー Cashmere Cat(カシミア・キャット)は2007年に DJ FINAL という名義で「DMC World DJ Championships」に出場。
RayRay
RayRay(レイレイ) は Yellow Claw の Barong Family に所属し、大型 EDM フェスにも度々出演する台湾人フィメール DJ 。彼女はスクラッチにも長けており、ターンテーブリストとしての一面を有している。
クラブ DJ と圧倒的に違うのは、"ターンテーブリストたちは戦うことができる" ということ。スクラッチやジャグリングのスキルを所定の時間内で披露し合い、ジャッジの判定で勝敗を決める「DJ バトル」というものがターンテーブリストの間では人気なのだ。
ただ難しいのが "上手ければ勝てる" というわけではない点。どんなに難しいスクラッチやジャグリングを連発しても、それを魅せることができなければジャッジに届かないのだ。パフォーマンスに使う楽曲のセンスやステージ上でのアティチュード(態度や立ち振る舞い)を総合的に見てジャッジされるのが DJ バトルの面白いところでもある。
その中でも「DMC World Championships」はターンテーブリストたちが目標とする大会。イギリス国営放送 BBC のプロデューサーだった Tony Prince(トニー・プリンス) が1985年に開催して以降、30年以上の歴史を誇る格式高い大会。各国の猛者たちが集まる大会に日本からはこれまでに DJ KENTARO, DJ IZOH, DJ YUTO, DJ RENA, DJ 諭吉 など数々の世界チャンピオンを輩出しており、強豪国として注目されている。
■GRIND DJ BATTLE
国内の DJ バトルは西日本で開催されることが多いが、GRIND DJ BATTLE は東京で開催される数少ない大会。スキルを競うシングル部門と、スクラッチに特化したスクラッチ部門の2つのカテゴリに分かれている。ゲストにはターンテーブリストとして名高い DJ IKU と、DJ 塾「宮島塾」の宮島塾長が登場。
開催日時:4月13日
会場: R Lounge 7F(渋谷)
オフィシャルTwitter
■DMC JAPAN DJ CHAMPIONSHIPS
先に紹介した「DMC World Championships」の国内予選が5月から開催される。全国6箇所で開催される、全国から猛者が登場する。日本のターンテーブリズムの最先端を知りたければ観に行くべし。
オフィシャルサイト
■NO TRICKS DJ BATTLE
DJ 機材メーカー、Vestax が主催した「NO TRICKS DJ BATTLE」は2012年まで開催されていた人気バトル。スクラッチの技術だけを競うシンプルなこの大会にスクラッチ猛者たちが全国から集っていたが、Vestax が2014年に倒産したため、大会自体もこのまま開催されないと思われていた。しかし約7年の時を経て、当時の運営メンバーによって今年再び開催されることになった。
開催日時:6月29日
会場:EN-SOF TOKYO(渋谷)
ディリゲンドブログ
今年の DJ シーンはターンテーブリストたちが盛り上げるかもしれない。ぜひ注目しておいて欲しい。
Written by So-on
DJ機材が楽器になる!?ターンテーブリズムとは?
ターンテーブリズムとは、ターンテーブルでレコードをこするスクラッチや、2枚のレコードの一部分を交互にかけて曲をループさせるジャグリングなどの技を巧みに使い、まるで楽器のように演奏する DJ スタイルの事。また、ターンテーブリズムを極めている DJ を "ターンテーブリスト" と呼ぶ。"ターンテーブリズム"という名前は、客を踊らせることを重視するクラブ DJ と差別化をするため、ターンテーブルを駆使した技が多いことを由来にアメリカの DJ Babu(バブー)が1990年代に命名。そこから様々な DJ がターンテーブリズムを極めてきたが、近年では DJ 機材に様々な機能を盛り込まれるようになり、ターンテーブリズムの可能性が広がり続けている。
と、ここまで説明してきたが百聞は一見に如かず。2001年に日本人の DJ KENTARO がターンテーブリズムの世界大会「DMC World DJ Championships」で披露した約5分間のセットを紹介しよう。
現在は PC の DJ ソフトを使ったプレイが主流になってきたが、2010年頃までは上記の映像のようなアナログレコードを曲ごとに取り替えていく方法でプレイすることが多かった。
ターンテーブリストたちのプレイを見てみよう!
ターンテーブリズムは日に日に進化を続けている。特にここ数年は PC の DJ ソフトを使ったホットキューやエフェクトを駆使したプレイもバリエーションが増えてきた。ここからは、ターンテーブリストたちの珍プレー・好プレイを紹介しよう。10代で世界一の DJ となったレジェンド A-TRAK(エートラック) 。彼なくしてターンテーブリズムは語れない。
ターンテーブリズムは CDJ でも体現できる。熊本を拠点に置く YB は A-TRAK 主催の大会にターンテーブルではなく CDJ で挑んだ。
2017年、当時12歳の日本人 DJ RENA が世界を驚かせたセットはターンテーブリズムを語る上では外せない。
珍プレイを挙げるとすれば DJ DAVID が1991年に DMC で披露したパフォーマンスを紹介しないわけにはいかない。ジュースの缶をスタンド代わりにして2台のターンテーブルを重ねる斬新な配置からスタート。もはやこの時点でも正気とは思えないが、最後のパフォーマンスで完全にカオスと化す。
チームでプレイすることも!?
ターンテーブリズムが誕生した当初から数人の DJ でチームを組み、ターンテーブルとミキサーを人数分並べてパフォーマンスすることもある。ターンテーブリズムの黎明期を支えた3組のチームを紹介しよう。Invisibl Skratch Piklz
QBert、Shortkut、D-Styles によるチーム。各自パートを分けて演奏を行うことから、 "DJバンド” と称されることもある。映像は2015年に新木場ageHa で開催された RedBull Music 3Style World Final のライブセットより。
The X-Ecutioners
スクラッチ集団の先駆けとなった彼らを知らずしてスクラッチを語ることはできない。メンバーはこれまでに何度か入れ替わってきたが、Roc Raida、Rob Swift、Total Eclips の3名が中心となっている。
THE BEAT JUNKIES アメリカの代表的DJチーム。同じレコードプールの運営や動画配信なども行っており、現在も根強い人気がある。J.Rocc, Melo D, Rhettmatic, D-Styles, Babu, Shortkut らオリジナルメンバーを含む13名が所属している。
あのアーティストもターンテーブリスト!?
現在ではプロデューサーとして知られている意外なアーティストがターンテーブリストだったりする。Cashmere Cat
Ariana Grande(アリアナ・グランデ) とのコラボなどポップシーンでも信頼を置かれているプロデューサー Cashmere Cat(カシミア・キャット)は2007年に DJ FINAL という名義で「DMC World DJ Championships」に出場。
RayRay
GENRE BNDR - DJ RayRay from 1x1 films on Vimeo.
RayRay(レイレイ) は Yellow Claw の Barong Family に所属し、大型 EDM フェスにも度々出演する台湾人フィメール DJ 。彼女はスクラッチにも長けており、ターンテーブリストとしての一面を有している。
DJ たちが戦う!? DJ バトルが世界中で勃発中!
クラブ DJ と圧倒的に違うのは、"ターンテーブリストたちは戦うことができる" ということ。スクラッチやジャグリングのスキルを所定の時間内で披露し合い、ジャッジの判定で勝敗を決める「DJ バトル」というものがターンテーブリストの間では人気なのだ。
ただ難しいのが "上手ければ勝てる" というわけではない点。どんなに難しいスクラッチやジャグリングを連発しても、それを魅せることができなければジャッジに届かないのだ。パフォーマンスに使う楽曲のセンスやステージ上でのアティチュード(態度や立ち振る舞い)を総合的に見てジャッジされるのが DJ バトルの面白いところでもある。
その中でも「DMC World Championships」はターンテーブリストたちが目標とする大会。イギリス国営放送 BBC のプロデューサーだった Tony Prince(トニー・プリンス) が1985年に開催して以降、30年以上の歴史を誇る格式高い大会。各国の猛者たちが集まる大会に日本からはこれまでに DJ KENTARO, DJ IZOH, DJ YUTO, DJ RENA, DJ 諭吉 など数々の世界チャンピオンを輩出しており、強豪国として注目されている。
今年は日本でもDJバトルが目白押し!
今年は日本でも DJ バトルが目白押し!今後開催される注目の大会を紹介しよう。■GRIND DJ BATTLE
国内の DJ バトルは西日本で開催されることが多いが、GRIND DJ BATTLE は東京で開催される数少ない大会。スキルを競うシングル部門と、スクラッチに特化したスクラッチ部門の2つのカテゴリに分かれている。ゲストにはターンテーブリストとして名高い DJ IKU と、DJ 塾「宮島塾」の宮島塾長が登場。
開催日時:4月13日
会場: R Lounge 7F(渋谷)
オフィシャルTwitter
■DMC JAPAN DJ CHAMPIONSHIPS
先に紹介した「DMC World Championships」の国内予選が5月から開催される。全国6箇所で開催される、全国から猛者が登場する。日本のターンテーブリズムの最先端を知りたければ観に行くべし。
オフィシャルサイト
■NO TRICKS DJ BATTLE
DJ 機材メーカー、Vestax が主催した「NO TRICKS DJ BATTLE」は2012年まで開催されていた人気バトル。スクラッチの技術だけを競うシンプルなこの大会にスクラッチ猛者たちが全国から集っていたが、Vestax が2014年に倒産したため、大会自体もこのまま開催されないと思われていた。しかし約7年の時を経て、当時の運営メンバーによって今年再び開催されることになった。
開催日時:6月29日
会場:EN-SOF TOKYO(渋谷)
ディリゲンドブログ
今年の DJ シーンはターンテーブリストたちが盛り上げるかもしれない。ぜひ注目しておいて欲しい。
Written by So-on