「(聴いていると)様々な周波数でマッサージしてくれるようなアルバムだ」 リカルド・ヴィラロボス談
モーリッツ・フォン・オズワルド(ベーシック・チャンネル、リズム&サウンド)、マックス・ローダーバウアー(サン・エレクトリック、NSI)、ヴラディスラヴ・ディレイ(ルオモ、ウージタロー)によるベルリン・アンダーグラウンド奇跡のスーパー・グループがデビュー・アルバム『Vertical Ascent』を引っ提げての奇跡の再来日公演決定!! 全てのエレクトロニック・ミュージック・ファン必見・必聴のプレミアム・ライヴ!!
モーリッツ・フォン・オズワルド・トリオ(以下MvOT)は、モーリッツ・フォン・オズワルド(Basic Channel)とマックス・ローダーバウアー(サン・エレクトリック、NSI)とヴラディスラヴ・ディレイ(ルオモ、ウージタロー)という、高い評価を受けるアーティストたちから成るユニークなパフォーマンス・プロジェクトだ。この3名はそれぞれが90年代初頭ベルリンにおけるエレクトロニック・ミュージック・シーンで活躍したパイオニアであり、個々の異なる経験とアプローチによって、ダブ・エレクトロニカに改革をもたらした。新プロジェクトはライヴの集合的インプロヴィゼーションならではの可能性を探求するもので、フォン・オズワルドがエレクトロニクスとミキシングを担当、ローダーバウアーがアナログ・シンセサイザーを、そしてヴラディスラヴ・ディレイがドラムと彼の手製の楽器とメタル・パーカッションをプレイするというもの。
過去の作風を引き継ぎながらも、このトリオでは遅いテンポを採用することで、よりファンクに近い、メロディやハーモニーの比重を抑えてパーカッションによるリズミカルな鼓動を前面に押し出した、「エンドレス・グルーヴ」を作り上げている。彼らのライヴ・パフォーマンスでは、このグルーヴをエレクトロニクスとサスペンドしたシンセ音によって何層にも重ねた即興伴奏が行われ、流れるような脱構築テクノを聴かせてくれる。MvOTが基本のリズムを絶え間なく変化させていく様は、アフロビートとエレクトロニカの融合に近い。彼らの演奏にはトライバリズム、すなわちカンが実践していた音楽的民主主義、つまり多角的な自由空間を創造する等しさがあり、それがこのトリオの音楽にヒプノティックで高尚なクオリティを与えている。
モーリッツ・フォン・オズワルドは長い間、エレクトロニック・ミュージック界の重要人物として知られている存在。トーマス・フェルマンとのコラボレーションに始まり、マーク・エルネストゥスと共同で<Basic Channel>を設立、そしてベルリンとデトロイト間のテクノ・コネクション確立にも貢献した。フォン・オズワルドは、共同でサブレーベル<Chain Reaction>、<Main Street>、<Burial Mix>、<Basic Replay>、<Rhythm & Sound>を立ち上げただけでなく、常にシーンの舞台裏でメジャー、インディペンデントに関わらず、トニー・アレンからカール・クレイグの<Planet E>まで、ミキシングやマスタリングにも携わってきた。彼の古い友人であり、コラボレーターでもあるマックス・ローダーバウアーも、同じように長く裏方でプロダクションに関わってきた経験があり、その歴史はベルリンの<Tresor>シーンに遡る。彼が最も知られているのは、サン・エレクトリックの片割れとしての顔だろう。あるいは最近トビアス・フロイントと結成したユニットNSIの、実験的なダンス・ミュージックとアヴァン・ピアノ/エレクトロニック作品かもしれない。
ヴラディスラヴ・ディレイの初期作品は、90年代半ばに<Chain Reaction>からリリースされている。ジャズ・ドラマーとしてキャリアをスタートさせたディレイは、三つの異なるプロダクション・アイデンティティを確立し、ハウスやテクノにおけるエレクトロニック・ライブ・パフォーマンスの概念を覆しただけでなく、極めてパーソナルな独自の領域を追求している。ディレイはまた、クレイグ・アームストロングとAGFと共にザ・ドールズというパフォーマンス・プロジェクトを、ミカ・ヴァイニオ(パン・ソニック)とジャズ・ミュージシャンのデレク・シャーリーとルーチオ・カペーセとは、最近デビューしたばかりのヴラディスラヴ・ディレイ・カルテットを結成、活動している。MvOTのアルバムは、イギリスの<Honest Jon's Records>から2009年7月に発売され(国内盤はP-VINE RECORDSより発売中)、クラブ・ミュージックの枠を飛び越えロック/オルタナティヴ・ミュージックを含む数多くのメディアから、2009年度のベスト・アルバムとして選出された。そして、セカンド・アルバムも既にレコーディングされているという。
MORITZ VON OSWALD(モーリッツ・フォン・オズワルド)
1980年代半ば、トーマス・フェルマンらも在籍していたジャーマン・ニュー・ウェイヴ(ノイエ・ドイチェ・ヴェレ)の旗手、パレ・シャンブルクのパーカッショニストとして活動を始める。1993年、マーク・エルネストゥスと共に独ミニマル・テクノ不滅の金字塔となったプロジェクト、ベーシック・チャンネルを立ち上げ、ダブ/レゲエにより深く傾斜したユニットであるリズム&サウンドと共に、後続に計り知れない影響を与える。昨年、世界随一のクラシック・レーベルである独グラモフォンからリリースされたカール・クレイグとのコラボレーションも絶賛を浴びた。
VLADISLAV DELAY(ヴラディスラヴ・ディレイ)
1990年代末にベーシック・チャンネル直系のチェイン・リアクションからのリリースで一躍注目を集め、その後も独自のミニマル・ダブを追求し続けるフィンランド出身のアーティスト。ヴォーカルを取り入れ、よりダンサブルなハウス志向を見せるLUOMO名義の作品でも人気を博している。
MAX LODERBAUER(マックス・ローダーバウアー)
1990年代を通じ、ベルリンのユニット、サン・エレクトリックのメンバーとして、R&S/Apolloからアンビエント・テクノの傑作を数多く発表。現在は、トビアス・フロイントと新たなユニットNSI(Non Standard Institute)を結成し、ルチアーノ主宰のCadenzaやフィンランドのSahkoなどからエクスペリメンタルなミニマル作品をリリースしている。