今や年末の恒例イベントとしてファンの間に定着した1万人規模の屋内型大型のフェスティバル、WOMB ADVENTURE'12 (以下、WA'12) が12月15日に幕張メッセで開催された。最大の見所はメイン・ステージに上陸した RICHIE HAWTIN presents ENTER.。'MUSIC (音楽)・SAKE (日本酒)・TECHNOLOGY (テクノロジー)・EXPERIENCE (体験)' をコンセプトに、今年の夏にイビザ島の Space Ibiza で開催され、平日の木曜開催にも関わらず、毎週6000人以上を動員して旋風を巻き起こしたモンスター・パーティだ。イビザでの夏を終えた ENTER. が、世界各地を巡るワールド・ツアーの最終地点として選んだのが WA'12 で、アジアでの唯一の開催となったのだが、まさに集大成と呼べるような壮大な空間を作り出してオーディエンスを魅了した。



これまでにはクラブ間の政治的な理由等で共演することのなかった世界のトップ・クラブのメイン・アクトを招き入れてイビザに新しい波を起こした ENTER. だけあって、DUBFIRE、LOCO DICE、そして御大の RICHIE HAWTIN という強力なラインアップが登場した6時間はまさに圧巻だった。単に大物が立て続けに登場するというだけでなく、それぞれの個性を発揮しつつも、ひとつのコンセプトを共有しているからこそ作り出せる圧倒的なサウンドでフロアを埋め尽くしたクラウドを魅了していた ("クラウドに '体験' させ、クラウドともコンセプトを共有した" と言ったほうが正確かもしれない)。その他の出演者で印象が強かったのは、ライヴ・セットを披露した MATADOR。前評判に違わぬディープでミニマルなテクノ・サウンドでフロアを盛り上げた。

また、ステージはもちろん、エリア全体を円をモチーフにしたシンプルなデザインで演出し、抑制の利いたミニマル且つクールなビジュアルとライティングを駆使した空間は、オープンからラストまでをコンセプチュアルなトータルパッケージとして綿密に作り上げられた '作品' という印象だった。もっとも、決して小難しいものではなく、バー・エリアに設置された ENTER. SAKE BAR では RICHIE HAWTIN が自ら日本酒をファンに振る舞うなど、和やかで微笑ましい光景も見られた。



WOMB WORLD WIDE AREA supported by MONSTER と名付けられたステージには、大沢伸一や DJ AKi といった WA ではお馴染みのアーティストに加え、Space Ibizaでの ENTER. に出演経験もあるロシア人女性アーティストの NINA KRAVITZ、ソウル~ディスコのエディットで注目を集めた MARK E、MASSIVE ATTACK の DADDY G や 元 UNDERWORLD の DARREN EMERSON、さらに DJ AKi が YUUKi MC と STY と結成したユニットの ASY によるフル・ヴォーカルをフィーチャーしたライヴ等、これまでの WA にはあまり出演していなかったタイプのアーティストも登場。、ハウス、テクノ、エレクトロ、ダブ、ドラムンベース等と音楽的な幅が広がった印象だ。



その他にも RAFT TOKYO AREA Supported by Jagermeister では KINUYUKI、STEREOCiTI、THE PEOPLE IN FOG a.k.a. DJ SODEYAMA 等、日本を拠点にしながら海外でも高い評価を得ているアーティストがディープなサウンドを聴かせ、A|X ARMANI EXCHANGE AREA では、DEXPISTOLS や DJ YUMMY 等、国内のシーンで精力的に活動しているアーティストも多数出演する等、現在進行形のシーンの動きも感じらる内容で、12年に渡って渋谷で数々のパーティを開催し、海外の新しい動きをいち早く日本に紹介しながら、国内アーティストの活動の場としてシーンを牽引してきた WOMB だからこそ作れる、まさに WOMB ならではのフェスティバルであったといえるであろう。



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