「BAZOOKA!!!高校生RAP選手権」や「フリースタイルダンジョン」などで人気を集めているフリースタイルラップバトル。フリースタイルラップとは、DJが流すビートに合わせて8小節のラップをし、スキルやメッセージ性の強さをアピールするというものだ。フリースタイルはラッパーとしての重要なスキルであり、現在活躍しているKREVAや鎮座DOPENESS、MC漢などの人気ラッパーたちもフリースタイルラップバトルでその名を知らしめた。

昨年、日韓のラッパーがタッグを組んだ「It G Ma」や「飛行機」が話題を集め、FUJIROCK2016に出演するKOHHと「フリースタイルダンジョン」のオーガナイザーZEEBRAらのレアなフリースタイルも公開されている。
 

ラッパーたちがフリースタイルの腕を磨くために行っているのが「サイファー」。サイファーとは公園や広場などでラッパーたちが集まり、ラジカセやスマートフォンでビートを流して飛び入り参加も歓迎しながらフリースタイルでその時々の感情をラップする。言葉の持つ特徴や感性を重ね合わせ繋げていくサイファーは現代のラップを使った音楽アートとして認められ、ストリートを重視するラッパーたちにとってスキルを鍛錬したりラッパー同士の交流のためになくてはならないものになりつつある。

サイファーのルールはただ1つ「即興であること」だ。即興であれば国籍や年齢、性別などのハンデはなく皆が平等に参加できる。

最近では、COLEMAN OUTDOOR RESORT MOVIEのCMにもサイファーが取り入れられている。田我流、鎮座DOPENESS、Big Ben、チプルソの4人がサイファーをする場面はとても印象深く残る作品となっている。

近年ではブラジル生まれ日本育ちのラッパーACEが率いる渋谷サイファーがSNSを通じて話題を集め、サイファーに参加したり観たりするために街に繰り出す人が増えてきた。渋谷だけでなく全国のラッパーたちが地元のシーンを盛り上げるためにサイファーを開催し、日本国内で徐々に大きなムーブメントになっている。ここで国内で開催されているサイファーの一部を紹介しよう。

渋谷サイファー
渋谷のハチ公やTSUTAYA前で行われる渋谷サイファー。生のドラムやギターに合わせてラップを刻むのが特徴で、ACE、掌幻(しょうげん)、CHARLES(シャレル)の3人が中心となって開催される。海外から来た外国人観光客が飛び入り参加することもあり、本気ながら温かい空気で行われている。
 

原宿サイファー
ストリート文化の発信地、原宿の代々木公園などで行われる原宿サイファー。「高校生RAP選手権」出場者をはじめとした実力のある若手ラッパーが多く参加しており若手シーンがここで形成されている。

川崎サイファー
T-Pablowなどを輩出した工業地帯、川崎で行われる川崎サイファー。様々なラッパーが育ってきた場所であるだけにラップのスキルの1つである「韻を踏む」ことを重視している。

静岡サイファー
自閉症と共に生きるラッパーとして注目され、Youtubeにアップされた楽曲「人間失格」で脚光を浴びたGOMESSが立ち上げた静岡サイファー。他のサイファーは夜に行われることが、静岡サイファーは昼間からも開催されている。

梅田サイファー
大阪、梅田で行われる梅田サイファー。「フリースタイルダンジョン」でおなじみのR-指定は梅田サイファー出身だ。関西ならではのスタイルが特徴的である。関西からラッパーが集まるため、関西ヒップホップシーンの中心地でもある。

以上のように、全国各地でサイファーが開催されている。Twitterなどで開催告知をおこなっていることがあるので、スキルを磨きたいラッパーやストリートならではのフリースタイルを体感してみたい人はチェックしてみよう!!