イギリスで、コカインに関連した死者数が過去最高水準に達しているとのことだ。
英国国家統計局(ONS)の公式データによると、2024年度のコカイン関連の死亡事故は1,279件で、これは前年の1,118件から14.4%増加した数字となる。さらに2011年の112件と比較すると、11倍以上に膨らんでいる。これは、13年連続の増加となり、死者の4分の3以上となる982人が男性で、297人が女性という数字となった。

イギリスのメディア The Independent が今年、20万人以上が来場したチェルトナム・フェスティバルで潜入調査を実施、会場内のトイレの表面からサンプルを採取し、核磁気共鳴分光法(NMR)で分析した結果、3サンプル中2つがコカインの純度85%を示し、うち1つはベビー用おむつ替えスペースから採取されたものであったとのことだ。

ユーロフィンス・フォレンジック・サービスで警察押収品の薬物検査を担当する Peter Cain は、イギリス国内で流通しているコカインについて「コロナ禍の時点ですでに(コカインの)平均純度は約75%に達していたが、その後さらに5%以上上昇している」と述べており、イギリス全土での平均純度は13年前の32%から現在は80%を超える水準に達しているという。

英国内で流通するコカインに関し、英国国家犯罪庁(NCA)麻薬脅威部門長の Adam Thompson は「南米でのコカイン生産が過去最高水準に達しており、組織犯罪グループが取引する卸値は歴史的な安値まで落ちている」と説明している。

NCA の推計によると、英国のコカイン年間消費量は約117トン、年間市場規模は約20億ポンドに達するとのことだ。


供給構造の変化も純度上昇の背景にある。アルバニア系犯罪ネットワークが南米カルテルとの直接ルートを確立し、英国の卸業者が1キロあたり約2万2,500ポンドで仕入れていたところ、同量を4,000ポンドほどで調達できるようになった。コスト削減分は値下げではなく純度の向上として市場に還元されているとされる。 

欧州連合薬物機関(EUDA)も、EU 加盟国の半数で平均純度が66〜81%に達しており、過去10年間で劇的な上昇を記録していると指摘している。 

英国の元麻薬担当官 Mike Trace はこの状況を「非常に懸念すべき事態」と表現し、「純度が高く予測不可能なコカインが最大のリスク要因だ」と警告。都市部での薬物検査プログラムの導入を政府に強く求めている。 

一方、政策面では課題も多い。成人向け薬物・アルコール治療サービスへの実質支出は2015年から2022年の間に40%削減されており、Warrington の Charlotte Nichols 議員は内務省の対応を「薬物死者数の問題に対して根本的に無力である」と批判している。