新型コロナ禍の2020年・夏。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、日本では真夏である現在も閉鎖されている海水浴場も多いが、サーファーたちは相変わらず波を求めて朝早くから海に出ている。
そんなサーファーがサメの襲撃に遭遇する事件は、世界各国で起きている。


オーストラリアの28歳のサーファー、Phil Mummert 氏は、2020年7月31日にパースから150マイル離れたバンカーベイでサーフィンをしていたところ、16フィート(約4.9メートル)の巨大なホオジロザメによってサーフボードから押し倒され、脚に噛み付かれた

その際、Phil はサーフボードをサメの口に押し込み、顔にパンチを食らわせて応戦し、強固なホオジロザメの顎から逃れたという。なお、ホオジロザメは Phil の脚に深く食い付き、傷を残した。

「サーフボードのテールの半分は、まだリーシュコードで僕の脚に付いていて、サメの口の中にあった。
丁度、サーフボードは僕とサメの間にあったので、それを両手で掴んでサメの口に押し込もうとしたんだ。

水の中の他のサーファーたちは、僕がサメの頭と鼻を殴っていたと言っていたよ。僕はただ、自分の周りを泳いでいるサメから目を離さないようにしていたのを覚えている、僕はサメを撃退しようとしていた。

サメが泳いでいるときに背びれの大きさを見たのを覚えている。それは少なくとも1メートルの高さがあった。他の人が僕に近づいてきたとき、サメはまだ僕の隣にいたんだ。

僕は自分に一体何が起こっているのか理解した後、本能的にそのボードの一部をサメの口の中に保とうとした。サメがボードを噛んでいるかどうかは分かっていたからね。サメは僕を噛んでいなかった」

当時、近くの水中にいた三人の友人が急いで助けを求め、Phil をロングボードに引き上げて陸へと引き上げた。その後、Phil は付近の病院に運ばれたが、63箇所をステープル(医療用ホチキス)で留める手術となった。

「本当に、僕は死ぬところ、あるいは少なくとも脚を失うところだった」と Phil は雑誌に語ったとのことだ。

上の記事にあるように、サーファーはサメに襲われる対象となりやすい。その理由としては、サーフボードに乗って波を掻いているサーファーの姿は、サメの目から見てウミガメに見えてしまうためであると言われている。
 

この事件が起きたオーストラリアでは今年、これまでに5件のサメの人間に対する致命的となる攻撃が発生している。
先月には、タスマニアの海岸から約5キロ離れた沖合にいた漁船から、サメが少年を海中に引きずり込んで攻撃し始め、父親がサメの顎から息子を間一髪で救出した。少年は、腕、胸、頭に切り傷を負い、サメは父親に撃退された後、泳ぎ去ったとのことだ。
地元のダイバーによると、このタスマニア沖でのサメの襲撃を目撃した人々は、このサメもホオジロザメだったのではないかと語っているとのことだ。
 

日本にも出没する危険なサメ

日本ではあまり耳にしないサメによる人間への襲撃だが、それでも可能性が全くのゼロであるというわけではない。
上の事件の犯人であるホオジロザメは、日本近海での目撃情報も多いサメだが、このホオジロザメは非常に獰猛で危険性が高いと言われている。
1992年には、瀬戸内海で貝を採取していた男性がサメの襲撃にあって死亡しており、このサメがホオジロザメだったのではないかと言われている。

また、イタチザメや、淡水でも生きられるホオジロザメも、日本近海での目撃情報・人間への襲撃事件があるサメで、2000年には、沖縄県の宮古島付近でサーフィン中の男性がイタチザメに襲われて死亡、1996年には沖縄県宮古島でサンゴ調査を行っていた男性がサメに噛まれて死亡しているが、そのサメがホオジロザメだったのではないかと言われている。
他にも、特に沖縄を中心としてサメに襲われて死亡する事件は数年に一回程度のペースで発生している。

サメに襲われないためには?

サメに襲われるのを防ぐためにまず知っておきたいのが、サメの特性についてだ。
サメは、早朝や夕方に特に活動が活発になる。また、サメというと沖合にいるイメージが強いが、サメの種類によっては波打ち際までやって来る場合や、川や湖まで入り込んでくる場合もあるので、海に入る場合には、地域のサメ目撃情報等を事前にチェックしておこう。
サメは1滴の血の匂いを数キロメートル先から嗅ぎ分けることができるとも言われているので、かすり傷がある場合や生理中の女性は要注意だ。
また、サメはキラキラしたアクセサリーにも反応しやすいとのことなので、海水浴やサーフィンをする際にはアクセサリー類は外しておいた方が良いだろう。


それでもサメに襲われてしまった場合……サメは鼻が急所であると言われおり、サメの鼻を力一杯殴って一命を取り止めたという話も多い。上のニュースでホオジロザメに襲われた Phil も、サメの鼻を殴ったとのことだ。

ただし、いくら反撃しようとしても、海の中はサメにとってホーム、人間にとってはアウェイ、つまりサメに有利な場所である。うまく反撃できるとは限らないし、例え反撃したところで命を落とす可能性は高い。そうならないためにも、あらかじめサメに狙われないように気をつけておくことが大切だ。