アメリカのフェアファックス生まれ。ハウス大国スェーデンにおいてストックホルムを拠点に2010年頃より頭角を現したJeremy Olanderは現在では国を代表するDJ / プロデューサーの一人。
繊細で情緒的なメロディーとそれを最高の形でフロアへと届けるグルーヴ、卓越したバランス感覚はまさに天才と言っても過言ではないだろう。彼のその輝かしい経歴の始まりはToolroomやSpinnin'といったメジャーなハウスレーベルからリリースされた初期の作品群からも窺い知ることが出来る。
その中でも特にJeremyの名前を一躍スターダムへと押し上げたのはやはりEric Prydzが主催するPrydaやEric自身がフォローするアーティストの為のレーベルPryda Friendsでの活動と言えるだろう。かつてはポストPrydzサウンドとも称されたJeremyでのプロダクションの数々。現在でも彼の輝かしいアンセムとしてシーンに語り継がれている"Let Me Feel"やスウェーデンのロックバンドKentとの合作"Retroleum", Digitalism - "Circles (Jeremy Olander Remix)"、Pete Tongが夢中になりBBC Radio1で繰り返しプレイされた"Jackie"など多くの代表作がこの時期に生み出された。
それらを引っ提げての世界各地のクラブやフェスティバル、Ibizaのオフシーズンに開催され続けたPrydaブランドを冠するパーティー、Eric Prydzやレーベルメイトとのワールドサーキットなどを経て、Jeremy OlanderはFehrplayやCristophらと共に次世代のProgressive Houseシーンを担う存在となっていった。2015年にはその集大成ともいえるEric PrydzとのB2BがBBC Radio 1のEssential Mixで実現。Prydz ×Olander名義で紡がれた2時間のドラマはまさにエピックの一言に尽きる。
よりクラブミュージックの原初的なものへの回帰や衝動に多くのDJ達が転機を迎える事となった2010年代中期。Jeremyはもまたエモーショナルな部分を更に研ぎ澄ませたTechno、Deep Progressive系のサウンドに注力するようになる。新生Jeremy サウンドともいえるそれらは盟友CoyuのレーベルSuaraやOpen AirフェスティバルでのYottoとのB2Bが伝説的に語り継がれているAnjunadeep、またJohn DigweedのBedrock、SashaのLast Night On Earth、Hernan CattaneoのSudbeat、BookashadeのGet Physical、ベルリンの名クラブが運営するWatergate、そしてSolomunの運営するDiynamicなど。多くのレジェンド達のレーベルから次々と作品を発表。これらの多くがアンダーグラウンドなミュージックフリークやDJ達の琴線に触れ、これまでの活動とは違った層からの高い支持を得るきっかけとなった。2019年末にはトップDJのみが制作を行う人気MixコンピレーションシリーズBalanceのプロデュースを担当。同時期には絶大な人気を誇るDJコンテンツCirclesへの出演も果たしている。
また、自身+主にスウェーデンのクリエーターを中心としたプラットホームとしてのレーベルVivrantが2016年にスタート。Tim Engelhardt、Khen、Marino Canal、MOLØ、OLINGといった現在のシーンを担う / 次の世代で注目される存在達によって生み出される独自のサウンドはProgressive Houseシーンのみならず、2023年の現在Techno、House, Melodic系、Indie Danceなどジャンルの壁を越えて絶大な支持を獲得し続けている。