タイ・北部のペッチャブーン県ブンサムファン地区にある寺院で、住職を含む寺の僧侶4人の全員が尿検査にてメタンフェタミンの陽性反応を示して逮捕され、寺から誰もいなくなってしまったことで地域住民たちは「僧侶がいなくなってしまったので功徳を積むことができない」と困惑していると CBS NEWS 等のメディアが伝えている。
タイでは、信者が "善行" として乞食行を行う僧侶に食べ物を寄付することが功徳を積むための一つの手段として考えられているという。また、同寺院内には数匹の犬や猫も飼われており、それらの動物たちに対する心配の声も上がっている。


地区の役人ブーンラート・シンタプタイは、AFP 通信に対し、僧侶たちは薬物リハビリテーションを受けるために診療所に送られた、と語っており、更に近隣住民の不満に対しては「村人たちが宗教上の義務(功徳)を果たすことができるように、より多くの僧侶を寺院に派遣する」とも述べているという。

国連薬物犯罪事務所(UNODC)によると、タイはミャンマーのシャン州からラオス経由で大量に流入するメタンフェタミンの主要な通過国で、路上では「ヤーバー」と呼ばれるメタンフェタミンやカフェインを混ぜて錠剤にした覚せい剤が20 バーツ(約50セント)未満で売られているとのことだ。

UNODC のジェレミー・ダグラス氏は、タイのバンコクに拠点を置く英語のニュースサイト Thai Enquirer に対して以下のように語っている。

覚せい剤、特にヤバは(タイの)隅々で簡単に見つけることができます。供給はどこでも増加しており、現時点では(ヤーバーの)タブレットはビールよりも安いです。

2022年、世界的に警察による覚醒剤の押収量が激増

東南アジア全体、そして世界中の警察当局は、ここ数ヶ月で記録的な量の覚醒剤を押収しているとのことで、2ヶ月前には香港にて過去最大量の覚醒剤となる1.8トンの液体覚醒剤が押収された。それらはオーストラリア行きの貨物であるココナッツウォーターのカートンに隠されていたとのことだ。


更に今年8月には、中東からシドニーに向けて出荷された大理石のタイルに2トンの覚醒剤が隠されているのをオーストラリア警察が発見、これはオーストラリアにて警察が摘発した違法薬物の史上最大の押収量であったとのことだ。

更に同8月のメキシコでは、ソノラ州北部の検問所にて、約1.5トンの覚醒剤と328ポンド(約149キログラム)の粉末フェンタニルが押収、7月には南カリフォルニアにて5,000ポンド(約2.3トン)以上の覚醒剤が押収されたとのことだ。

とんでもない量の覚醒剤が各国の警察により摘発・押収されているが、これはおそらく氷山の一角であり、摘発を免れている流通がまだまだ地下に潜んでいるものと見られている。