- 1994年に発表された『POINT3 WATER ALBUM』と『POINT3 FIRE ALBUM』2枚のアルバムをSYSTEM 7 とMIRROR SYSTEM の各名義での再構築を試みる作品とということでしたが、出来上がってみての印象はいかがでしたか?
 
Steve: 構想当初のコンセプトで完成することが出来たよ。出来栄えにも凄く満足している。
アレックス・パターソンを筆頭に、ジャム・エル・マー、ジェームス・モンロー、とのコラボレーション。そしてROVOとのプロジェクト「Phoenix Rising」からの流れも取り入れることができたし、パーフェクト・ストレンジャーのリミックスワークもいい感んじに仕上がってくれた。 良い形で自分たちの作品を昇華させることができたと思う。
 
- 個人的にはMIRROR SYSTEMのアルバムの多様性に圧倒されました。

アンビエント、チルアウトというふうに、くくられてしまうことがリスナーを狭めてしまっている気がしてなりません。「N-PORT」に関しては、ダンスミュージック・ファンにはもちろんですが、それ以上にGONGやSteve Hillage Band以降のあなた方の活動を知らない人たちにも是非手に取ってもらいたいと感じましたし、あらゆるジャンルの音楽シーンに繋がっていく懐が深い作品である印象を受けました。そしてまた、SYSTEM 7名義にとどまらず、MIRROR SYSTEM名義を前面に出すアルバムの意味と意図を強く感じることもできましたが、
こうした形で2つのアルバムを同時にリリースする作業に関してお伺いします。
今回2名義に分けたことの意図は様々あると思いますが、それらを具体的に教えてください。
 
Steve: 今回のプロジェクトは2012年に香港とバリにでの旅の際、機材を持ち込んで長期滞在して製作をしていたんだ。そこれ得たアイディアを双方のアルバムに取り入れていく作業だったのだけれども、この段階では2枚のアルバムは期間を分けてそれぞれ別々のタイミングでリリースしようと考えていた。けれど、ある日、20年前にリリースしたPoint 3の 「Fire Album」 と 「Water Album」のメモリアル・アルバムという形で、2枚同時にリリースしたらいいじゃないか!と思いついたんだ。そしてこの2枚の作品からPoint 3の時代からの進化を表現したかったので、単にPoint 3の楽曲を再構築するということではなく、Point 3からは、製作の姿勢やプロジェクトの構築方法などを踏襲し、FireとWaterの2枚が持っているものは、私たちの音楽活動の方向性が示しているものを要素を感じてもらうには最善のアルバムだという考えのもと、SYSTEM 7とMIRROR SYSTEM 2つのプロジェクトに置き換え、X-PORT、N-PORTというコンセプトも加え、Point 3 x SYSTEM 7 (3x4=21)という21年の節目というメモリアルイヤーに発表するという意義も感じていました。
アレックス・パターソンが思い出させてくれたんだけど、21年前と言うのはSYSTEM7もアレックスパターソンも、初めて来日した年なんだよ。
 
- お二人の楽曲制作に関してはどのような役割分担になっているのですか?
 
Steve: 初期のアイディアは僕から出るものもあれば、ミケットが出す場合もある。
それらを2人で製作していく過程で、往々に僕がリズム・トラックを技術的な面でミックスしてゆく傾向があるね。一方ミケットは最終的なブラッシュアップをするのが得意なんだ。でもどちらが何を担当するというような決め事は特にないんだ。
僕とミケットの製作スタイルは物凄くフレキシブルに行われているよ。
 
- いずれの楽曲も素晴らしいですが、僕個人的な感想では、「X-PORT」ではThe Queen。「N-PORT」では Batu Bolongがお気に入りになっています。
それぞれ気に入っている曲、もしくは思い入れのある曲、制作過程でのエピソードなどがあれば教えてください。


Steve: アルバム全体が僕らの作品として捉えているので、お気に入りの曲を一つ選ぶというのは物凄く難しいなあ…
僕らもThe Queenは大好きだよ。この曲はミケットがアイディアを考えて、アレックス・パターソンと一緒に作ったトラックなんだ。
この曲「The Queen」のタイトル由来なんだけれど、僕とアレックスでミケットに「君はテクノの女王だよ!」と言ったことがあって、そのことがずっと印象に残って居たんだ。
 Batu Bolongは、バリで滞在していた村の名前にちなんでいるんだ。
その村に滞在していた時に、幾つかのヒンズー教の儀式を録音させてもらったんだけれど、
この曲にはもう少し多角的に捉えて作り込んで行ったほう楽曲が活きてくる!と思い、Jam&SpoonのJAMを招き入れて一緒に作り進めていったんだ。
彼はこのBatu BolongをJamの手によって再構築したヴァージョンも仕上げていったんだけれど、凄く今回のアルバムの世界観を表していたので、最終的に 「Jam's Retouch」としてN-PORTの最後に収録することにしたんだ。

- 前回春のageHaでのLiveは非常にPSYトランスを意識したLiveだった印象があります。
ASTRAL PROJECTION, DJTSUYOSHIだったことにも所以しているかと思いますが、今回のLiveは2枚のNewアルバムを軸としたセットと考えて良いですか


Steve:  LIQUID ROOMでのLiveはSYSTEM 7だけでなくMIRROR SYSTEMも、より音楽的に多角的な表現になるのは間違いないね。アルバムのリリースツアーということではあるけれど、全体的な構成の40%程度にするつもりで、特にPhoenixとOUTという過去2つのアルバムでは、僕らの音楽表現の方向が今の自分たちの感覚にも合致しているし、アルバムでの表現と、パーティーに於いての世界観作りは違ったものにするべきだし。
前回のageHaのようなPsy-Trance全開というようにはならないけれど、勿論今回もそうした要素の表現はLiveに取り入れるよ。
僕とミケットは、このシーンに於いて「Ambient 、Techno、Psy-Trance」を独自のスタイルで確立出来ている数少ないアーティストだと感じています。
 
- これまでも、毎回共演者のリクエストをしているようですが、今回はオーガナイザーに「GAUDIとやりたい」と、伝えたようですね。彼は先のRe:Birthという野外フェスで一番話題となり、一気に人気と注目を集めました。ヨーロッパやオーストラリアでは既に大人気ではあるので、ようやく日本で認知され始めた感じですが、今回彼を共演に指名したのはどのような思いがあったのですか?
 
Steve:  Gaudiとはロンドンのシーンでの10年来の友人で、これまでも何度も同じPARTYやフェスで共演していてとても音楽的にも相性がいいんだ。僕らとGaudiの音楽スタイルは全く違うけれども、それでも同じ場の空気感、世界観を共有出来るのは凄いと思う。
僕は彼のユニークなブレンド・センスからなるダブとエレクトロなワールドに日本で一緒に
やることができたら、素晴らしい一夜になるに違いない!と随分と前から考えて居たんだ。
先日初来日時のGaudiのプレイが日本でも大好評だったというのを聞いてとても嬉しかったし、タイミングとしてはこのツアーを一緒に盛り上げてくれるベストパートナーだと直感したんだ。
今回のツアーでそれが実現するというのは、本当に楽しみなんだ!

- また、先日2ndアルバムをリリースしたばかりで、勢いに乗っているFUNKY GONGも共演されます。彼がSYSTEM 7の大ファンであることはもちろんですが、あなた方も 以前からFUNKY GONGには注目しており、リミックスも相互に行っている関係性ですよね?
しかもご自身の曲に「FUNKY GONG」と名つけているものもあります。
今回の彼との共演に際し何か伝えておくことはありますか?

 
FUNKYと再会そして共演できるのをとても楽しみにしているよ。
僕らの曲のJOUJOUKA Remixを今回Liquid Roomのステージで一緒にプレイ出来ればいいなあ…とも考えているんだ。

- 最後に今回の来日ツアーに向け、日本のオーディエンスにメッセージをお願いします。
 
お世辞ではなく日本のオーディエンスは世界で一番好きなので、また日本に来れることをとても楽しみにしています。
アルバム「N-PORT」と「X-PORT」も聴いてもらえると嬉しいです。