イギリスのナイトタイム産業協会(NTIA)は2026年6月5日、ナイトクラブを文化的施設として正式に認定するよう英国政府に求める公開書簡を発表した。認定が実現すれば、財政難や規制強化の波に飲まれて続々と消えていく会場に対し、より強固な法的保護を与えることができるという。
イギリスでは近年、ナイトクラブの閉店が相次いでおり、今回、業界団体がついに政府への直訴に踏み切った形となる。

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NTIA が今回の書簡で政府に求めているのは、"ナイトクラブや音楽会場を文化的施設として正式認定するための法的枠組みの整備"、"再開発や立ち退きに対する計画法上の保護強化"、"地方自治体の意思決定において文化的価値をより重視すること"、"グラスルーツ(草の根)会場と新興アーティストへの支援拡充" の4点だ。NTIA はさらに、会場運営者・アーティスト・プロモーター・研究者・コミュニティリーダーを集めた全国的な円卓会議の開催も申し出ている。

NTIA の動きの直接的な引き金となったのが、ドイツの政策転換である。今月初め、ドイツがナイトクラブを文化的施設として認定する新たな都市計画改革を導入することが明らかになった。これにより、今後ドイツのナイトクラブは、不動産デベロッパーの開発圧力や地価の上昇、立ち退きに対して法的に守られることになる。 
NTIA の CEO、Michael Kill はこの状況を痛烈に指摘している。

イギリスはアシッドハウスやレイブ文化からジャングル、ドラムンベース、UKガレージ、テクノに至るまで、数十年にわたりクラブカルチャーの世界的なリーダーであり続けてきた。英国のクラブは世界中の音楽とユース・カルチャーの形成に貢献してきた。それにもかかわらず、この文化を可能にしている空間が今も恐ろしいスピードで消え続けている。ドイツの決断は、こうした重要な場所を守るために必要なビジョンと理解を示している。イギリスが自ら定義した問題において後れを取るようなことがあってはならない。

ナイトクラブの閉店は、単なる一つのビジネスの終わりではない。多くの場合それは、コミュニティ、クリエイティブなエコシステム、そして生きた文化遺産の喪失だ。こうした空間は、英国が文化大国としての評判を築く一端を担ってきた。介入なしに失い続ければ、この国がこれまで生み出した最も影響力ある文化的輸出品の一つを自ら損なうことになる。

NTIA の政府に求める要求は、著名クラブの閉鎖が相次ぐ現実と切り離せない。北イングランドで最も影響力ある独立系クラブのひとつとされる、マンチェスターの「The White Hotel」は2027年1月に閉店を予定しており、ロンドン「Corsica Studios」、ブリストル「Motion」、「The Underground」も最近相次いで閉鎖している。

業界統計によれば、2020年3月〜2024年11月の期間中にイギリスのナイトクラブの32.7%が閉店している。こうした流れに危機感を強める声は業界全体に広がっており、先月には V&A(ヴィクトリア&アルバート博物館)のサウス・ケンジントン館でも、失われた英国の音楽会場を記録した展覧会が開幕した。 
今回の公開書簡は首相および文化・メディア・スポーツ大臣宛てに送付されており、近日中に一般公開される予定であるとのことだ。