musictech によると、Spotify(スポティファイ)でストリーミング回数が多いアーティストでも同プラットフォームから大きな収入を得ることに苦労しているとうことが最新の調査結果で明らかになった。

世界音楽ビジネスの創設者である Tim Ingham は、Rolling Stone にて、Spotify で配信をしているアーティストのうち、「Gold Club」と呼ばれる最も収益を得ているアーティストについての調査を行った。


最もストリーミングされている上位0.8%のアーティストたちを「Gold Club」アーティストとして定義し、この「Gold Club」アーティストのうち、0.2%にあたる13,400人は、2020年度に Spotify で5万ドル(約550万円)以上稼いだものと見られている。

更に Gold Club のうち約7,800人のアーティストは10万ドル(約1,098万円)以上を、1,820人のアーティストは50万ドル(約5,490万円)以上を稼いだ。

またストリーミング回数が圧倒的に多い Gold Club メンバー、Adele(アデル)Drake(ドレイク)Ed Sheeran(エド・シーラン)らを含む約870人のアーティストのみが、2020年度、100万ドル以上(日本円:約1億1,000万円以上)の稼ぎがあったとしている。


Tim Ingham によると、ストリーミング数が多いアーティスト「Gold Club」には Spotify でストリーミング配信しているアーティストのうち約57,000人が当てはまるそうだが、上記の13,400人(0.2%)を除く43,600人のアーティストへ、Spotify は15億ドル(約1,647億円)を用意しており、アーティスト同士で分け合っているそうだ。

もちろん、アーティストの中でも最もストリーミングされたアーティストが多く収入を得ることになるが、例えこの43,600人のアーティストでこの15億ドルを均等に分け合ったとしても、年間約3万4千ドル(日本円:350万円)にしかならないと Tim Ingham は指摘している。


Tim Ingham は「これは痛ましい事実を明らかにしている。Spotify で最もストリーミングされている Gold Club の0.8% のアーティストの中でさえ、成功と失敗の格差がある。大多数のアーティストは確実に後者のカテゴリーに入っている」とコメントしている。

Tim Ingham は「今のトレンドでいうところの「パッション・エコノミー」は、99.2% の Spotify クリエーターにとって持続可能ではない」と結論づけている。
※パッション・エコノミーとは、一度回り始めれれば収益を獲得できるが、最も困難な点はサービス提供者が一定数の顧客を獲得できるか、という個性あるサービス経済のこと。(IT news

この調査は、レーベル会社やストリーミング・サービスに対し、ミュージシャンに公平な売上を与えるように要求したものに続くニュースとなっている。更にアーティストにとって厳しい現実として、現状ではアーティストはレーベルが Spotify から受け取る収益のわずか16%のみしか受け取っていないという点が挙げられるとのことだ。